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焦点:株高下で異例の円高、ドル主導で緊張欠く 「逃避通貨」に疑義も

[東京 6日 ロイター] - 円相場が対ドルで久々の103円台へ上昇したが、外為市場に緊迫感はほとんどない。日米株価が高値圏で推移しており、リスク回避の円高とは大きく状況が異なるためだ。一方、円が「逃避通貨」の座から陥落しつつある点は見逃せないとの指摘もある。

 11月6日、円相場が対ドルで久々の103円台へ上昇したが、外為市場に緊迫感はほとんどない。写真はシンガポールで2017年6月撮影(2020年 ロイター/Thomas White)

<米政治「ねじれ」が楽観の源>

米国で大統領選挙、議会選挙の結果が徐々に明らかになる中、5日の海外市場ではドルが全面安となり、対円でも一時103.45円まで下落した。3月以降続いた取引レンジの下限を下抜け、3月12日以来となる8カ月ぶり安値を更新している。

しかし、5日の米株式市場は大幅続伸。S&P総合500種.SPX、ナスダック総合.IXICはともに史上最高値を再び視野に入れてきた。日本株もその勢いに乗り、日経平均.N225は年初来高値を更新。株高と円高が同時に進行する異例の展開となっている。

その動きの鍵となったのは、強烈なドル売りだ。ユーロや円など主な通貨に対する総合的なドルの動きを示すドル指数.DXYは前日、1日の下げ幅が1%近くに達し、ドルが101円台へ急落した3月以来の大きさを記録した。

選挙前の市場では、バイデン氏、トランプ氏のどちらが政権を担っても、新型コロナ対策として巨額の財政出動が必要となるため、財政赤字の拡大が通貨安につながりやすいとの見方が優勢だった。つまり、事前予想通りの動きだったとも言える。

新たに参加者の注目を集めたのが、大統領と議会の「ねじれ」だ。このまま上院を共和党が占めれば、民主党が掲げる巨大IT企業の分割といった過激な政策は実現が遠のき、株価にはプラス材料。財政出動の大盤振る舞いにも多少の歯止めがかかり、急速な金利上昇が株安につながるリスクも回避できる。

現下の市場は、新型コロナの感染再拡大というリスクを抱えつつも「金融政策の下支えもあり、リスクオン環境が出来上がりつつある」(トレーダー)というわけだ。

<円、追われる「逃避通貨」の座>

ドルは103円台を付けたものの、円相場全体に上昇圧力がかかっている訳でもない。前日、円は対ドルで大きく買われたが、英ポンドや豪ドルに対しては下落した。週初来の主要通貨の動きを見ても、最も売られているのはドルだが、次点は円だ。

それでも、リスクオンは売りでリスクオフは買い、という市場心理の明暗と円相場の強弱にずれが生じていることも確かだ。円とドルが同方向に動くことが多いため、ドル/円は売買が交錯しがちになる。「不動の円より往年のリスク通貨であるスイスフランのほうが、逃避先として魅力的との声が出始めている」(外銀)という。

実際、世界経済が戦後最大の落ち込みとなった今年、主要通貨で年初来最も買い上げられているのは、円ではなくフラン。円は「調達通貨」の座を奪い取られたユーロの上昇率にも届いていない。リスク回避の円買い戦略は、着実に存在感を薄めていることが分かる。

<次の注目は米財務長官人事>

シティグループ証券チーフFXストラテジストの高島修氏は今後、注意が必要となるなのは財務長官人事だと指摘する。名前の挙がっているウォーレン上院議員なら「経済政策の左派化懸念からリスク資産が売られ、円高圧力がドル安圧力を上回る可能性がある」という。

米連邦準備理事会(FRB)のブレイナード理事も、財務省の国際担当次官だった頃に、ドル高をけん制する発言を繰り返し行っている。「バイデン政権の通貨政策がドル安志向を強めれば、ドル安自体がリスクオン環境をさらに補強し、一段のドル安を招く事態を警戒する必要もある」。

基太村真司 編集:伊賀大記

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