December 14, 2016 / 8:42 PM / 2 years ago

米FOMC、1年ぶりの利上げを決定:識者はこうみる

[14日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は14日まで開催した連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラル・ファンド(FF)金利の誘導目標を0.25%ポイント引き上げ、0.50ー0.75%とすることを決定した。利上げは昨年12月以来1年ぶり。

 12月14日、米FOMCは0.25%の利上げを決めた。写真は記者会見に臨むイエレンFRB議長。ワシントンで同日撮影(2016年 ロイター/Gary Cameron)

また、同時に示した経済見通しでは、2017年の0.25%利上げの予想回数が中央値で3回となり、9月時点での2回からペースが速まった。

市場関係者のコメントは以下の通り。

●問われるトランプ新政権の政策実現性

<クレディ・アグリコル証券・チーフエコノミスト 尾形和彦氏>

今回のFOMCで利上げは予想通り。政策金利見通しが引き上げられたことで、米金利上昇と円安・ドル高が進んだ。

「ドットチャート」では来年3回の利上げペースが示された。弊社は当初、年2回とみていたが、米大統領選でトランプ氏が勝利したことで、利上げペースに変化が出てくることを警戒していた。年3回の利上げペースは想定外というわけではないが、トランプ新政権が掲げる政策の実現性次第で、米連邦準備理事会(FRB)も対応せざるをえないということだろう。

ただ、トランプ新政権の発足は年明け1月。政策期待だけで、利上げペースを見極めることは難しい。経済見通しに大きな変化がないことも気がかりだ。

米10年債利回りは2.5%を突破した。年3回の利上げペースを前提にすると、さらなる利回り上昇圧力がかかるだろう。レンジが切り上がり、2.7%付近が見えてくるかもしれない。円債市場は、外部環境の悪化を受けて、きょうの20年債入札の結果が懸念される。

●ドル/円と金利差の相関持続力に注意

<JPモルガン・チェース銀行 為替調査部長 棚瀬順哉氏>   

利上げは予想通りだったが、FOMCメンバーによる金利見通しの上方修正が予想外だったことで米国債利回り上昇、ドル全面高となった。

ただ、メンバーの金利予想について、市場は中央値で見て25ベーシスポイントの上方修正と受け取った可能性があるが、平均でみれば5ベーシスポイント程度の上方修正にとどまる。市場の織り込みはやや行き過ぎに見える。

先行きとしては、今回上方修正したメンバーは、足元の失業率低下に反応したと思われるため、今後も失業率が予想外に低下するようなら、より積極的な利上げの可能性が高まるといえるかもしれない。

目先のドル/円は、米金利動向次第といえるだろう。日米金利差との相関は引き続き強い。ただ、10月の初めからの相関でみれば、現在の水準は1円程度、過大評価といえる。金利が頭打ちとなれば、115円台後半に向けて調整してもおかしくない。

過去の利上げ局面を見れば、利上げ後にはドル/円と金利差との相関が崩れ、数カ月間でドル/円が下落しているパターンが多い。今回も同様の経路をたどるかがポイントになる。

●ドル/円、目先上値追いも徐々に勢い鈍化

<三菱東京UFJ銀行 グローバルマーケットリサーチ チーフアナリスト 内田稔氏>

FOMCメンバーの金利見通に基づく来年の利上げ回数が市場予想を上回った。これで国債利回りが全般的に上昇し、ドルをサポートした。

利上げした一方で、翌々年の金利見通しを下方修正し、米国債利回りが低下に転じた去年の利上げ局面と異なり、今回は金利見通しが上方修正されたことから、短期的にはドル円も上値を追う可能性が高いだろう。加えて、中国などの新興国も、自国通貨を買い支える介入原資を得るため、米国債の売却に動く可能性があり、米国債利回りの上昇を助長するおそれがある。

