February 27, 2018 / 3:00 AM / 4 months ago

焦点:難しい18年度為替設定、110円と105円で悩む国内企業

[東京 27日 ロイター] - 国内企業が2018年度の想定為替レート設定に苦慮している。例年、業績予想の前提となる社内レートを決め、来期の計画を固めに入っている時期だが、2月中旬にドル/円JPY=EBSが105円台をつけた後の戻りは鈍く、再度の円高進行が警戒される。一方、日米金融政策の方向性の違いから円安になるとの観測も多く、現時点での見極めが難しい。

 2月27日、国内企業が2018年度の想定為替レート設定に苦慮している。例年、業績予想の前提となる社内レートを決め、来期の計画を固めに入っている時期だが、2月中旬にドル/円が105円台をつけた後の戻りは鈍く、再度の円高進行が警戒される。写真は都内で2016年3月撮影(2018年 ロイター/Issei Kato)

<110円派>

「19年3月期の予算編成はほぼ最終段階だが、今のところ1ドル110円を前提にしている。今後105円に近いところで定着したら(業績的に)かなりつらいことになる」──。ある機械メーカーの首脳はこう漏らす。

同社は今期、想定レートを期初から変えず1ドル=110円としてきた。実勢レートは4月から12月の間、おおむね107─114円を中心としたレンジが継続。平均して111円半ばと想定よりやや円安で推移した。自動化や省人化の流れも業績の後押しとなり、このままいけば増収増益となる見通しだ。

来期も105─115円で推移し、平均すれば110円近辺になるとみていた。しかし、2月に入って急激なドル安/円高が進行。一気にレンジ下限の105円に近づいた。

同首脳は「3月以降も現行水準の106─107円が続けば、想定レートは変更せざるを得なくなる」と顔を曇らせる。5円分の円高設定は業績見通しを押し下げる要因となる。

早い段階で来期の社内レートを110円に設定し、すでに計画を動かし始めている企業もある。その自動車部品メーカーの幹部は「105円を超えて円高が進むと計画が成立しなくなるが、今じたばたしても仕方がない」と泰然。来期の業績予想を発表するまでに円高が進んでいれば「修正した数字を公表するだけ」と淡々とした口調だ。

<105円派>

一方、17年度の想定レートを期初から105円で据え置いてきた企業からは、予想通りになったとの声も出ている。ある在阪の部品メーカー首脳は「トランプ政権とドルの先行き不透明さを感じていた中で円高リスクを意識していた。本当は103円にしたかったが、『倒産(103=とうさん)』と語呂が悪いので止めた」と話す。

ただ、来期に一段と円高が進み、100円を割り込んでいくかといえば、そうはみていない。「100円は悲観的過ぎ。そこまで不安定要素があるとは思えない。ドルはいったん105円が底になるのではないか」との見方を示す。

実際、通貨オプション市場でも、一段の円高を警戒する動きはあまりみられない。プットオプションとコールオプションの売買の傾きを示すリスクリバーサルは、1カ月物の円コールオーバー幅が2月9日を直近ピークとして縮小傾向。日本の年度末をまたぐ3カ月物もほぼ同様の動きとなっている。

先の部品メーカー首脳は「為替に楽観的過ぎるのはいけないが、悲観的になり過ぎてもいけない。縮こまって次の一手を打てなくなる。100円で利益が出る態勢をつくってきており、来期もその備えで対応は十分可能だ」と述べる。

<円高気味に設定しがちな企業>

企業の多くは、新年度の想定為替レートを厳しめに設定しがちとされる。楽観的な見通しをベースにした業績計画を公表し、後から下方修正するのは避けたいという心理が働くとみられている。

そのため、仮にドルが2月に下落する前の110円近辺で推移し続けていた場合でも、来期の想定レートは105─108円程度に収れんしていた可能性がある。

ただ、一段の円高が警戒される中、105円が本当に保守的な水準と言えるかどうかはわからない。

105円台に下落した時点で、来期の想定レートを決めていない企業が多ければ「102円とか100円とかにすべきかという議論になる」(ドイツ証券の田中泰輔チーフ為替ストラテジスト)との指摘も出ている。

ロイターが2月中旬から下旬にかけて市場関係者を対象に行ったアンケート調査[nL4N1QC0Q2]によると、現在の日本経済にとって好ましいドル/円の水準は110─114円が34人中20人と最も多かった。105─109円が8人で続き、104円以下は0人。ここでも105円がボーダーラインだ。

3月期決算の企業は、5月の大型連休前後に17年度の決算と18年度の業績見通しを公表する。それまで担当者は、神経質に為替相場をにらむことになりそうだ。

杉山健太郎 編集:伊賀大記

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