<三井住友銀行 市場営業推進部 チーフストラテジスト 宇野大介氏>
前週末の米国の第2・四半期のGDPは底堅かったという理解がされているが、この見方については違和感がある。今回のプラス1.5%は2011年第3・四半期以来の弱い数字であり、しかも、7割を占める個人消費は自動車などの耐久財がブレーキとなりプラス1.5%と前期のプラス2.4%から大きく減退している。
QE3実施のタイミングついては、8月3日と9月7日の雇用統計を吟味したうえで、次回9月12―13日のFOMCでの決定となる可能性が高いとみているが、空白の8月1カ月間に状況が悪化すれば、緊急会合をもってQE3を実施する余地もあるだろう。
ただ、QE3の景気浮揚効果については、共和党をはじめ米金融当局の間でも懐疑的な見方が広がっているうえ、市場へのインパクトという側面では、QE3が米国株へのカンフル剤として機能せず、米国株が上昇しないケースも考えうる。一方で、QE3の副作用として、ドル価値の希釈化をもたらすことで、ドル資産の劣化が進むリスクを含んでいる。
(東京 31日 ロイター)