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焦点:20年債もマイナス金利、海外勢支配へ 撤退迫られる国内勢

[東京 6日 ロイター] - 日本国債の利回りが、ついに20年債までマイナス圏に突入した。欧州の金融不安の高まりを背景にリスクオフが進んだためだが、マイナス金利の国債は満期まで保有すれば損が出るため、生保など国内の機関投資家は撤退を余儀なくされかねない。

 7月6日、日本国債の利回りが、ついに20年債までマイナス圏に突入した。欧州の金融不安の高まりを背景にリスクオフが進んだためだが、マイナス金利の国債は満期まで保有すれば損が出るため、生保など国内の機関投資家は撤退を余儀なくされかねない。写真は日銀本店。6月撮影(2016年 ロイター/Thomas Peter)

一方、マイナス金利の円調達で稼ぐことで、円債投資でプラスの利回りを確保できる海外勢の存在感が、今後さらに増すことになるとみられている。

<プラス金利を奪い合う国内勢>

生保などの機関投資家は、満期まで持てば損が出るマイナス金利の国債は基本的に持てない。10年債利回りJP10YTN=JBTCがマイナス金利幅を拡大し続ける中、わずかでもプラスの利回りが確保できる超長期債を投資家が奪い合ってきた。

ALM(資産と負債の総合管理)の点で、長期の保険商品にマッチするのは20年債であり、生保の主力投資先だった。年金勢や生保の運用は長期的に安全性が求められており、リスクの高い株式保有や外債の運用比率を一方的に高めることはできない。

しかし、6日の日中取引の円債市場で、20年債利回りJP20YTN=JBTCはマイナス0.005%まで低下し、初めてマイナス圏に沈んだ。「8割以上の円債利回りがマイナス水準になる状況で、かろうじてプラス圏にある超長期ゾーンは貴重で、買うしかない。マイナス水準にあるモノには手を出さない」──。ある生保の運用担当者はそう話す。

マイナス金利でも、日銀により高く買ってもらえる銀行などを除けば、生保など国内機関投資家は、マイナス金利が広がる円債市場からの撤退を迫られている。

<マイナス金利でも「稼げる」海外勢>

20年債利回りを歴史的なマイナス水準に落とし込んだ主役は、海外勢だ。

30年債や40年債は流動性で劣るため海外投資家は手を出しにくいが、20年債に関しては一定の流動性を確保しているため、海外勢が抱える豊富な緩和マネーが流れ込んだとみられている。

円調達において海外勢は有利な状況だ。円債の利回りはマイナスであっても、マイナス金利の円を借りることで、逆に利息がもらえるためだ。3カ月物の円調達コストは、6月月中平均でマイナス0.63%。20年債利回りがマイナス0.01%(6日終値)であれば、0.53%分得する計算だ。

海外投資家は6月12─25日の2週間で約2.6兆円、円債を売り越しており、前週からその反動の買いが入っているとの見方が多い。

一方で、海外勢の買いは続かないとの見方もある。「日本国債のカーブが海外対比でフラット化しているので、グローバルに金利マーケットを見ている海外投資家にすれば、他の国のフラットナーポジションの方が投資妙味があると思われるため、持続的な買いにつながらないのではないか」(みずほ証券・マーケットアナリストの辻宏樹氏)との指摘がある。

ただ、どうして海外勢がマイナス金利で円を調達できるのかという構造問題を考えた時、別の見方ができそうだ。

複数の市場筋によると、一部の地銀を含めた国内金融機関は少しでも高い利回りを求めて外債を物色しており、最近では2%台の利回りを確保できる30年米国債の購入に注目が集まっているという。

その際にドル調達コストを上乗せされても、国内金融機関は外債運用に傾斜しており、円投/ドル転スワップのベーシス(日米金利差からのかい離)は足元で上昇中。6日の1年物は66bpとなっており、米国債に投資する場合、1%前後のコストを払う計算になる。

対照的に欧米金融機関は、ドルの出し手としてマイナス金利で円を調達でき、国内金融機関の外債運用意欲が強い間は、この構造が継続するとみられている。

また、10年債の利回りがマイナス0.285%まで低下しているが、このベーシスの動向次第で、さらにマイナス幅が拡大すると大方の専門家は予想している。

いずれにせよ、海外勢の存在の高まりは、円債市場のボラティリティーを高めることになりそうだ。

岡三証券・債券シニアストラテジストの鈴木誠氏は「参院選後の景気対策で赤字国債を発行することになった場合、超長期債が対象になる可能性がある。このリスクなどを考慮に入れると、海外勢の益出しにより金利に上昇圧力がかかることもある」との見方を示している。

<デフレ回帰観測と日銀緩和期待>

海外勢の円債買いの積極化の背景には、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)により円高・株安が進み、日銀の追加緩和が避けられないとの思惑が働いている。円債金利は超長期ゾーンでもマイナス金利になるとの読みが、海外勢の需要を刺激したようだ。

6日の市場で、ドル/円JPY=は再び100円台に突入。日経平均.N225も一時500円を超える下落となった。急速な円高進行に伴う物価への影響が懸念されており、輸入物価が下がり、消費者物価に一段の下落圧力がかかることへの警戒感が強まっている。

ある国内金融機関の債券ディーラーは「デフレに逆戻りするリスクすらある中、マーケットは7月会合での日銀追加緩和策を完全に織り込んだ」と指摘する。

SMBCフレンド証券・チーフマーケットエコノミストの岩下真理氏は、7月の日銀会合で追加緩和策を検討せざるを得ないだろうとの見方を示す。29日発表の「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の物価見通しについて「17年度の予想中央値を4月のプラス1.7%から1%台前半に下方修正するのではないか。目標達成時期の17年度中も後ずれさせる必要が出てきそうだ」とみている。

伊藤武文 編集:伊賀大記、田巻一彦

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