July 14, 2016 / 10:51 AM / 3 years ago

焦点:7月1週に日本勢の外債投資が過去最大、米モーゲージ債に熱視線

[東京 14日 ロイター] - 国内の超低金利環境から押し出されるように、国内投資家が外債投資に一段とシフトしている。7月第1週は過去最大の買い越しとなった。

 7月14日、国内の超低金利環境から押し出されるように、国内投資家が外債投資に一段とシフトしている。7月第1週は過去最大の買い越しとなった。写真はドル紙幣、都内で2011年8月撮影(2016年 ロイター/Yuriko Nakao)

ただ、主要投資先の米国でも金利低下状況は変わらない。米国債では十分な利益を上げにくいとして、一部の大手生保は、より利回りの高い米モーゲージ債などに熱い視線を向けている。

<消える「プラス金利」>

財務省が14日に発表した7月3日─9日の「対外及び対内証券売買契約等の状況」では、日本勢の対外中長期債投資が2兆5491億円と過去最高の買い越しとなった。

その背景にあるのは、日本で一段と進む低金利化だ。「日本国債は20年債JP20YTN=JBTCも一時マイナスに沈み、これまで対外投資に本腰を入れていなかった投資家も腹をくくったのではないか」(生保幹部)という。

英国民投票後にいったん持ち直したドル/円JPY=EBSが再び下落に向かった局面でもあり「一部では、円高を好機と捉えた可能性がある」(国内金融機関)という。

三井住友信託銀行・マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は、今後も国内勢の外債投資の流れは続くと見ており、外為相場への影響として「過大評価はしない方がいいものの、一定程度の(ドル)下支え効果はありそうだ」と指摘している。

もっとも、低金利化は日本だけの現象ではない。ドイツ国債は10年債DE10YT=TWEBまでマイナスに落ち込み、スイス国債は50年債CH50YT=RRまでマイナス圏だ。日本だけでなく、世界中の投資家がプラスの金利を持つ国債を買い占めていくなかで「プラスの金利」が世界の市場からどんどん姿を消しているのが現状だ。

こうした中、利上げに向かう姿勢をなんとか維持している米国債は、プラス金利を確保。機関投資家のマネーは、頼みの綱として米国債に向かっていた。ただ、米利上げ観測が後退するなか、米金利でさえも低下圧力を受けている。

米国でも10年国債US10YT=RRの利回りは1.5%程度であり、足元で1.3%程度とみられるヘッジコストを引くと、手元に利回りはほとんど残らない。市場からは「有望な投資先が、世界中でもなかなか見当たらない」(同)という声が漏れる。

<米債投資の「主役」交代か>

プラス金利が残存する米債市場だが、「主役」が米国債からより利回りを追求できる別の商品に変わりつつあるようだ。その1つとして米モーゲージ債に脚光が当たり出した。

機関投資家の中には、20年米国債US20YT=RRなどの超長期ゾーン国債への投資を増やす動きもあるが、国債以外の商品に運用先を多角化させようとしている動きもある。

その中で注目度が上がっているモーゲージ債は、住宅ローンを担保に発行する証券。金利や償還期限などで同様の性質のある複数の住宅ローンを集めて証券化し、投資家に販売される。米国では住宅ローンの約3分の2が証券化されている。

米証券業金融市場協会(SIFMA)によると、その残高は、米国債の13.4兆ドルには及ばないものの、8.7兆ドルと流動性は潤沢。モーゲージ債への元利払いには、実質的な政府保証がつくとして「流動性、安全性の面から、米国債に代替するのにうってつけ」(同)との声が市場で少なくない。

住宅金融支援機構の調査部長、小林正宏氏は「米国では雇用が改善し、住宅着工戸数は緩やかながら概ね増加基調にあり、住宅ローンは増えていく方向とみられる」と指摘する。

<1カ月のドル調達コストに上昇圧力も>

このように日本勢の米モーゲージ債需要は高まっているが、実質的に為替のオープン投資を凍結している生保が複数あり、当面の為替への影響は限定的とみられている。「為替のボラティリティが高い中では、オープンでの外債投資はやりにくい」(別の生保幹部)という。

一方、モーゲージ債の期日前償還のリスクに応じ、ヘッジ期間やヘッジコストに変化が表れる可能性がある。

米国債の為替ヘッジでは、3カ月物のスワップやレポ取引が使用されるケースが多いが、モーゲージ債では期日前償還のリスクがあるため、期日前償還の通告期限である1カ月と同期日のヘッジ取引が増えるとみられているためだ。

円投/ドル転スワップよるドル調達コストは、1カ月物で1.24%付近と、米5年国債利回りUS5YT=RRを上回っている。同コストは、通常、四半期末にかけてドルの供給元の欧米銀がバランスシートを圧縮することで上昇。その後は低下する「季節性」がみられてきたが、今年は足元で高止まりしている。

このため「日本勢のモーゲージ債投資が増えれば、短い期間のドル調達コストに上昇圧力がかかってきそうだ」(国内金融機関)との指摘も出ている。

平田紀之 森佳子 編集:伊賀大記

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