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焦点:日銀REIT買い余地は残り1年、枠拡大に条件緩和の声
2015年4月30日 / 05:08 / 3年前

焦点:日銀REIT買い余地は残り1年、枠拡大に条件緩和の声

[東京 30日 ロイター] - 日銀によるJ─REIT(不動産上場投信)買い入れの限界が、刻一刻と迫っている。現状のスキームの下での買い入れ余地は、市場推計で残り1年。追加緩和によって購入枠を拡大するには、信用格付けや買い入れ上限撤廃など買い入れ条件の引き下げが必要になるとみられている。

 4月30日、日銀によるJ─REIT(不動産上場投信)買い入れの限界が、刻一刻と迫っている。現状のスキームの下での買い入れ余地は、市場推計で残り1年。2014年4月撮影(2015年 ロイター/Yuya Shino)

ただ、日銀は想定通りの物価目標達成が可能で、特に問題はないとの立場。物価動向によっては市場との神経戦が激化しそうだ。

<16銘柄で残り1000億円>

日銀は2014年10月31日に決めた追加緩和で、REITの購入枠を年間300億円から900億円に引き上げた。買い入れ対象の条件は、1)ダブルA格相当以上、2)売買成立日数が200日以上かつ年間売買累計額が200億円以上──だ。同条件に合うREITは全51銘柄のうち、半分強にあたる28銘柄。

さらに保有比率の上限を発行残高の5%としており、日本ビルファンド投資法人(8951.T)など大手10銘柄は、限度額に達したとみられている。

また、直近の立会外取引実績などから観測される買い入れ対象は、16銘柄に絞り込まれる。大和証券オフィス投資法人(8976.T)と森ヒルズリート投資法人(3234.T)は条件を満たしているものの、日銀が買い入れた形跡が観測されていない。

市場関係者の推計によると、現時点で買い入れ実績がある16銘柄が買い入れ上限の5%に達するまで、残り1000億円程度しか余地がない。

約900億円の年間増加ペースと比較すると、1年余りで限界に達する見通しだ。市場では追加緩和期待もあるが、「REITの買い入れ枠拡大には条件緩和が必要」(国内証券)との見方が多い。

<格付け緩和か上限撤廃か>

売買成立日数や年間売買累計額は新規上場銘柄を除き、ほとんどの銘柄が満たしているとされ、条件緩和の対象にはなりにくい。このため条件緩和として考えられるのは、ダブルA格相当以上からシングルA格相当以上への格付け条件の引き下げだ。

シングルA格以上に修正されれば、買い入れ対象となる銘柄は現状の28銘柄から42銘柄に増加する。

ただ、仮に買い入れ対象の格付け基準を落とした場合、「日銀自体の信用性に懸念が生じる可能性があり、ひいては通貨の信認を落としかねない」(大手証券)との懸念が出てくる。

現在の量的・質的金融緩和(QQE)は社債も買い入れ対象(3.2兆円で残高維持)だが、REITの格付け条件を引き下げるなら、よりリスクの小さい社債の格付け条件も緩和しないと整合性が取れないとの見方もある。

発行残高の5%以内という上限の撤廃に関してもハードルは高い。5%を超えて買い増しを続けると、REITの支配権や経営に対する影響力が強まるほか、需給関係に影響を及ぼすためだ。

実際、市場では「主要REITの買い入れが止まる一方、中小REITの買い入れが続いているため、従来あった利回り格差が縮小傾向にある」(REITアナリスト)との指摘もある。日銀の売買動向により、パフォーマンスに違いが表れ始めているという。

REITが増資すれば時価総額が増え、5%の上限まで「ゆとり」が生まれるが、年間900億円の買い入れには1兆8000億円の増資が必要。過去最高だった2013年の約1兆1000億円の資金調達実績を6割強上回る水準で、現実的には難しいとの見方が多い。

<追加緩和の必要性に疑問>

一方、日銀は消費者物価(除く生鮮、コアCPI)の上昇率が想定通りに2%に達成する可能性が高いという姿勢を維持している。このためREITの買い余地に関し、市場で限界を指摘する声が出ていることは認識しているもようだが、特別に問題視する動きは見られない。

こうした中で市場の一部では、追加緩和の必要性を疑問視する声も出ている。すでに日銀のREIT買い入れを通じて不動産市況に一定の回復が見られており、さらなる購入増加によって適切な価格形成をゆがめてしまう恐れが強まってくるためだ。

SMBC日興証券・シニアアナリストの鳥井裕史氏は「不動産価格は2011年─12年からすでに20%程度上昇している。日銀による追加的なREIT買い入れにより、これ以上不動産価格が押し上げられるとその反動が怖い。REITは長期金利に敏感なため、日銀には金利安定化に力を入れてほしい」と述べている。

*見出しを修正しました。

杉山容俊 編集:伊賀大記

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