*中国人民銀行が人民元の柔軟性を徐々に高めると発表
*大幅な変更の根拠はないとの見解示す
*日々の基準値決定を通じて小幅な調整を続ける可能性
[北京 19日 ロイター] 中国人民銀行(中央銀行)は19日、為替相場メカニズムの改善の一環として、人民元相場の柔軟性を一段と高めると表明し、23カ月続いた事実上のドルペッグ制を終了する用意があることを示唆した。
人民銀行は「人民元相場が大幅に変動・変化する根拠はない」としており、大幅な通貨切り上げの可能性は低い。
ただ、今回の発表は明らかに、世界的な金融危機の影響を回避するための「特別措置」であった人民元のドルペッグ制の終了を意図する。
また、異例なことに、人民銀行の発表は中国語とほぼ同時に英語でも発表された。
人民銀行は、声明で「世界経済は徐々に回復に向かっている。中国経済の回復や上昇がより力強いものになり、経済の安定性も高まっている。人民元為替レートメカニズムの改善を一段と進め、人民元為替レートの柔軟性を高めることが望ましい」とした。
具体的には、人民銀行は毎日人民元の基準値を設定するという現在の制度を通じて、人民元を対ドルで徐々に上昇させる可能性が大きい。つまり、2008年7月に人民元相場が対ドルで固定される以前の3年間に実施していた管理変動相場制に戻ることになる。
最初の動きはおそらく小幅な調整にとどまるが、累積されれば、今後数カ月で数%ポイントになりそうだ。
中国の為替政策への国際的な批判は米議会を中心に続いており、6月26・27日にカナダで開かれるG20サミットでも問題として取り上げられる恐れがある。オバマ米大統領は世界経済の活性化のためには市場で決定される為替レートが非常に重要、と述べ中国に人民元改革を促した。これに対し中国側は、人民元問題は中国の問題であり国際的な場で議論されるべきではない、と反論している。
中国は2008年7月以来、人民元の対ドル相場を6.83元付近で固定させている。