March 15, 2020 / 11:21 PM / in 15 days

米が1%緊急利下げ、ゼロ金利に:識者はこうみる

米連邦準備理事会(FRB)は15日、政策金利をゼロ付近に引き下げ、債券買い入れを再開するとしたほか、危機時の対応手段の活用に踏み切った。ほぼすべての手を打ち尽くした、との声も聞かれる。日経平均は反発して始まったものの、すぐに下落に転じ、マイナス圏に沈んだ。

 3月15日、米連邦準備理事会(FRB)は政策金利をゼロ付近に引き下げ、債券買い入れを再開するとしたほか、危機時の対応手段の活用に踏み切った。 2019年3月撮影(2020年 ロイター/Leah Millis)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト 三浦豊氏

13日の米国株式市場はトランプ大統領が新型コロナウイルス対策で非常事態を宣言したことが好感され急騰。新型ウイルスの感染が疑われていた米トランプ大統領も検査で陰性だったことが明らかになり、いったんいい地合いを回復した。ただ、今朝の米連邦準備理事会(FRB)による緊急利下げの発表を受け米株先物は急落、一時ストップ安となった。米国では新型ウイルスの感染者数が急増し続けており、なかなか歯止めがかからない。市場には「そこまで悪いのか」という印象を与えてしまい、逆効果となったようだ。

ただ、今は緊急利下げをマイナスと捉えているものの、G7諸国は協調対応を協議するなど、いろいろな政策が動き始めた。金融・財政・コロナの三位一体的な政策対応の動きを好感し、後で急上昇するといった展開も考えられる。先週に引き続き、今週も値動きの荒い一週間となるだろう。

●東海東京調査センター シニアエクイティマーケットアナリスト 仙石誠氏

日経平均は寄り付きで反発した後、マイナス転換した。米国株先物が大きく下がっていることの影響もあり、相場はまだ落ち着きを取り戻せていない。ただ、政策を総動員すること自体はプラスで評価できるのではないか。

これまでは、政府、米連邦準備理事会(FRB)、マーケットが不一致だった印象があった。FRBが金融緩和したにもかかわらず、トランプ大統領が会見で新型コロナウイルスの影響は一時的なものだの認識を示し、株価はそれどころではないという騒ぎで下がり続けた。

そこから米政府の危機意識が高まる形で緊急事態宣言が出され、FRBも市場の想定以上に緩和姿勢を強める流れになってきた。これらが下支えとなり、株価も下げ止まるタイミングを探ると思われる。

●マーケット・ストラテジィ・インスティチュート代表 亀井幸一郎氏

FRBの追加利下げと量的緩和の再開・拡大は予想していたが、政策動員はかなりペースが速い。それだけ急激にグローバルな信用収縮が進んでいることの証だろう。

金融市場は一気に水が引いた状況に陥っている。

人々はドルの流動性を求めて金や米国債を売って換金し、ドルの現金を余分に持っている人は簡単に手放さない。米国の追加的な緊急利下げや一連の流動性措置はこうした流動性クランチに対応したものだろう。

流動性クランチを深刻化させたきっかけは、トランプ米大統領が11日、欧州諸国との事前の協議もなしに、一方的に欧州からの入国禁止を言い渡したことだ。

今後、主要7カ国・地域(G7)や20カ国・地域(G20)で協議が行われたとしても、トランプ政権の「米国第一主義」の影響により、国際協調の歯車は既に壊れてしまっている。このためリーマン・ショック時のような協調がスムーズに行えるかどうか疑わしい。

米緊急利下げでも、株価が反発の手がかりを得られないとすれば、それは、コロナウイルスによって人やモノの移動が制限されたことや、金融市場での信用収縮の悪化によって、グローバルな経済が一気にシュリンクしてるためだと考えられる。

米緊急利下げは、為替市場では円高材料だが、足元ではドルキャッシュの確保を急ぐ個別の参加者のニーズもあるため、ドル/円相場へのインプリケーションは一筋縄ではいかない。

