[香港/シンガポール 12日 ロイター] - アジア太平洋地域で最大規模とされるシンガポールの暗号資産(仮想通貨)関連業界が、暗号資産ファンド、スリーアローズ・キャピタル(3AC)の破綻に揺れている。シンガポール金融管理局(MAS、中央銀行)は暗号資産関連サービスの振興を後押ししていたが、風向きが変わった。
KPMGによると、シンガポールの暗号資産・ブロックチェーン企業への投資は2021年は14億8000万ドルで前年の10倍に急増し、アジア太平洋地域の投資総額の半分近くを占めた。
MASは関連サービスを促進を打ち出し、20年には150社以上が暗号資産決済事業免許をMASに申請した。
しかし3ACの破綻で状況が一変した。暗号資産の価値急落もあって業界に影響が広がった。
Ashurstのテクノロジーセクター担当弁護士は「最近の一連の出来事から、MASは暗号資産・デジタル資産により厳格な対応をする可能性が高い」と述べた。
3ACは、暗号資産の価格下落で数億ドルの債務を履行できなくなり、6月27日に英領バージン諸島で清算手続きを開始した。ファンドの創設者は所在不明という。
シンガポールの暗号資産企業チェーンアップの最高マーケティング責任者は、同国が暗号資産ビジネスに対する対応を厳格化した場合、域内の他の国が追随する可能性があると指摘した。
MASは6月30日、3ACが関連規則に違反したと指摘し、さらなる違反の可能性で調査中を表明した。
法律事務所リード・スミスの駐シンガポールパートナーは「(MASは)業界に『3ACはすでに監視対象になっている』というシグナルを送りたかったのだろう」と述べ、今後、MASの規制強化などに乗り出すかが焦点だと述べた。
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