July 26, 2017 / 7:42 PM / a year ago

米FOMC、資産縮小「比較的早期に」:識者はこうみる

[27日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は26日までに開催した連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を据え置くとともに、「比較的早期に」バランスシートの縮小に着手する考えを示した。

7月26日、米FRBはFOMCで金利を据え置くとともに、「比較的早期に」バランスシートの縮小に着手する考えを示した。写真は2012年4月、ワシントンのFRB前で撮影 (2017年 ロイター/Joshua Roberts/File Photo)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●バランスシート縮小、タイミング後ずれも

<みずほ証券 チーフマーケットエコノミスト 上野泰也氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で、物価の現状認識が下方修正された。年内利上げは微妙で、米債の中期ゾーンが買い戻されてきている。米10年債は2%を目指す方向になりそうだ。

バランスシートの縮小に「比較的早期に」着手するとした。市場関係者の間では、米連邦準備理事会(FRB)が次回9月の会合でバランスシート縮小開始を発表するとの見方が支配的となっているが、9月が絶対ではない含みを残した。事実上の予告まで踏み切らずにバランスシートの縮小についてはタイミングの後ずれの可能性を保持した印象を受ける。

円債に関しては、鍵は円高だと考えている。為替の円高状況次第で金利低下余地が広がる方向になる可能性がある。

●9月資産縮小織り込ませる意図、日本株にはニュートラル

<大和証券 チーフグローバルストラテジスト 壁谷洋和氏>

それほど大きなサプライズはなかったが、9月のFOMCにおけるバランスシート縮小決定を織り込ませにいこうという意図が出ている。物価への見方は引き続き慎重で、利上げを緩やかに進める方針自体は変わらない。全体的なバランスをとっているイメージだ。

前日の米国株が最高値をとったのは、FOMCよりも決算が追い風となった面もある。ただ引き続き米国の金利上昇が抑えられるならば、米国株にはポジティブだ。

一方で日本株は為替の部分で円安のサポートが得られにくくなる。今回のFOMCの結果は日本株に対しては極めてニュートラルに近いものだろう。今後は日本企業の業績が焦点になる。業績が引き続き堅調であれば、外部環境が落ち着いている分だけ、株価は素直にファンダメンタルズを反映していくとみている。

●インフレ率低迷が「一時的」かの結論は秋に

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 シニア投資ストラテジスト 服部隆夫氏>

為替市場では、今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)の声明がタカ派的になるとの思惑に基づいてドルを買い進む動きが事前にあり、実際には、若干ハト派的な内容になったことで、ドル買いポジションが巻き戻された格好だ。

声明では、バランスシートの縮小に関して、6月声明の「今年中」から今回は「比較的早く」という文言に変わり、幅を持たせた。

物価動向に関しては、6月声明の「2%をやや下回っている」から今回「2%を下回っている」に変更した。

この変化はインフレ率についてFRB内で相当議論があることの証左だろう。

FRBは物価がなぜ低迷しているのか解明できておらず、イエレン議長はインフレ率の低迷を「一時的」とみなしているが、それを否定するような事象も確認できていない。

結論が出ていないので、「やや」の部分を取り除いて、見通しの枠を拡張したのではないか。

イエレン議長が言うように、インフレ率低迷が携帯電話料金の格安パッケージの導入や処方箋医薬品の値下げといった一時的な要因のせいであれば、おそらく、9月、10月のインフレ率で、この見立てが正しかったかどうかの結論が出るはずだ。

ドル/円相場については、FOMCを挟んで、ポジションの巻き戻しが起きたこと以外は大きな変化はなく、ドルは108―114円のボックス圏に留まり、方向感が未だついていないとみている。

今後の相場の方向性に影響するイベントや指標では、明日の第2・四半期米GDPや、8月月初のコアPCE価格指数、ジャクソンホール会議などに注目している。

●ハト派と言えず、ドル/円はインフレ改善待ち

<メリルリンチ日本証券 チーフFXストラテジスト 山田修輔氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)後のドル/円の下落反応を見る限り、市場はハト派寄りと受け止めたようだ。

事前に市場の一部では、今回のFOMCでバランスシートの縮小開始などといった思惑がくすぶっていたこともあって、過度な期待が後退した面があるだろう。ユーロの上昇は、ドル下落の裏返しと言える。

