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FRB、3月利上げの可能性示唆:識者はこうみる

[26日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は25─26日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、3月にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げる可能性が高いことを示唆した。同時に、3月に債券買い入れを終了させ、その後保有資産の大幅な圧縮に着手する計画を改めて示した。

米連邦準備理事会(FRB)は25─26日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、3月にフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を引き上げる可能性が高いことを示唆した(2022年 ロイター/Joshua Roberts)

内外の市場関係者の見方は以下の通り。

●声明文は予想通りだが、議長会見はタカ派

<バークレイズ証券 チーフ債券ストラテジスト 海老原慎司氏>

前日の米国市場の反応が物語っている通り、FOMC声明文はサプライズなしだったが、その後のパウエルFRB議長の記者会見での発言は、毎回の会合で政策金利を引き上げる可能性を否定しなかったなどタカ派的だった。

FOMC前には今年4回の利上げを織り込んでいた米短期金融市場は、パウエル議長の会見を受けて、年5回の利上げとなる可能性を60─70%程度まで織り込む形となった。

利上げのパスをめぐる不透明感が高い中で、米金利カーブはフロントエンドを中心に不安定化しやすく、ボラティリティが大きい展開が予想される。

一方でFF金利のターミナル・レートが中立金利に近い1.75─2.00%で変わらないと仮定すれば、既に米5年先5年金利が1.8%台で推移しているため、10年や30年といったロングエンドでの金利上昇バイアスは相対的に限られてくるだろう。

JGB(日本国債)金利については、米金利の一段の上昇を受けて、方向性としては金利上昇バイアスを受け継ぐものの、上昇幅は抑制されやすい。その背景には、昨日公表された日銀の1月金融政策決定会合における「主な意見」で確認されたように、日米間での金融政策の方向性の違いが明白であることがある。

FRBと日銀の金融政策のベクトルの違いに鑑みれば、米金利の上昇に対する円金利の感応度は低下しやすく、円金利のスペースでは米金利上昇時には押し目買い需要が強まりやすい。金利急上昇に伴ってリスク回避の動きが強まる可能性や地政学リスクが残る中では、なおさらであろう。

●3月会合で50bp利上げとQT開始の可能性残る

<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>

今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)でサプライズはなかった。市場は前のめりで金融引き締めを織り込んでいたものの、米連邦準備理事会(FRB)が示唆していたスタンダードな出口戦略に戻った。

オミクロン株の感染拡大や足元の原油高を踏まえるとサプライチェーンの目詰まりは解消されないとみられ、QT(量的引き締め)の開始を6月まで待つと、インフレが増長する可能性が高い。

バイデン政権がインフレ抑制に取り組んでいることを踏まえると、FRBが3月会合で50bpの利上げに踏み切り、同時にQTを開始する可能性は残っている。

市場ではすでに複数回の利上げや50bpの利上げを織り込むなど、ある程度シュミレートしており、利上げタントラムやQTタントラムに対して市場の耐性は整っているとみている。

先見的な金融政策を行っていくのが中央銀行の基本線であるほか、バイデン政権が中間選挙で勝利するためにも、株安トレンドにならないよう金融引き締めを行っていくだろう。

●会合結果自体は無難、議長会見に市場は不安

<大和証券 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和氏>

市場が期待した通りの展開とは必ずしもならなかった。今回の会合で、過度なタカ派的でない見通しが明確になるとの期待が打ち消された印象だ。3月のテーパリング(金融緩和の段階的な縮小)完了や3月利上げ開始の示唆までは良かったが、パウエルFRB議長の会見では、毎回の会合で利上げする可能性に含みを残し、資産縮小(QT)開始も年前半との印象を市場に与えた。

もっとも、FOMC後の会見はいつも、引けに近い時間帯のため、その日の相場は第一印象だけで動くことが多い。翌日以降の相場でよくそしゃくされ、正しい受け止めが出てくることもある。時間外の米株先物は持ち直す動きを見せており、売り一辺倒でもない。引けにかけて急激に値を下げた米株のモメンタム通りかの判断は早計だろう。

明らかになったのは、利上げの正確なパスが定まっていないということだ。市場の想定を見直す必要はありそうだが、その確信を得るにも至らず、市場は疑心暗鬼になっている。2月相場は一進一退ではないか。これまでの調整を踏まえれば、大きく崩れるとは思わないが、次回の3月会合までは、経済指標や企業業績に一喜一憂しながらの不安定な状況が続きそうだ。

