[シンガポール 27日 ロイター] 27日のアジア通貨市場は韓国ウォンKRW=KFTCが資本流入抑制に向けた規制強化にもかかわらず上昇した。フィリピンペソPHP=PDSPは約4年半ぶりの高値水準となった。
通貨の上昇を抑えるための当局による介入が指摘されているものの、ギリシャへの追加融資実施に向けた合意が新興アジア通貨を支援した。
韓国は27日、銀行に認めている通貨デリバティブ・ポジションの上限を引き下げると発表した。ウォンKRW=高を招いているホットマネー(投機的資金)の流入抑制に向け、追加的な措置を取る可能性についても警告した。
こうした動きにもかかわわらず、ウォンはオフショアのファンドや輸出業者からの需要を背景に上昇した。
フィリピンペソは送金に伴う資金流入やストップロスのドル売りで上昇。1米ドル=40.870ペソまで買われ、2008年3月以来の高値をつけた。41.000ペソを割り込んだ後、投資家らがストップロスのドル売りを出した。
ディーラーらによると、中央銀行がペソの上昇スピードに歯止めをかけるためドル買いを入れた。
投資家らは、12月の中銀政策決定会合について手掛かりを得るため、28日に発表されるフィリピンの第3・四半期国内総生産(GDP)を注視している。
台湾ドルは上昇。輸出業者の決済需要のほか、ギリシャの債務削減策について合意がまとまったことを受けて海外の機関投資家が買いを入れた。
ただ、ディーラーらによると、中央銀行は、台湾ドルの上昇を1米ドル=29.050─29.070台湾ドル前後で食い止めるために米ドル買いを入れた。
シンガポールドルほぼ横ばい。ディーラーらによると、中央銀行による介入があった。
序盤に1米ドル=1.2207シンガポールドルまで上昇したが、このあたりの水準で当局の米ドル買いが入ったという。
アジア株やユーロはギリシャへの追加融資実施に向けた合意で上昇。ただ、一部のディーラーやアナリストはこの合意は既に織り込み済みのため、新興アジア通貨に調整が入る可能性もあると指摘している。
*0645GMT(日本時間午後3時45分)現在のアジア地域の通貨の対米ドル相場は以下の通り。
円 82.26
シンガポールドル 1.2213
台湾ドル 29.083
韓国ウォン 1084.00
タイバーツ 30.67
フィリピンペソ 40.90
インドネシアルピア 9600.00
インドルピー 55.70
マレーシアリンギ 3.0500
人民元 6.2223