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アングル:NFTの市場急変、暗号資産の世界で下火になるのか

[5日 ロイター] - NFT(複製不能なデジタル資産の非代替性トークン)の夢は破れたわけではない。だが今、大きな打撃を受けている。

7月5日、NFT(複製不能なデジタル資産の非代替性トークン)の夢は破れたわけではない。だが今、大きな打撃を受けている。写真はNFT取引所最大手のオープンシーのサイトに表示されたNFT。2月撮影(2022年 ロイター/Florence Lo)

昨年、NFT市場は輝かしい成長を見せた。膨大な暗号資産を抱える投機筋が、ハイリスクな資産であるNFTに巨額の資金を投じ、価格と売買利益を押し上げたからだ。だが2022年に入って6カ月が経過した今、その輝きはまったく失われてしまった。

NFT取引所最大手のオープンシーにおける月次のNFT取引額は、5月の26億ドル(3533億円)から6月には7億ドルに急落した。1月に記録した50億ドル近いピークに比べれば見る影もない。

ブロックチェーンであるイーサリアムとローニンでNFT取引を調査しているノンファンジブル・ドットコムによれば、6月末時点のNFTの平均販売額は、4月末の1754ドルから412ドルに下落した。

ノンファンジブル・ドットコムの共同創業者であるゴーティエ・ザッピンガー氏は、「暗号資産市場の不振がNFT分野に影響を与えているのは確かだ」と語る。「NFTに関しては、投機や誇大広告が目に余った。今、ある種の後退局面が見られるのは、人々が一朝一夕に大富豪になれるわけではないと悟ったからだ」

NFT購入代金の支払いには暗号通貨が使われるのが一般的だが、各国中央銀行がインフレ対策として金利を引き上げ、リスク選好が萎んだことで暗号通貨市場は暴落し、それとともにNFT市場も崩壊した。

今年1─6月に仮想通貨のビットコインは57%下落、イーサも71%下落した。

<一時的か、底なしの下落か>

NFTに批判的な立場から見れば、今回の市場崩壊は、画像や動画といったデジタルファイルをブロックチェーン上での記録にリンクさせ、取引可能にしたものであるこの種の資産を購入することの愚かしさの証明である。

米ツイッターの共同創業者ジャック・ドーシーによる最初のツイッター投稿のNFTを250万ドルで昨年購入したマレーシアのあるビジネスマンは、4月に転売を試みたが、応札はせいぜい数千ドルだった。

もっとも、暗号資産トレーディング企業GSRで製品グローバル責任者を務めるブノワ・ボスク氏にとって、この下落局面は企業としてNFTコレクションを構築する絶好の機会と映る。つまり、伝統ある銀行が顧客に好印象を与えようと壁に飾った美術作品の暗号資産バージョンである。

GSRは先月、ボスク氏の言葉を借りれば「超優良」コレクション、つまりネット上に多くのファンを抱える作品群の中から、50万ドル相当のNFTを購入した。

ボスク氏が購入した作品の1つが、「ボアードエイプ・ヨットクラブ(BAYC)」のNFTだ。米国に拠点を置く企業ユーガ・ラボが制作した1万点からなる猿のマンガで、パリス・ヒルトン氏やジミー・ファロン氏などのセレブが愛好していることで名を知られるようになった。

「ボアードエイプ」は熱狂的な人気を集め、ユーガ・ラボは4月、今後発売予定の「ボアードエイプ」をテーマとする仮想世界の土地と交換できるというトークンを販売し、2億8500万ドルの収益を得た。

だが、市場調査会社クリプトスラムによれば、「ボアードエイプ」の平均販売価格は6月には11万ドル前後にまで急落した。1月に記録した最高値23万8千ドルの半分の水準である。

ボスク氏はニューヨークにある自分のオフィスに、所有するNFTを映す3枚のスクリーンを設置した。ピクセル化されたさまざまなキャラクター、そして12万5千ドルで購入した「ボアードエイプ」などだ。

「私たちにとっては、ブランド確立の試みだ」とボスク氏は語る。貴重なNFTを所有し、ソーシャルメディア上のプロフィール画像に使うことは、暗号資産の世界では「尊敬と権威、影響力」を確立する手段になるという。

<活路はゲーム産業か>

とはいえ、投資家にリスクテイキングを促していた低金利時代が終わりを告げた今、NFTの今後はきわめて不透明だ。

市場ウォッチャーの中には、アート市場におけるNFTの影響力は縮小するとの声もある。一方で、ブロックチェーンを基盤とするメタバースというビジョンがまだ具体化していないとしても、熱心なNFT支持者は、たとえばアバターの外見を変えるスキンなどのゲーム内資産をプレーヤーが所有できるようにするなど、NFTによってゲーム産業が活性化すると期待している。

ブロックチェーン調査会社ダップレーダーのモデスタ・マゾイト最高財務責任者(CFO)は、「ブロックチェーンにおける次の大きな分野はゲームだと誰もが考えている」と語る。

だが、ゲームと金融投機というハイリスクな組み合わせは難題にぶつかるかもしれない。テクノロジー調査会社ラトリエのジョン・イーガン最高経営責任者(CEO)は、ほとんどのゲーマーは、NFTなどの「プレイ・トゥー・アーン(P2E、遊んで稼ぐ)」要素を含まないゲームを好むという。

先週、欧州連合(EU)は新たに大規模な暗号資産規制に合意したが、NFTはほぼ除外された。ただスペインは独自に、オンラインゲーム内で現実の通貨を使って仮想資産を販売する手法を取り締まる方向だ。

一方、NFTベースのゲームで最もメジャーな「アクシーインフィニティ」では、ゲーム内NFTの価格が昨年の最高値36セントから半セント以下にまで暴落している。

ラトリエのイーガンCEOは、NFT市場が今の形で復活する可能性は低いという。

「結局のところ、とんでもない金額が、実際にはまったくキャッシュフローを生み出さない、ひどく限定された資産に投じられているという状況だ」とイーガン氏は語る。

とはいえ、代替不能のデジタル資産を創造するというNFTの基本的なコンセプトは依然として「根本的に重要」であり、今後の金融セクターに「広大な応用範囲」があるだろう、とイーガン氏は付け加えた。

(翻訳:エァクレーレン)

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