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再送:〔兜町ウォッチャー〕戻り歩調強まる、ドル不足一服や海外勢の売り縮小で需給改善

この記事は3日午後5時44分に配信しました。

 株価の戻り歩調が強まってきた。欧州混乱に拍車をかけたドル不足がひとまず一服しているほか、米国の経済指標が欧州混乱後も堅調さを維持し、これまで売りを継続してきた海外投資家の姿勢にも変化が出そうだとみられている。円安論者とされる菅新首相誕生への期待感も高まってきた。ただ欧州の財政問題や中国の不動産抑制など外部の懸念要因は残っており、戻り売り姿勢で待ち構える投資家も多い。

 <MMF規制によるドル不足が緩和へ>

 欧州発の金融混乱に拍車を掛けた金融機関の間でのドル不足が緩和するとの見方が出ている。

 米証券取引委員会(SEC)は今年1月27日、マネーマーケットファンド(MMF)の安全性向上を意図した規則を決定。リーマン・ブラザーズの破たんのあおりでMMFの「リザーブ・プライマリー・ファンド」が元本割れを起こして解約請求が殺到したことを受けたもので、MMFの資産のうち少なくとも10%を流動性の高い証券で保有することや、保有証券の平均残存期間の上限を従来の90日から60日に短縮することを定めていた。

 米国のMMFは欧州の金融機関などに対してもドル資金を供給しているが、規制で流動性の高い資産を持つことが義務付けられた金融機関は、3カ月物CDなどを売却し、より短期の資産への入れ替えやキャッシュ化などMMF資産の圧縮を進めたことから、MMFの残高が減少、ドル不足の一要因になったとみられている。1月27日時点の米MMF残高は3兆2180億ドルだったが、5月26日時点では2兆8490億円と3690億ドル減少した。

 JPモルガン・アセット・マネジメント・エコノミストの榊原可人氏によると「規制が5月末に実施されたことで金融機関の対応が一巡したようだ。MMF規制にギリシャ問題などが加わってドル不足に拍車がかかり市場のセンチメントも最悪だったが、現在は緩和方向に向かっている」という。

 3カ月物ドルLIBOR(ロンドン銀行間取引金利)は0.53%付近で高止まりしているが、これまでの一本調子の上昇にも一服感が出てきた。金融機関相互の信用が回復していけば、欧州混乱後、リスク資産を圧縮し続けてきた投資家のスタンス改善にもつながると期待されている。

 <海外投資家の日本株売りも一服>

 実際、海外投資家の日本株売りも一服の兆しが出てきている。日経平均株価.N225でみて昨年12月からのパフォーマンスが約25%上昇と比較的良かった日本株は、欧州の金融混乱のあと、投資家がリスク資産圧縮を進めるなかで売りの対象となりやすかった。だが、5月23日─29日の対内株式投資は806億円の資本流出超となったものの、前週の4347億円より流出幅が大きく縮小。5月末が中間決算のヘッジファンドが多く、前月は資産圧縮を急いだとみられているが、6月からの下期入りでスタンスにも変化が出始めている。

 ある外資系証券トレーダーは「実需筋の買いが目立って増えたわけではないが、売りが引っ込んでいる。来週11日のメジャーSQ(特別清算指数)算出で1万円大台が攻防のターゲットとなりそうだ」と指摘する。市場では25日移動平均線のある1万0200円が当面の上値めどとの声もある。

 為替も円安方向に振れており、輸出株のウエートが大きい日本株の追い風になりそうだと期待されている。次期首相への就任が有力視される菅直人副総理兼財務相を「円安論者」として市場は受け止めているためだ。「通貨が売られる一方で、その国の企業の株式への評価が高まるというのは矛盾だが、いまの株式市場が円安を最も大きな買い材料としている以上、仕方がない。円安で輸出企業の利益は名目上増えるという短期的な部分に焦点をあてているためだろう。逆にいえば長期の経済見通しや企業収益の先行きは不透明だとみている裏返しかもしれない」(準大手証券ストラテジスト)という。

 <待ち構える戻り売り>

 米経済が予想以上に堅調なことも短期的なリバウンド期待を強めている。5月の米経済指標には欧州の金融混乱による影響が出るのではと懸念されていたが、5月米ISM製造業景気指数は59.7と前月の60.4からやや鈍化したものの、景気を見極めるうえでの分岐点となる50は10カ月連続で超えた。4日発表される5月米雇用統計で、非農業部門雇用者数の予想中央値は51万3000人増と大幅増加見通しとなっている。米経済への評価が高まればドル高・円安方向に進むとの期待もある。

 ただ、政策効果に後押しされた景気回復がいつまで続くかは不透明だ。また最初の綻びは小さくとも、ひとたび不安の連鎖が起きれば加速度的に広まることが、今回の欧州発の金融混乱では示された。

 三菱UFJ証券・投資情報部長の藤戸則弘氏は、需給の改善で短期的に1万0500円を超える可能性もあるとしながら、基本的にはボックス圏での推移であるとみて、短期の投資スタンスを推奨する。「中国の不動産規制の行方など懸念要因は残っている。あくまで狭いレンジでのボックス圏相場と認識し、すぐに降りることができる投資スタンスで臨むべきだ」と話す。

 日経平均は3日、前日比300円を超える上昇となり9900円台を回復した。ただ東証1部売買代金は1兆4435億円と薄商い。海外投資家を顧客に持つ、ある大手証券トレーダーは「あくまで短期筋による買い戻しが中心。売りは引っ込んだが、戻れば売りたいという海外勢もいる」と述べている。

 (東京 3日 ロイター)

 (ロイター日本語ニュース 伊賀 大記記者 編集 橋本浩)

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