[ニューヨーク 12日 ロイター] - 米フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁は12日、連邦準備理事会(FRB)が10月に決定した今年3回目の利下げについて支持していないとし、FRBは金利を据え置く必要があるとの考えを示した。
ハーカー総裁はニューヨークで行われたイベントで「現時点では金利を据え置き、推移を見守るべきだと考えている」と述べた。
その上で、金利は現在は中立水準か「やや緩和的」な水準にあると指摘。通商問題を巡る不確実性が企業の重しとなる中、金利を引き下げても企業投資は底上げされないとの考えを示した。
ただ、米経済成長率はトレンドをやや上回り、インフレ率はFRBが目標とする2%を上回る水準に徐々に上昇していくという見方を示した。
FRBは今年は7月、9月、10月に利下げを決定。ハーカー総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)で投票権を持っていないが、これまでも9月の利下げに反対する立場を示し、金利を据え置く必要があるとの考えを示していた。
ハーカー総裁は、自身がマイナス金利政策を支持するには「ハードルが極めて高い」とし、米経済が大きな衝撃を受けた際は、FRBは先ず金利をゼロ%とした上で金利は低水準にとどまるとのメッセージを発し、資産買い入れを実施するのが望ましいと指摘。「ショックへの対応策として社会や政府が持つ他の手段と比べ、マイナス金利政策は効果的でない可能性がある」と語った。
このほか、短期金融市場でこのほどボラティリティーが高まったことの背景をFRBは把握しようとしていると説明。準備金の約80%を握る金融機関5社がなぜ9月中旬に融資を行わなかったのか検証しているとし、「規制上の問題なら修正する必要がある」と述べた。
その上で、常設のレポ・ファシリティーの設置を巡る議論はまだ継続されているとし、「市場が機能できるようFRBはコミットしている」と述べた。
ハーカー総裁は来年、投票権を持つFOMCメンバーになる。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」