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EU首脳会議の結論めぐり、金融市場の動揺も=今週の外為市場

 [東京 24日 ロイター] 今週の外国為替市場では、先延ばしされたEU首脳会議の結論次第で金融市場が動揺するリスクがありそうだ。市場参加者の間では既に期待値が低下しているものの、欧州内で議論が全くかみ合わない状況となれば、動揺が、ユーロのみならず株価を含む金融証券市場全体に波及する恐れがある。他方、季節要因として、11月末や年末を控えたヘッジファンドの顧客の解約に伴うフローでドルが下支えされる余地があるとの見方が出ている。

 予想レンジはドル/円が75.00─78.00円、ユーロ/ドルが1.32─1.39ドル。

 21日の海外市場では、ドルが一時75.78円まで下落し、過去最安値を更新した。下落の主因は一部英系機関投資家によるドル/円の売りとされ、EU首脳会議の進展具合とは直接的な関連はないという。さらに、76円割れでオプション関連のフローが出たことも、ドルの下落を加速した。ただ、75円台での滞留時間は極めて短く取引高も少なかったという。

 <ユーロ>

 23日開催された欧州連合(EU)首脳会議では、危機を克服に向けた決定的な対策をまとめる上で大きな進展はほとんど見られなかった。 深刻化するユーロ圏ソブリン債務危機への対応に欧州中央銀行(ECB)の資金活用を求める案へのドイツの強い反対を受け、サルコジ仏大統領は、同案を取り下げた。

 唯一の具体的な進展の兆候として首脳陣は、欧州の銀行の資本増強に向け、財務相がまとめた包括的枠組みを支持したことを明らかにした。 ただ、ユーロ圏非加盟国の英国とポーランドが、危機対応策について、ユーロ圏に加盟していない10カ国を含めたEU27加盟国すべてが関与することを要求したため、時間の多くはこれをめぐる手続きに割かれた。

 これを受け、26日夜に再度EU首脳会議を開くことになった。

 「結論が先延ばしされたことは、良い兆候ではない。最低限の合意にしか達しない可能性があり、ユーロの下値リスクは高い」と野村証券・金融市場調査部のチーフ為替ストラテジスト池田雄之輔氏は言う。

 「抜本的な対策は出てこないだろうが、20カ国・地域(G20)首脳会議で対策を説明する必要もあり、そこそこのものは出てくるだろう」と住友信託銀行マーケット・ストラテジスト、瀬良礼子氏は言う。

 「ただ、現在の市場では期待が先行しているため、対策を受けて1.34─1.35ドル程度まで売られる可能性もある。全く議論がかみあわなければ1.31ドル方向へ急落するだろう」と同氏は続ける。

 池田氏は、EU首脳会議をめぐり、株価を含む金融市場全体が動揺すれば「米国の追加緩和期待が盛り上がり、日米金利差縮小の連想からドル/円が76円付近まで下落する可能性がある」という。市場参加者によれば、21日にドル/円が過去最安値を更新する直前に、米追加金融緩和の憶測が一部で出ていたという。

 バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長は20日、ギリシャおよび欧州の債務危機は米国経済に悪影響を及ぼしているとの見解を示した。 上院議員との昼食会で述べたもので、ダービン上院議員が記者団に対し明らかにした。 同議員によると、バーナンキ議長は、欧州債務危機の状況が懸念されるとしたうえで「米経済に影響を及ぼしている」と発言した。

 <ドル要因>

 市場では、ヘッジファンドの11月末解約、年内解約に伴うフローが注目されている。ヘッジファンドの解約には、通常「45日ルール」が設けられている。11月末にファンドとの契約を打ち切って、手元に資金を確保する場合には、10月15日付近までに申し出なければならないが、15日を過ぎてもファンド解約に関連するとみられるフローが出ているという。「多くのファンドは11月末で今年分の取引を終え、12月から来年分の運用を始める」(外銀)とされる。

 ヘッジファンドが、投資家からドル資金を受け入れ、ドルを他の通貨に換えて運用している(ドルキャリーの)場合は、投資家が解約する場合は、他通貨資産を売って、ドルを買い戻す必要が生じる。

 また、「米国関係では27日発表の第3・四半期米GDP速報値などの指標が材料で、良い指標と悪い指標が混在する状態が続くとみている。サプライズがあれば、11月4日発表の米雇用統計への連想にもつながり、値動きに反映される可能性がある」(住友信託銀、瀬良氏)という。

 <欧州銀のポジション圧縮>

 ユーロ下落リスクが高い中で、ユーロのサポート要因となっているのが、欧州金融機関が投資資金を本国回帰させる動き(リパトリエーション)だ。

 市場では、「ユーロが意外に底堅いのは、欧州銀のリパトリニーズがあるから」(外銀)との指摘が上がっている。

 一部の欧州銀はコモディティをベースにした仕組債等の組成や、それらへの投資を行っていたが、この多くはドル建てで、ドルの資金繰りが困難になったため、ポジションを圧縮する動きがみられるという。

 先の外銀では「世界的な金融規制強化の流れも手伝って、デレバレッジが起こっている。欧州銀についてはドル売り、ユーロ買いになる」と説明していた。他方、金などのコモディティ価格は下落トレンドをたどっている。

 17日からの週で、金現物XAU=は高値の1オンス=1694.60ドルの高値から1603.49ドル付近まで大幅に下落した。コモディティ価格の下落は中国株の下落の一因となった。同週に上海総合株価指数は、2400半ばから年初来安値となる2300前半まで下落。中国株下落の背景として、仏系金融機関によるポジション圧縮の可能性も指摘された。

 (ロイターニュース 森佳子)※(yoshiko.mori@thomsonreuters.com;03-6441-1877;ロイターメッセージング:yoshiko.mori.com@reuters.net)

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