<東京市場 13日>
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日経平均 | 国債先物6月限| 国債307回債 |ドル/円(12:14) |
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10549.41円 | 139.75円 | 1.305% | 93.19/25円 |
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+155.38円 | -0.10円 | +0.005% | 93.20/24円 |
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注:日経平均、国債先物は前引け、現物の価格は午前11時の値。
下段は前営業日終値比。為替はNY終盤。
[東京 13日 ロイター] 13日の東京株式市場は、米欧株高や国内企業の決算好
調を材料に買い戻しが優勢になっている。日経平均は1万0500円台を回復した。ただ、
外為市場や円債市場は様子見気分が強く、東京市場で大きな存在感を示している海外勢が
複数の市場をクロスさせてリスクマネーの運用を活発化させている兆しは見えていない。
<好決算多く、株式市場の地合い好転>
株式市場では日経平均.N225が反発。欧米株高や為替の落ち着きなどを背景に幅広
く買いが先行した。国内企業決算が総じて好調なことも安心感につながっている。「割安
な好業績銘柄を選別して買う動きが出ている。指数構成銘柄以外にも物色対象が広がりつ
つあり、国内勢も多少リスクは取れるようになったようだ。ただ、ユーロの戻りが鈍いな
ど不安材料は残っている。国債償還期限を控えるギリシャの動向を見極めたい」(コスモ
証券・本店法人営業部次長の中島肇氏)との声が出ている。かざか証券・市場調査部長の
田部井美彦氏は「業績見通しに対する市場の反応は非常に冷静だ。単にアナリスト予想の
数値との比較ではなく、下回った場合でも保守的な見通しなのかどうかといった点を注目
している。トヨタ自動車7203.Tのように上方修正の可能性が大きければ株価はポジティ
ブに反応する」と述べた。
ギリシャは5月19日に約85億ユーロの国債償還を迎える。すでに欧州連合(EU)
と国際通貨基金(IMF)による緊急支援の第1弾として、IMFからギリシャに対し
55億ユーロの融資が行われたことが明らかになっているが、償還が滞りなく実施される
のかに市場は注目している。インベストラスト代表の福永博之氏は「ユーロ安が市場の重
しとなる公算が大きい。日経225採用銘柄の想定為替レートをみると1ユーロ125円
で、現在の水準とはかい離が大きい。輸出企業の売上ウエートは依然、ドルの方が大きい
としてもこのかい離幅は要注意。企業側の見通しガイダンスが慎重なのは、ユーロ安/円
高への警戒感も背景になっているようだ」との見方を示している。かざか証券の田部井氏
は「欧州経済や中国経済などへの不安は強く、好業績銘柄といえども上値は限定的だ。一
部の12月期決算企業は早くも1─3月期で業績予想を上方修正してきた。4─6月期の
決算発表時に3月期決算企業の上方修正があるか注目される」と語った。
<ユーロは軟調地合いが継続、英は銀行規制の強化懸念>
外為市場では、主要通貨が最近の取引レンジ内でもみあう展開が続いている。前日の欧
州市場では主要株価指数が反発、ギリシャ国債利回りの対ドイツ国債利回り格差が3週間
ぶりの水準へ低下するなどユーロ圏金利が低下したにもかかわらず、ユーロは安値圏で上
値の重い展開となった。
売りポジションが大きく積み上がり、買い戻しが入りやすいと言われるユーロの反発が
限られたのは、ユーロの上値でまとまった売りが出たためだった。ロンドン市場の仲値公
示前後で「新興国中銀の外貨準備調整に伴うと見られる売り」(外銀)や「仲値で出やす
い実需絡みだった」(都銀)という。欧州当局の大規模対策にもかかわらずユーロの反発
力が依然として乏しいことが「やはりユーロ圏の構造問題に対する懸念は根深い」(別の
外銀)と、あらためてユーロの先安見通しを広げる要因にもなっている。
そのユーロに対し、英ポンドが高値圏からじりじりと下落し始めている。前日にイング
ランド銀行(中央銀行)のキング総裁が会見で、量的緩和政策を拡大する可能性について
「資産を追加購入する可能性を金融政策委員会は排除していない」などと発言し、「ハト
派的」(別の外銀)だったと受け止められ、連立政権を樹立する英保守党と自由民主党が
銀行への課徴金導入で合意したことも売り手掛かりになったという。両党は課徴金の導入
をボーナス問題などへの措置としており、投資銀行からリテール銀行の分離を検討する独
立委員会を設置する方針も示した。さらに中小企業向けの信用拡大に努力するとして、保
守党の融資保証案と自民党の国有銀行への融資目標案のどちらが有効かを検討するとして
いる。具体策が明示されていないため、現時点で影響を予想するのは難しいものの、市場
では「前政権以上に厳しい規制になる可能性もあるのでは」(先出の外銀)との声が出て
いる。
<ギリシャ問題横目、銀行勢の国債投資は静か>
金利市場では、派生取引であるスワップ市場で超長期ゾーンの払いが優勢になる場面が
あった。一部で「海外勢が日本国ソブリンに絡んで仕掛けてきたのかとの声も上がったが、
カーブ取引に至っておらず、結局は、正午締め切りの40年債入札を控えた業者のヘッジ
であることが判明し、鎮静化した」(外資系証券)との見方が出ていた。
ギリシャの財政不安に端を発した金融・資本市場の混乱は、落ち着きをみせつつあると
はいえ、警戒モードは崩せていない。「11日の10年物国債入札では、応札倍率など表
面上の数字は無難で、官庁や生保の買いも入っていたが、カバードコールで売りを出して
いた一部バンクの買いは、さほど入ってこなかったもようで、世界的な財政不安の高まり
を理由にロングエンドに投資しづらい状況になっている」(外銀)という。
財務省が朝方発表した5月2日─8日の対外債券投資(中長期債)は1兆5664億円
の資本流入超となり、2005年の統計開始以来、過去2番目の流入規模を記録。ギリシ
ャ不安の深刻化を受けて銀行などの投資家が欧米の債券残高を圧縮していたことが判明し
た。しかし、その一部資金は「ドイツ国債や米国債に再び振り向けられている可能性があ
る。逃避マネーが日本国債に流入した形跡はない」(外資系金融機関の債券ディーラー)
とみられている。
(ロイター日本語ニュース 田巻 一彦 ;編集 内田 慎一)
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