ただ、史上最高値圏にある米国株や原油価格が利上げを受けて、弱含んでいる点が、年明け以降にリスク回避が強まった去年と共通している。今回も、金利上昇による株価や原油価格といったリスク性資産の動向に注意が必要だ。

投機筋の円ショートも足元ではかなり拡大していると見込まれる。ドル/円にとって117円台は、オーバーシュートの領域とみており、このまま120円に向かってどんどん上がるというより、調整が入る可能性の方が高いとみている。

年内はトランプ次期米政権への期待感が完全にはく落しない限り、115円割れでは押し目買いに支えられそうだ。ただ、リスク資産が変調を来たし、リスク回避姿勢が強まれば、上げ足が速かったドル円だけに、下げ幅も広くみておく必要が出てくるだろう。

●利上げペースの加速示唆には疑問=みずほ銀 唐鎌氏

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーの金利予測の分布を示す「ドットチャート」で来年3回の利上げが示唆され、9月に示された年2回から利上げペースが速まった。市場の想定外で、ドル買いを招いている。

イエレン米連邦準備理事会(FRB)議長は記者会見で、トランプ次期大統領による財政政策変更の予想が、一部の当局者の金利見通しに影響した可能性があることに触れていた。

ただ、財政政策の変更があるとしても、効果が表れるのはまだ先の話。最近、ゲームのルールが変更されたとか、世界が変わったという言説をよく目にするが、少なくとも現時点ではまだ何も変わっていない。それにもかかわらず、これだけ長期金利やドルが急騰し、金融状況が強烈に引き締まってしまったことに関して、その影響を懸念する雰囲気は乏しいように思える。

今回、FRB当局者は過熱した相場に懸念を示し、タカ派的な情報発信が控えられるのではないかとみていたが、マーケットのムードに同調して利上げペースを上げようという話になっている動きには違和感を覚える。このような市況が続く中で、果たして利上げペースの加速が可能なのか疑問がある。ちょうど1年前の今ごろ、「2016年は年4回利上げ」との予想が支配的となり、ドル買いが加速していたことを思い返すべきだろう。これは実現しなかった。

●初期反応は教科書通り、米ダウの動向が日本株を左右

<岡三証券シニアストラテジスト 小川佳紀氏>

来年の利上げペースが3回となった点は意外だったが、ドル高、米国株の下落など「教科書通り」の反応となっている。ダウ.DJIは2万ドル近辺に位置しており、利上げペースの加速を受けて利食い売りが出るというのは初期反応としては当然だ。指数が高値圏にあることを考えると、もう少し大きな調整でもおかしくはなかった。

米国株の調整が今後も続くのか、というのが目先の焦点となる。ドル高による米国の製造業への影響が時間差で出てくることが想定される一方、利上げペースが加速できるぐらい米国景気が強いとの見方から、調整が短期で終了するシナリオも考えられる。米トランプ次期大統領がいずれドル高をけん制するとの見方もあるが、米企業業績や景気減速への懸念が出れば、米国株の上値を抑えることとなるだろう。

再びダウが2万ドルを試しにいければ、日本株にとってプラス材料となるが、日経平均が1万9500円を超えたところでは、戻り売りも出やすい。半面、米国株の調整が続いた場合でも、大崩れする展開は今のところは見込みにくい。直近では海外投資家がロングに傾いていたほか、前場のTOPIXが小幅な下落となっても、日銀がETF(上場投資信託)の買い入れを実施するなど、需給環境は良好だ。基本的に年内は1万9000円どころの値固めの動きとなるとみている。

●来年の利上げ予想回数増えたのは意外

<シュワブ金融調査センター(ニューヨーク)の債券ディレクター、コリン・マーティン氏>

一言でいえば、利上げは予想通りで意外感はまったくなかった。経済見通しについても予想通りで、ほとんど変更がなかった。おそらく米連邦準備理事会(FRB)はトランプ次期政権の出方を待っているのであろう。

