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FRB議長講演:識者はこうみる

[27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は27日、米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で経済見通しについて講演した。

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は27日、米年次経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で経済見通しについて講演した(2021年 ロイター/Kevin Lamarque)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●現状維持でデータ注視、早めの緩和縮小も

<TDセキュリティーズの金利ストラテジスト、ジェナディー・ゴールドバーグ氏>

講演では、現状維持でデータを見守るという明確なメッセージがうかがえた。すなわち、向こう数カ月のデータが連邦準備理事会(FRB)の行動を決定付けるはずだ。例えば来月の雇用統計が非常に強かった場合、FRBは早めにテーパリング(量的緩和の縮小)に踏み切る可能性がある。もし雇用だけでなく、インフレや経済活動に関するデータも減速し始めるようなら、FRBはテーパリングをやや遅らせるかもしれない。問題なのは時期であって、テーパリングの是非ではない。

●テーパー・タントラムのリスク低下

<ナショナル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフ市場ストラテジスト、アート・ホーガン氏>

パウエル議長は市場にサプライズを与えないという意味で、極めてうまい講演を行った。

多くの連邦準備理事会(FRB)当局者が日常的にテーパリング(量的緩和の縮小)に言及しているため、市場がサプライズを受けるリスクは低下している。「テーパー・タントラム(緩和縮小へのかんしゃく)」が引き起こされる公算は低下した。

FRBは9月の連邦公開市場委員会(FOMC)でテーパリングを発表し、11月に着手すると予想している。テーパリングの完了は来年上半期中とみている。

その後、来年下半期に利上げに着手すると予想している。FRBはテーパリングが完了する来年の年央に利上げについて語り始め、利上げについてもテーパリングと同様に、市場との対話を図り、サプライズがないようにするとみている。

●テーパリング発表と開始を11月に延期

<インスペレックスのシニアトレーダー、デービッド・ペトロシネリ氏>

パウエル議長が「様子見」姿勢を示したことから市場は好感したと思われる。全体として、パウエル議長はテーパリング(量的緩和の縮小)の明確な発表と開始を11月に延期したもようだ。なぜなら、連邦公開市場委員会(FOMC)の次回の会合は9月だが、その後は11月までなく、連邦準備理事会(FRB)としてはFOMC会合の場で発表したいと考えているからだ。

パウエル議長はまた、テーパリングを利上げと明確に区別し、テーパリングの開始が引き締めサイクルの開始を意味すると捉えられないよう、市場に条件を与えたと思われる。

●焦りなく、テーパリング決定は11月か

<シティグループ証券 チーフエコノミスト 村嶋帰一氏>

パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長のジャクソンホール会議での発言内容は抑制されたトーンで、金融正常化を焦ってないというのが伝わってきた。雇用情勢の進展を評価する一方、新型コロナウイルスのデルタ株の広がりを警戒するなど、プラスマイナス両方に言及していたのが印象的だった。

テーパリング(量的緩和の縮小)の決定は、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)ではなく、11月になる可能性が大きいだろう。利上げ開始の決定はさらに半年から1年はかかるのではないか。

議長の発言をマーケットはハト派的と受け止め、株高が進んだ。金融緩和環境がしばらく続くことから、今後もリスク資産は過熱気味になる可能性が大きいとみている。

*コメントを追加しました。

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