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〔クロスマーケットアイ〕日本株は早くも息切れ、「ゴルディロックス」下で相対的に不利

[東京 14日 ロイター] - 日本株は早くも息切れ状態だ。前日は世界同時株高
の恩恵を受け、大きくリバウンドしたものの、緩やかな景気回復と低金利が併存する「ゴ
ルディロックス」の下では、円安の追い風は弱く、海外株に対してアンダーパフォームと
なりやすい。海外勢のアベノミクスへの関心は低下。企業の増益ペースも鈍り、日本独自
の買い材料が乏しい。薄商いは相変わらず、利益確定売りに上値を押さえられている。

    <世界経済、過熱せず低金利も維持>
    
    「ゴルディロックス」とは童話に出てくる少女の名前に由来し、話の中に登場する適
度な温度のスープにちなみ、世界経済が過熱せず冷めすぎてもいない状況を指す。現在の
世界経済は米国を中心に緩やかに回復しているが、中国など新興国経済が弱いために、過
熱しておらず、先進国の中央銀行は低金利を継続できる環境となっている。
    
    緩やかな景気回復と低金利の組み合わせは、金融(流動性)相場にもってこいの好環
境だ。ウクライナ情勢などリスクオフ材料が落ち着くと、各市場には投資家の潤沢な資金
が流入しやすい。米ダウ とS&P500 は終値で過去最高値を更新、欧州株
 も約6年ぶりの高水準となっている。

    13日に発表された4月米小売売上高は市場予想を下回ったが、前月3月の数値は上
方修正された。前日の米債市場では4月の下振れを材料に金利が低下する一方、米株市場
では3月の上方修正が好感された。材料を都合よく解釈するのは金融相場の特徴だ。
    
    一方、こうした状況は「世界の景気敏感株」と呼ばれる日本株には不利だ。リスクオ
ンによる株高は円安材料だが、米金利が上昇しないことで、相対的にドル/円 
は重くなる。緩やかな世界景気回復では輸出も伸びにくい。
    
    昨年末までは、米経済が順調に回復すれば米連邦準備理事会(FRB)による利上げ
が視界に入り、米金利は上昇、ドル高/円安が日本株の追い風になるとの見方が多かった
。
    だが、米経済の足取りは予想外に重く、米長期金利は10年債 で2.7
%程度と低いまま。ドル/円も102円前半と年初の105円台から水準を切り下げてい
る。
    
    前日、日経平均 が一時300円超の上昇となったものの、世界同時株高が波
及しただけとの見方が多い。「世界的なリスクオンの広がりで、最も出遅れている日本株
と中国株に買いが入っただけ。日本の何かが見直されているされているわけではない」(
三菱UFJモルガン・スタンレー証券・投資情報部長の藤戸則弘氏)。14日の日経平均
は小反落。薄商いの中、利益確定売りで上値が重い展開だった。
    
    <海外勢の関心戻らず、薄商い>
    
    実際、海外勢のアベノミクスや日本株に対する関心は戻ってきていない。それは相変
わらず低い取引ボリュームに表れている。東証1部売買代金は、前日に1兆7990億円
どまり。14日も1兆7097億円だった。
    
    バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが世界のファンドマネジャー170人(総資
産額4550億ドル)に行った調査によると、5月は日本株のオーバーウエート比率が7
%と、2013年2月以来の水準に落ち込んだ。
    
  来週20─21日の日銀決定会合に向けて、株買い・円売りポジションを積み上げる
「日銀トレード」を海外短期筋が再び開始したとの観測もあるが、追加緩和がなければ、
ポジションはすぐに巻き戻される。

    また、日本は消費増税の影響がまだ懸念要因として残っている。4月の景気ウオッチ
ャー調査の先行きDIは大きく改善した。
    だが、良かった先行きDIに現状DIがさや寄せする根拠はあまりないとの指摘もあ
る。「景気ウオッチャー調査では先行き判断と現状判断はほとんどの期間で一致的に動い
ており、先行き判断指数の先行指標としての意味合いは通常、あまり大きくない」(SM
BC日興証券・チーフ金利ストラテジストの森田長太郎氏の13日付リポート)。

    さらに日本企業の業績拡大も今期は一服する見通しだ。みずほ証券リサーチ&コンサ
ルティングの調査によると、5月13日時点で東証1部企業(金融除く)の79.1%(
1228社中971社、時価総額ベースで91.9%)が14年3月期決算を発表した。
この期の経常利益は44.0%増だが、15年3月期は2.9%増にとどまっている。

    日経平均は予想株価収益率(PER)が13倍台と割安感も漂うが、国内のバイサイ
ドからは「焦って買う必要はない」(国内生保)との声も出る。緩やかにせよ米経済がこ
のまま回復していけば、米利上げもいずれ視界に入る。早期の日銀追加緩和観測は後退し
たが、今秋に実施されるとの予想は根強い。
    ただ、それにはまだ時間がかかりそうであり、ドル/円と日本株がアンダーパフォー
ムする展開もしばらく続きそうだ。

  (伊賀大記 編集:田巻一彦)
    
 <東京市場 14日>
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   日経平均       国債先物6月限      国債333回債    ドル/円(15:00)
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  14405.76円           145.10円         0.600%       102.12/14円     
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    -19.68円            +0.05円        -0.005%       102.25/27円    
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注:日経平均、国債先物、現物の価格は大引けの値。
    下段は前営業日終値比。為替はNY午後5時。
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