一方、ドットチャートで来年の利上げの予想回数が増えたことはやや意外で、想定よりも多少タカ派的だった。

●金利ガイダンスに現実感

<アバディーン・アセットマネジメント(ロンドン)の投資マネジャー、ルーク・バーソロミュー氏>

金利見通しのガイダンスに興味を覚えた。米連邦準備理事会(FRB)が1年前に示した見通しは実際に大きく外れたわけだが、今回のガイダンスにはより現実感がある。経済回復は一段と進んだ状態にあり、市場もそのことを織り込んでいる。金利は来年以降、緩やかながら上昇していくとの見通しを立てることが可能だ。

トランプ次期米大統領については、彼が打ち出す政策がどういったものになるのか誰も分からないため、大きな既知の未知といえる。仮に大規模な財政出動が実施されればインフレ圧力は確実に高まるだろうし、そうなればFRBとしても利上げでの対応を余儀なくされるだろう。ただ現時点で財政出動がどの程度の規模になるのか、またその影響がどうなるのかは知る由もない。

●ドット・チャート、平均では小幅な動き

<RBCキャピタル・マーケッツの首席米国エコノミスト、トム・ポーチェリ氏>

ドット・チャートのシフトについて、平均での変化は小幅だったことに着眼することが重要だ。2017年の利上げ見通しは6ベーシスポイントシフトしたが、これはドットチャートの下限レンジを想定していた当局者による見通し引き上げが要因で、それによって中央値が押し上げられた格好だ。平均では極めて小幅な動きにとどまっており、FRB当局者が利上げペースの大幅な加速を見込んでいるわけではないことを理解することが重要だ。

●想定よりタカ派的、成長見通し市場に近づく

<アメリプライズ・ファイナンシャルの首席市場ストラテジスト、デービッド・ジョイ氏>

米連邦準備理事会(FRB)が示した来年3度の利上げ見通しは、われわれの予想に沿った水準で、やや想定外でタカ派な印象だ。そのため債券への売りが膨らんでいる。来年の成長率予想も当社の最大2.5%に対し、FRBは2.1%と、われわれの方向に近づいている。新政権誕生に伴う変更については様子見姿勢だが、経済がすでに9月、または11月会合時点より堅調な点を認めた格好だ。

●将来的にドル高へ、目先は弱含む可能性

<シリコンバレー・バンクのシニア外為トレーダー、ミン・トラン氏>

米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は、きょうの利上げ決定を支持し、来年の利上げ予想回数を3回とした。これは追加利上げを支持するのに十分なほど米経済が力強いとお墨付きを与えるものだ。

これはドルの支援材料となる。直近30日はドル高が続いていた。これは支配的な動きで、きょうもそのトレンドは続いている。

議長の会見で、先に発表された声明文を受けた熱狂は収まりつつある。一段の財政刺激策と追加利上げがより強いドルを生むだろうが、それはかなり先の話だ。現時点ではドルが対円で弱含むケースをより多く目にしている。対ユーロでのパリティ達成が再び騒がれても驚かない。

●トランプ氏の勝利、政策運営に影響

<マニュライフ・アセット・マネジメント(ボストン)のシニアエコノミスト、フランセス・ドナルド氏>

声明、予測、ドット・チャートを含めて、米連邦準備理事会(FRB)からの発表はこれまでのところタカ派的だ。これは、トランプ氏が勝利した大統領選を踏まえ、FRBの政策運営の余地が拡大していることを示している。

きょうの声明がよりバランスのとれたものと受け止められるよう、イエレン議長の課題は記者会見をよりハト派的にすることだ。

ドルはかなり上昇しており、債券利回りも、利上げそのもので正当化される以上に大幅に上昇している。

FRBが過度にタカ派的になれば、2017年の経済成長を抑制することになる。トランプ大統領の政策効果が2018年に表れる可能性が高いことを踏まえると、それは問題になる。

*見出しを修正しました。

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