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展望2020:半導体の回復鮮明に、5Gとデータセンターがけん引

[東京 1日 ロイター] - 2020年は半導体分野の回復基調が鮮明になりそうだ。在庫調整の進展に加え、5G(第5世代通信網)やデータセンター関連の需要がけん引するとみられる。米中摩擦などのリスク要因はくすぶるものの、ひとまず過剰供給への懸念は23年ごろに後ずれするとの見方も出ている。

 2020年は5Gなどがけん引し、半導体分野の回復基調が鮮明になりそうだ。写真は2019年9月、千葉県で開かれた東京ゲームショウで撮影(2020年 ロイター/Issei Kato)

世界半導体市場統計(WSTS)の世界半導体市場予想によると、2019年の前年比12.8%減、20年は同5.9%増。世界経済の先行き不透明感から市場が急激に悪化した18年の流れを引き継ぎ、在庫の積み上がりで低迷が続いていたが、それが反転した可能性がある。

IHSマークイットの調査では、NANDメモリのギガビット価格は8月の0.126ドルから直近は0.132ドルまで上昇。在庫は3月の98日から76日へと減り、半導体工場の稼働率も3月の81%から85%へと上昇し始めた。

IHSマークイットの南川明主席アナリストは「メモリは中国勢の立ち上げが予想より遅れており、需給面でプラスだ。20年にはかなり過剰供給になると見込んでいたが、23年ごろに後ずれした」とみている。

<立ち上がり始めた需要>

回復の主なけん引役は5Gとデータセンターだ。国内の5G商用化は来春以降だが、世界規模での需要は動き始めている。

商用化で先行した韓国のデータトラフィックは、5Gでは4Gの3倍程度あるとみられ「メモリを相当使う必要があり、想定されたより半導体の需要は大きくなりそうだ」(南川氏)という。

SBI証券の和泉美治シニアアナリストは「半導体の中身が高度化することで、台数は伸びなくても金額が伸びることが期待できそう」とみる。世界のスマホ出荷台数は1年あたり約14億台で、台数自体の大きな伸びは見込みにくい。ただ、5Gで通信速度が上がりデータ量が増大することでより高速なプロセッサが必要になり、DRAMやNANDの使用量も増える方向だ。

これから設置が進む5G向け基地局での半導体需要も見込まれる。遠隔操作などにおけるデータ処理の遅延を減らす狙いから「通信会社が基地局に小さなサーバーを設置するデータセンターのエッジ化の動きが世界中で出ている」と、IHSマークイットの南川氏は指摘する。

大型データセンター投資も、GAFAが今後のデータ量の増加を見据え、インテルINTC.Oの次世代CPU(中央演算処理装置)を搭載した製品を主体に増える見込みという。

5Gやデータセンターだけではない。自動車の電動化も追い風だ。モーターやバッテリーを制御するためのパワー半導体などの需要が動いており、富士電機6504.Tや三菱電機6503.T、ローム6963.T、東芝6502.Tなどが手掛ける。

こうした需要を見込んで、韓国のサムスン電子005930.KSや台湾のTSMC2330.TWTSM.Nが大型投資を決めた。

日系企業ではメモリー大手のキオクシア(旧東芝メモリ)などへの業績貢献が見込まれるほか、スマホは搭載カメラ数が増加する「多眼化」の傾向が続くとみられ、ソニー6758.TのCMOSセンサーも好調を維持しそうだ。

SUMCO3436.Tや信越化学工業4063.Tといった素材メーカーにも追い風となる。メーカーによっては5G端末では4Gに比べ半導体が2─3割増えるとの予想もあり「とりわけTSMCの大型投資で先行き、出荷数量の増加が見込める」と野村証券の岡崎茂樹アナリストは話す。

<リスクシナリオでも強い微細化技術>

リスク要因もある。一つはパソコンの成長鈍化だ。今年は米マイクロソフトMSFT.OのOS(基本ソフト)であるウィンドウズ7のサポート終了を控えた買い替え需要が強かったが、来年は一服感が出てきかねない。米中貿易摩擦への警戒感も根強い。

SBI証券の和泉氏は、市場の回復ペースは緩やかなものになると予想する。在庫調整が進んでも需要が高まれば生産余力はあるため、市況の急回復は想定しにくいとみている。今年の株式相場は半導体関連の改善傾向を期待先行で織り込んできた面があり「市場の期待する回復ペースとのギャップが生じれば、株価は伸び悩むかもしれない」(和泉氏)という。

ただ、こうしたリスクシナリオにおいても強いとみられるのが、最先端プロセスに関連する企業だ。回路線幅の微細化が進展する中で次世代技術のEUV(極端紫外線)露光技術が注目されており、手掛ける日本電子材料6855.T、レーザーテック6920.T、東京エレクトロン8035.Tなどの業績は、半導体関連の中でも、とりわけしっかりしそうだと予想されている。

来年春とみられているキオクシアの上場。上場延期となれば回復はそれほど強くないとの見方に傾く可能性もあり、市場のバロメーターと目されている。

平田紀之 編集:田中志保

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