August 21, 2019 / 8:52 PM / a month ago

米FRB、7月会合で大幅利下げ議論:識者はこうみる

[21日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が21日公表した7月30━31日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、一段と積極的な利下げについて議論されていたことが判明した。同時に追加緩和が続くような印象を与えないことでも一致したという。

米連邦準備理事会(FRB)が21日公表した7月30━31日の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、一段と積極的な利下げについて議論されていたことが判明した。写真はワシントンのFRB本部。11日撮影(2019年 ロイター/Leah Millis)

市場関係者のコメントは以下の通り。

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

7月30―31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨では、米連邦準備理事会(FRB)の2つの責務(デュアルマンデート)である「物価安定」と「雇用の最大化」について、活発に議論された形跡は見当たらない。

しかし一方で、事実上第3の責務となっている「金融の安定性(financial stability)」の維持に関する記述には多くのページが割かれている。

具体的には、非金融部門の債務の膨張が経済の重しとなり得ると警鐘を鳴らし、クレジット市場の動向にも注意を要するとしている。

世界的な景気減速や国際貿易の縮小がもたらす米経済への悪影響や低迷する物価水準などに加え、こうした金融面で懸念される要素も「サイクル半ばでの政策調整(mid-cycle adjustment)」の必要性を高め、今回利下げに至ったという説明となっている。

ただ残念なことに、FRBに執拗(しつよう)に利下げを要求するトランプ米大統領が、今回のFOMCの翌日に第4弾の対中追加関税を表明したことで、米国株は連日大幅安となり、金融の安定性は少なくともいったんは損なわれた。

議事要旨の冒頭では、FOMCメンバーが、リーマン・ショック以降の金融政策を振り返ることに時間を費やし、かつてフェデラルファンド(FF)金利がゼロまで低下し、金利の実効下限制約(effective lower bound:ELB)に遭遇した際に、どう政策対応したかを吟味していたことが分かる。

また、今回披露されたスタッフ調査では、前回ELBに直面した折に、フォワードガイダンスとバランスシートの拡張政策を併用したことにより「金融コンディション(financial condition)」を緩和させ、経済活動を支援するのに奏功したとの結論が導かれている。

こうした一連の議論からは、今回の利下げが一過性のものに終わらずに、利下げフェーズへの序章となる可能性をFRBがリアルに受け止め、ゼロ金利に到達した際の心構えを表明していることがうかがえる。

<シュワブ・センター・フォー・ファイナンシャル・リサーチの債券ストラテジスト、コリン・マーティン氏>

トランプ大統領の関税方針発表を踏まえると、議事要旨は「古いニュース」だ。追加利下げに向けた可能性は残されている。今週終盤にワイオミング州ジャクソンホール・次経済シンポジウムで予定されるパウエルFRB議長の講演の方が重要度が高い。パウエル議長が7月の利下げを引き続きサイクル半ばの調整とみなしているのか、利下げサイクルの開始と考えているどうかが示されるか興味深い。

利回りは急低下しているが、米経済は比較的堅調な状態にある。しかし、現在の最大のリスクは貿易を巡る不透明性だ。トランプ大統領の関税に関する発表を受け、FRBの見解が変化した可能性がある。

<ホライゾン・インベストメント・サービシズ(インディアナ州)の最高経営責任者(CEO)、チャック・カールソン氏>

貿易戦争が明日にも終結するなら、米連邦準備理事会(FRB)によるこの先の利下げはない可能性がある。(7月に)利下げを決めた主要な理由は貿易戦争だった。貿易戦争を巡る先行き不透明性が解消するまで利下げは継続されるだろう。

FRBは事前に決められた軌道の始まりではないとの見解を示した。これは事実だと思う。ただ、FRBが関税措置と貿易戦争に縛りつけられる状態が続けば、FRBは事前に決められた軌道に乗っていることになる。FRBは貿易戦争で経済が停滞する可能性があると恐れている。

<ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズ(ニューヨーク)の為替ストラテジスト、ブレンダン・マッケンナ氏>

連邦準備理事会(FRB)当局者の多くが7月利下げをミッドサイクル(景気循環半ば)での調整に過ぎず、長期的な緩和局面の開始ではないと捉えていたことが浮き彫りとなった。0.5%利下げも討議されたが、合理的な可能性はないように思われる。

FRBは以前よりも市場の動向に敏感になっており、変化が見受けられる。FRBは経済データよりも長短金利の逆転(逆イールド)や株式市場の急落、貿易摩擦の激化といった要因に反応している。

*内容を追加しました。

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