文言自体は特に弱気になった部分も見当たらず、ハト派寄りとは言えない。9月にバランスシートの縮小開始を発表し、12月に追加利上げするという従来からの予想は変えない。投機筋によるドルショートも積み上がっており、いずれドル高方向に転じるだろう。

ただ、ここからは夏休みシーズンが本格化する。8月は低金利・株高でドル/円は小休止という展開が基本シナリオだろう。データの改善、特にPCEデフレーターやCPIなどでインフレの改善を確認するまでドル買いモメンタムはつきにくい。

●サプライズなし、引き締めペースに注目

<グレンミード(フィラデルフィア)の投資戦略部ディレクター、ジェーソン・プライド氏>

市場は今回、利上げはほぼないと予想していたため、サプライズはまったくなかった。今後は利上げだけでなく量的緩和の縮小も行われる見通しで、年内に何らかの動きがあると予想されるが、引き締めのペースについては注意が必要だ。

●9月にバランスシート縮小開始と市場に伝達

<ウェルズ・ファーゴ・ファンズ・マネジメント、シニア投資ストラテジスト、ブライアン・ジェイコブセン氏>

FRBは9月という時期に直接言及することなく、バランスシートの縮小を9月に開始すると市場に伝えた格好だ。最近の雇用統計の進展に伴い、景気判断も改善した。インフレ率については、FRBはなお目標の2%に向かって上昇するとの期待を堅持している。

●非常に均衡が取れた声明

<BMOキャピタル・マーケッツ(ニューヨーク)の金利ストラテジスト、アーロン・コリ氏>

今回の結果は非常にバランスがうまく取れていた。結果にランクをつけるとすれば、今回が最高だったと言える。

FRBは市場に何の新たな情報も提供しなかった。インフレは軟調であるとの認識を示したが、これは声明のハト派的な部分と言える。一方、比較的早期にバランスシートの縮小に着手すると示唆することで、市場に対する手綱を引き締めぎみに維持した。

9月のバランスシート縮小開始が確実であることを示唆する一方で、特にインフレに関して一部リスクはなお存在しているとの認識を示すことで、FRBはうまく均衡を取った。

●比較的早期の文言、9月以降の資産縮小開始余地残す

<フォレックスライブの首席為替アナリスト、アダム・ボタン氏>

FOMC声明を受けてドルは下落した。理由は2つある。ひとつは、バランスシートの縮小について「比較的早期」に開始するとし、「早期」とはしなかったことだ。これは9月以降に開始する余地を残したことになる。また、市場ではこの日の決定を控え、何らかのタカ派的なサプライズがあるとの見方を踏まえたポジションを取っていたが、こうしたサプライズがなかったため、ドルが売られる結果となった。ただ、ドルは間もなく安定し、市場の関心は指標にシフトすると想定する。

●資産縮小開始9月に正式発表

<ジェフェリーズ(ニューヨーク)の首席フィナンシャル・エコノミスト兼債券担当マネジング・ディレクター、ワード・マッカーシー氏>

バランスシートを巡るガイダンスを変更したことについては、9月にも正常化着手を正式に発表することを示唆していると解釈している。

ただ「比較的」との文言を使ったことで、労働市場やインフレ、さらに連邦債務上限引き上げ問題などを巡り懸念が生じた場合、一定の調整余地が生まれた。

今回の声明のトーンは過去数回の声明と似通っていた。ただインフレが「2%を下回っている」ことは若干強調されている。

総合すると、今回の声明では金利とバランスシートの正常化を継続することがなお示されているが、このところのインフレ鈍化に関する見方については、「理解不能な苛立たしい事象」から、「金利引き上げとバランスシートの正常化を遅延させる要因になりかねない事象」に格上げされた。

●多少ハト派色増す、資産縮小は9月開始

<コモンウエルスFX(ワシントン)の首席市場アナリスト、オマー・エジナー氏>

連邦公開市場委員会(FOMC)声明は控えめながらハト派色が増したとの印象を受けた。連邦準備理事会(FRB)はインフレ見通しに関してやや懸念を深めている可能性がある。過去の声明文ではインフレが「やや」(somewhat)鈍化したとの表現だったが、今回この「やや」という文言が外れたようだ。これはFRBがインフレへの警戒をわずかながら強めた表れではないか。

その他、バランスシートの縮小についてはおそらく最も明確で、バランスシートの縮小が9月に開始することを意味しているとおもう。全体的には今回の声明文は前回からそれほど大きく変わっていないが、インフレに関する部分に相場は反応しているようだ。

*見出しを修正しました。

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