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コラム

コラム:FRBが気候変動リスク直視、政権交代で行動に道

[ニューヨーク 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 気候変動を巡る懸念について、米連邦準備理事会(FRB)は今になって急にその重大性を理解したようだ。9日に公表した半期金融安定報告書は、初めて気候変動をリスクの1つとして盛り込んだ。「回心を遂げた」時期は随分と遅いが、特に政治情勢が好転してきたように見えるだけに、より具体的な行動に移る態勢は整った。

11月10日、気候変動を巡る懸念について、米連邦準備理事会(FRB)は今になって急にその重大性を理解したようだ。ワシントンのFRB本部前で5月撮影(2020年 ロイター/Kevin Lamarque)

FRBが銀行への規制で言いなりになる甘い対応をしていることはまずない。それでもパウエル議長は気候変動への取り組みには消極的で、この問題が銀行監督の方法を変更するに値すると明言するのを避けてきた。主要中央銀行の大半が加入している「気候変動リスクに関わる金融当局ネットワーク(NGFS)」からもFRBは距離を置いてきた。

別の面で見れば、気候変動は既にFRBの政策課題になっていた。進歩的な姿勢を隠さないブレイナード理事は昨年11月、気候変動リスクを警告する講演をしたし、同じ時期にサンフランシスコ地区連銀は気候変動を話し合う会議を主宰した。その1カ月前には連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨で、「数人の参加者」が金融安定のための監視分野を気候変動リスクにまで広げるべきだと提案していたことが明かされた。

ではなぜ対応がもたついていたのか。それは多分、米国において気候変動問題が政治的な概念と化しているからだろう。トランプ大統領や議会上院の保守派は左派の提唱する問題と決めつけている。法律の解釈上ではFRBは独立した地位にあるとはいえ、今回の大統領選で民主党のバイデン前副大統領が勝利を確実にしたことで、気候変動リスクに直接的に向き合う意欲を持つ公的機関にとっては安心感が増したという見方を否定するのは難しい。

米国は今のところ、気候変動リスクに関する一連の取り組みで出遅れている。フランスと英国は既に銀行に対して気候変動関連のストレステスト(健全性評価)を実施する計画を打ち出し、他の欧州の国や日本もこれに追随する公算が大きい。米国の場合、金融システムの規模があまりに大きいのでFRBに実験を試みる余裕はなかなかない半面、米国の銀行は異常気象、さらには温室効果ガスを大量排出する石油産業などの衰退化という2つの次元で、高いリスクにさらされている。

1つ慰めがあるとすれば、後塵を拝することが逆に有利になるという点だ。FRBは、他国がいち早く実施するストレステストの状況や、彼らが用いる前提条件をじっくりと見守ることができる。そしてバイデン政権が米国の気候変動対策ないしFRB人事でどう動こうとも、少なくともFRB自身は今、正しい道を進み始めたことを見せてくれた。

●背景となるニュース

*米連邦準備理事会(FRB)は9日公表した半期金融安定報告書に気候変動リスクを初めて明記し、温暖化進行に伴って資産価値が急変動しかねないと警告した。[nL4N2HV5GX]

*FRBは同報告で、気候変動が市場や金融機関に及ぼす影響をより深く理解する方法を今後検討すると表明した。

*ブレイナード理事は声明で、気候変動をリスクに追加したことを歓迎するとともに、気候変動が「金融安定に重大なリスクをもたらす」という昨年11月の講演内容を改めて強調した。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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