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〔焦点〕米日と欧州の「亀裂」、人民元のIMF特別引出権採用でも鮮明に

[ブリュッセル 2日 ロイター] - 中国通貨の人民元が年内にも国際通貨基金(IMF)の特別引き出し権(SDR)構成通貨に採用される可能性が高まっている。採用されれば新興国通貨としては初めてとなるが、採用に前向きな欧州に対し、米国や日本には中国の影響力拡大に対する警戒感もみられる。

訪中から帰国したばかりのルー米財務長官は3月31日、サンフランシスコで講演し、国際準備資産であるSDR構成通貨に人民元が採用される環境には至っていないと指摘。「(人民元が採用の)基準を満たすには一段の自由化と改革が必要であり、われわれはそうしたプロセスを完了するよう促している」と述べた。

人民元は既に、貿易決済通貨として世界で5番目に活発に利用されている。中国としても人民元の国際資本市場における完全な交換性実現に向けた歩みを進めているところだ。

複数の関係筋によると、主要7カ国(G7)のうち欧州メンバー(独英仏伊)は現在4通貨(ドル、ユーロ、円、ポンド)で構成されるSDRバスケットについて、年内に人民元を追加することに前向きだ。一方で、米国と日本は警戒感が強いという。

IMF当局者によると、SDRバスケットをめぐっては理事会が5月に中国の要請をまず検討したうえで、11月にも予定される最終決定に向け5年に1度の正式な再評価が実施される運びだ。

ドイツ連邦銀行(中央銀行)のナーゲル理事はこのほど、中国海南省で開かれたボアオフォーラムで「ドイツ側としては現行の基準を基に人民元をSDRバスケットに加えるという中国の目標を支持する」と表明。自由化に向けた中国の最近の取り組みを評価すると付け加えた。

<「完全に利用可能」か>

中核的な人民元オフショアセンターとしてロンドンを機能させたい英国も、人民元のSDR構成通貨採用に積極的だ。

英財務省のラムズデン首席経済顧問は、2010年にSDR構成通貨を見直してから、大きな変化があったと指摘。人民元の採用は「非常に白熱した問題だ」と述べた。

このように欧州の主要国が世界2位の規模となっている中国経済から利益を得ようとしているのに対し、米国は中国を西側が決めたルールに挑戦しかねない存在ともみなしている。米議会は、中国など新興国の発言権を高めるためのIMF改革を承認していない。

中国が設立を主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」をめぐっては、米国の思いとは裏腹にG7の欧州勢が雪崩を打って参加を表明。欧州との2度目の「亀裂」を避けたい米国としては、人民元のSDR構成通貨採用では条件が整っていないことを強調し、理解を求める戦略だ。

ルー財務長官は「中国は資本勘定の自由化や市場志向の為替相場、金利自由化のほか、金融規制・監督の強化といった困難かつ基本的な改革を成功裏に完成する必要がある」と指摘。また、中国が人民元安誘導のための介入を停止したとみなす一方、人民元高圧力が強まった際に本当の中国の姿勢が試される、と付け加えた。

SDR構成通貨に採用されるか適格性を測る明確な指標はないが、IMFスタッフは2011年、通貨が「完全に利用可能」かどうか示すとみられる指標を提示。それは1)公的準備保有における通貨構成、2)世界の銀行負債における通貨単位、3)世界の債券における通貨単位、4)為替スポット市場における取引量などだ。

ロンドンに駐在する中国担当の銀行筋によると、60以上の中央銀行が準備資産として人民元を保有。トムソン・ロイターのプラットホームでは昨年、人民元のオフショア取引 が約350%拡大。EBSによると、人民元は世界で最も活発に取引される5大通貨の一角を占める。

ボアオフォーラムに出席したIMFの朱民副専務理事は記者団に対し、「取引面でみると、人民元は明らかに(SDR構成通貨に採用される)資格がある」と指摘。「しかし、自由に利用可能かどうかという面では依然として一定の障害がある」と述べた。

(Paul Taylor記者 執筆協力:Adam Jourdan in Boao, China, Rory Carroll in San Francisco, Randall Palmer in Ottawa and Patrick Graham in London 翻訳:川上健一 編集:加藤京子)

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