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アングル:ビットコイン、安定の秘密は若い「ホドラー」

[8日 ロイター] - 暗号資産(仮想通貨)の代表格であるビットコインは、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が「割れたハート」の絵文字をツイッターに投稿しただけで相場が動揺するなど、極めて不安定なことで知られる。ところが不思議なことに、最近は世界が第三次世界大戦の崖っぷちに立っているように見えるにもかかわらず、比較的安定を保っている。

 3月8日、 暗号資産(仮想通貨)の代表格であるビットコインは、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が「割れたハート」の絵文字をツイッターに投稿しただけで相場が動揺するなど、極めて不安定なことで知られる。暗号資産(仮想通貨)の代表格であるビットコインは、米電気自動車(EV)大手テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が「割れたハート」の絵文字をツイッターに投稿しただけで相場が動揺するなど、極めて不安定なことで知られる。 写真はビットコインのイメージ。2021年10月撮影(2022年 ロイター/Edgar Su)

これには、仮想通貨を長期保有する「ホドラー(HODLers)」の増加が一役買っているようだ。

ホドラーは、素早く売り抜けて利益を手にするのではなく、長期保有するためにビットコインに投資している個人投資家。数年前にトレーダーがオンラインフォーラムで「hold(投資した資産を保有し続けること)」をミスタイプしたことをきっかけに生まれた言葉だ。最近は若い個人投資家によってその数を増している。

市場関係者の間では、不安定さで悪名高い仮想通貨市場をホドラーが安定させ、長期的な底値を提供するのではないかとの見方がある。ビットコインがロシアのウクライナ侵攻前に比べて約5%程度上昇したことも、その証左だという。

数百万人のユーザーを抱える個人投資家向けプラットフォーム、イートロの調査によると、18―34歳の層は66%がビットコインなどの仮想通貨を保有しており、他のどの年齢層よりも割合が高い。この年齢層の仮想通貨保有率は昨年7月には46%だった。

さらに重要なのは、仮想通貨に投資している人の3分の1以上が、「変化を起こし得る資産クラス」としての長期的な価値を信じていると回答したことだ。

イートロの米投資アナリスト、カリー・コックス氏によると、「一言で言って、こうした人々がホドラー」だ。「テクノロジーを信じている人々は、恐ろしいニュースが流れても売りに向かうことが少ない」と言い、仮想通貨が将来、値下がりした局面では押し目買いを入れる個人投資家が増えそうだと付け加えた。

イートロの調査は8000人が対象で、ビットコイン投資の風景のほんの一部にすぎない。ただ、この調査結果は他の仮想通貨取引プラットフォームの現状と一致している。

例えば、仮想通貨取引サービスを手掛けるカレンシー・ドット・コムは顧客の31%を23―30歳が、20%を18―20歳の年齢層が占める。また同業のブシャは、平均的なトレーダーの年齢が18―40歳だ。

ウクライナ出身で広報を仕事にしているラリッサ・ブンジアクさん(28歳)は典型的な若者ホドラー。「仮想通貨は一攫千金を狙うようなものじゃないと思う。それだけではない」と言う。

ブンジアクさんのビットコイン投資は、2017年末に1万9000ドル(約220万円)だった評価額が19年1月に3000ドル近くまで暴落。しかし「投資額を増やし続けたら突然6万ドルになった」。今後も保有額を増やしていく予定だ。

「ウクライナにいる家族や世界の好きな場所に、好きな時に送金できるし、何をしているのか分からない銀行や第三者に金儲けはさせない」と話した。

<想定外を想定する>

昨年は個人投資家が大挙してゲームショップなど「ミーム株」を目もくらむ高値に押し上げ、個人トレーダーが金融市場において強力な逆張り勢力になれるのか、という疑いは払拭された。

ビットコインの場合、既存の長期投資家が保有をさらに積み増したのに加え、個人投資家のホドラー層が拡大したことで、相場を安定させる効果が増幅された可能性がある。

2月24日のロシア軍によるウクライナ侵攻後、ビットコインは当初14%下落して3万4000ドル程度となった。しかしその後は15%上昇している。

これは長年にわたって乱高下しがちだった資産としては比較的穏やかな動きに見える。ただ、油断は禁物。ビットコインが私たちに叩き込んできたのは「想定外のことを想定しろ」という教訓だ。

特にマスク氏の影響力は大きそうだ。ビットコインは昨年5月、マスク氏がテスラは同通貨での決済を中止すると明らかにすると35%急落。6月に同氏が「#Bitcoin」のハッシュタグと割れたハートの絵文字を付けて、別れ話をしているカップルの写真を投稿すると、再び下げた。

<ジェンダーギャップ>

暗号資産市場を巡っては、年齢以外にも人口動態上の特徴が明らかになりつつある。投資家が男性に偏りがちなのだ。

例えばイートロの調査によると、男性投資家のうち仮想通貨を所有している比率は38%だったが、女性では19%にすぎなかった。

米証券ロビンフッドの調査では、仮想通貨に一度も投資したことがなく、今後もそのつもりはないと回答した投資家は、女性では41%だったが、男性では24%だった。

市場関係者によると、仮想通貨投資が男性に偏っている理由はさまざまだ。

スイスに拠点を置く21シェアーズ・アンド・アムン・トークンズの共同創業者、オフェリア・シンダー氏は「仮想通貨は金融とテクノロジーの交差点に位置しており、それ自体が男性優位の業界だ」と指摘した。

(Lisa Pauline Mattackal記者、 Medha Singh記者)

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