●市場の期待は過度にタカ派、緩やかな利上げ予想

<SLCマネジメントのシニアマネジングディレクター、ピーター・クラマー氏>

FRBは非常に動きが遅く、金融政策は意図的に9━18カ月遅行してきた。過去3カ月の市場の金利予測の急転換はFRBの意思決定のスピードからすれば超高速だった。今回のFOMCに関する市場の期待は過度にタカ派的だった。FRBの政策運営は月単位ではなく年単位あるいは四半期単位でペースを刻んでいる。

今後の利上げはかなり緩やかなものになるだろう。パウエル議長はインフレが手に負えなくなることは懸念しておらず、一過性という判断が間違いだったと認識しているのだと私は個人的に理解している。インフレの性質そのものではなく、期間という意味でそう言える。

●サプライズなし、地合いの悪さが警戒感強めた

<りそなホールディングス チーフストラテジスト 梶田 伸介氏>

声明文やパウエル議長会見に特段のサプライズはなかったが、地合いが弱くボラティリティーが高い中で、一部の発言などが警戒感を持って受け止められてしまった。

毎回のFOMCで利上げを検討するかとの記者団の質問に対し、パウエル議長が明確に否定しなかったことなどが、警戒されたようだ。

市場の反応は行き過ぎ感もあり、パウエル議長が2月の議会証言などでうまくコミュニケーションを取れば落ち着きを取り戻すだろう。

円債も売りが先行する見通しだが、米国の材料であり、10年債金利が0.15%を上抜けていくとはみていない。

●議長会見で不透明感、市場にネガティブ

<スパルタン・キャピタル・セキュリティーズ(ニューヨーク)のチーフマーケットエコノミスト、ピーター・カルディロ氏>

パウエル議長は質疑応答でやや不透明感を生み、市場はそれに反応した。議長はインフレや供給制約が悪化する可能性に言及した。市場に状況悪化への準備をさせるとともに、懸念要素のバランスを取ろうとしたのだろう。だが、不確実な雰囲気を生み出したもようで、市場にはネガティブだ。

議長はFRBが一段の手段を講じなければならない可能性に触れ、バランスシートの縮小に言及した。議長会見を受けて市場は不確実性を恐れている。

●バランスシート縮小時期などなお不透明

<アメリプライズ・フィナンシャル・サービシズ(ミシガン州)のチーフエコノミスト、ラッセル・プライス氏>

声明にはなお多くの疑問が残されている。特にバランスシートの縮小に関してだ。詳細な説明はなかった。

利上げの見通しについてはある程度明確にしたが、市場が求める全てではない。バランスシートがいつ縮小されるかが不透明だ。このような政策変更期に伴う不確実性を考慮すると、明確さが少しでも高まれば市場は好感するだろう。

●3月利上げを明確に示唆

<キャピタル・エコノミクス(ニューヨーク)のシニア米国エコノミスト、マイケル・ピアース氏>

連邦準備理事会(FRB)が声明で、利上げが「間もなく適切になる」と表明したことは、3月に利上げが決定されることを明確に示している。

FRBは利上げ開始後にバランスシートの縮小に着手するとしているが、この件に関して早ければ次回会合で何らかの発表がある可能性がある。こうした動きはわれわれの見通しより若干タカ派的だ。

●3月に50bp利上げない見通し

<ステート・ストリート・グローバル・マーケッツのマクロ戦略北米主任、リー・フェリッジ氏>

市場は先走りしていたようだ。3月に50ベーシスポイント(bp)の利上げが実施されないと、声明は示唆している。市場に織り込まれていたタカ派的な見方が確認されなかったことで、株式市場で安心感が広がっている。量的引き締め(QT)が6月に始まる可能性が示されたことも注目点だ。

●予想以上に速いペースの利上げへ柔軟性維持

<インディペンデント・アドバイザー・アライアンスの最高投資責任者、クリス・ザッカレリ氏>

記者会見で、米連邦準備理事会(FRB)が毎回の会合で利上げを(年4回以上の利上げ)を検討するかという質問に対し、パウエル議長がそれはないと応じたことは、必要に応じて予想よりも速いペースで利上げを実施する柔軟性を維持したいとの姿勢を示している。

パウエル議長はまた、金融状況に関する質問へのコメントを避けた。これは、米株価が1カ月弱で10%近く下落したことをFRBが懸念しておらず、株価がこれ以上に大幅安とならなければ、FRBが現在のスタンスを変更しない可能性を示唆した。

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