March 8, 2018 / 6:59 AM / 3 months ago

焦点:ドル安鮮明、ささやかれる基軸通貨の地位失墜リスク

[ニューヨーク 7日 ロイター] - ドルは過去1年間で相場が大きく下落した上に、足元でも世界的な貿易戦争勃発への警戒感から下げが一段ときつくなっており、準備通貨としての支配的な地位が「風前のともしび」になっているのではないかとの見方が再燃している。

 3月7日、ドルは過去1年間で相場が大きく下落した上に、足元でも世界的な貿易戦争勃発への警戒感から下げが一段ときつくなっており、準備通貨としての支配的な地位が「風前のともしび」になっているのではないかとの見方が再燃している。写真は2月撮影(2018年 ロイター/Dado Ruvic)

ただしロイターが集めたデータを分析すると、そうした懸念は行き過ぎのようだ。

主要通貨バスケットに対するドル指数.DXYは昨年の下落率が10%と2003年以来の大きさを記録。背景には、米連邦準備理事会(FRB)が計3回利上げするほどだった米国より、欧州や中国などの方が成長ペースがまさっているという明白な事実がある。

今年に入ってもトランプ米政権が打ち出した鉄鋼とアルミニウムへの輸入制限を巡る不安や、各国中銀による金融緩和の巻き戻しの予想を受けてドルは3%近く下落し、2月には約3年ぶりの安値に沈んだ。

ドルは、単一通貨ユーロの導入や中国経済の劇的成長を受けて1980年代から準備通貨の地位に疑問が投げかけられてきた。しかしこの数カ月は、ムニューシン財務長官が「弱いドルは良いことだ」と述べた直後にトランプ氏が「強いドル」を支持するなど現政権の方針が一貫性を欠いたこともあり、売り圧力が増している。

コモンウェルス・フォーリン・エクスチェンジの首席市場アナリスト、オマー・エシナー氏は「トランプ政権の政策決定が予想不可能なため、ドルがますます売られているようだ」と述べた。

問題はこうしたドル売りが正当化されるかどうかだが、警戒すべき兆候はある。ドル建て資産の保有で1位と2位の中国、日本が米国債に対して冷ややかな態度になっているのだ。

中国国家外為管理局(SAFE)は外貨準備の分散化を進めていると明らかにしており、それは米国が大規模減税による財政赤字拡大の穴埋めを迫られ、FRBがバランスシート縮小を進めるタイミングと重なった。

中国の2月の外貨準備は13カ月ぶりに減少。米国債の保有残高は昨年8月から横ばいが続いている。日本は1月の外貨準備が小幅増加したものの、米国債の保有残高は2011年12月以来の水準に落ち込んだ。

国際通貨基金(IMF)が昨年12月に公表したデータからは、第3・四半期の外貨準備におけるドルの比率は14年半ば以来の水準に下がり、ユーロとポンドの割合が高まったことが分かる。

アムンディ・パイオニア・インベストメンツの通貨ディレクター、パレシュ・ウパダヤ氏は、ユーロとポンドは流動性が比較的高いため、「中銀にとって外貨準備通貨として採用しやすい」と話す。

それでもドルは世界の外貨準備でなお圧倒的なシェアを持ち、代替的な準備通貨が見当たらないことから、支配的な立場が本格的に揺らぐにはまだ何年もかかりそうだ。

予見し得る将来において下げ歩調が続いても、外国政府が米国債を投げ売りしたり、ドル建て貿易が減少するか、またはドル指数が09年に付けた過去最安値を割り込まない限り、準備通貨としての地位を保つだろう。

IMFのデータによると、昨年第3・四半期のドル建て外貨準備の絶対額自体は6兆1260億ドルと、前期の5兆9120億ドルから増加した。

ニューヨーク連銀の外為委員会による半期に一度の報告では、ドル建て取引の状況を示す北米地域の1日当たりの外為取引高は昨年10月に前年同月比7%増えた。

つまり総合的に考えれば、ドルは昨年初め以来魅力が下がっているとは言っても、近いうちに世界一の準備通貨の座から転げ落ちる恐れはない。

(Richard Leong記者)

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