●三井住友銀行 チーフ・マーケット・エコノミスト 森谷 亨氏

米連邦準備理事会(FRB)は持てる手段をほぼすべて打った印象だ。6中銀によるドルスワップ協定でドル不足状況もある程度緩和されるだろう。ただ、これでマーケットが落ち着くかはまだ不透明だ。よく言われるように、利下げがウイルスそのものに効くわけではない。また全弾発射したことで、次に状況が悪化した際に、何ができるのかにも不安もある。初期反応かもしれないが、米株先物は下落で始まっている。

この政策はインフレ目標に連動しているわけはでなく、「委員会は経済がこのイベントを切り抜け、最大雇用と物価安定という目標の達成に向けた軌道上にあると確信が持てるまで、この目標水準を維持する見込みだ」としている。新型コロナウイルスの影響が終息すれば、この緊急措置はすぐに修正される可能性もある。

●スレートストーン・ウエルスの首席投資ストラテジスト、ロバート・パブリク氏

FRBが非常に恐れているのが明白だ。一挙にこれだけのことをやるというのはショックが大きい。FRBが有するあらゆる手段を活用した格好で、個人的には、当初は支援効果が表れるかもしれないが、状況が常に変化しているため、それ以上の効果はないと思う。FRBは実質的にとれる手段を出し尽くしてしまった。

市場は利下げを好感し、多少は反発するかもしれないが、(新型コロナウイルスの)問題を掘り下げれば、必要な検査やワクチン、治療薬がないため、しばらく解消することはない。経済への影響について個人的には懸念を強めている。

●パンテオン・マクロエコノミクスのチーフ・エコノミスト、イアン・シェパードソン氏

素晴らしいニュースだが、十分ではない。今回の措置をかなりの期間求めていた。FRBが18日の政策会合まで待たなかったのは良かったと思う。時間は重要だ。より低い金利と量的緩和(QE)は、他の条件が同じであれば、全ての資産の価格を押し上げ、ドルを押し下げ、マネーサプライの伸びを押し上げる。

ただ、他の条件は同じではない。FRBは、今後数週間、国内外でのウイルス感染拡大に関するニュースが悪い内容となることを見込んで、先手を打つために行動したのだと思う。

湖北省や韓国の例をみると、封鎖などの措置により感染者数が明らかに減少に転じるには2─3週間かかり、死者数の減少はそれ以降になることが分かる。

FRBだけが全ての仕事をすることはできない。米議会は現在下院で検討されている法案や、もしくは同様の法案を可決するしか選択肢はない。そして、中小企業や自営業者、家計に資金を提供するため、より大規模な法案を成立させるための取り組みをすぐに始めるべきだ。航空業界や観光関連業界の救済は不可欠だ。

●ケンブリッジ・グローバル・ペイメンツの首席市場ストラテジスト、カール・シャモッタ氏

FRBは「どんな手段でも使う」構えだ。

金利をゼロに引き下げ、7000億ドルの量的緩和を打ち出し、他の主要中銀とスワップ取り決めを締結するというのは、世界経済をリスクにさらしている市場の混乱を沈静化するために、非常に需要な措置だ。

当初のショックが今晩一巡すれば、中銀が潤沢な流動性供給に向けて協調しているというメッセージは、外為市場のボラティリティー低下につながる可能性がある。リスクオンによる相場反転の流れとなる公算は高まっていると思う。政治の指導者が財政刺激策で支持を取り付けることができれば、なおさらその公算は大きい。

●ジョーンズトレーディングのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マイケル・オローク氏

現在、われわれが置かれている状況を米連邦準備理事会(FRB)が非常に心配していることの表れだ。大幅な上昇があったとして、投資家がそれに対して売りを出したとしても驚きではない。非常に強力な政策対応であるがゆえ、投資家を動揺させる可能性がある。

FRBは全ての手段を使い果たした。問題は、市場の観点から事態が明らかに落ち着いたかどうかということだが、まだ落ち着いてはいない。FRBは18日の政策会合まで待ったほうが良かっただろう。これまでのFRBの対応は大方、悪いタイミングでの不適切な内容となっている。

市場の観点から、われわれは現在、FRBの信頼性喪失という状態に直面している。投資家がFRBに対する信頼を失った時、市場は非常に危険な状態になる。

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