[シンガポール 8日 ロイター] 8日のアジア通貨市場は総じて上昇。韓国ウォンが対米ドルで2年半ぶり高値をつけた。金融当局が物価圧力を抑制するために一段のウォン高を容認するとの見方が背景にある。
ヘッジファンドや短期投資家がウォンとフィリピンペソの相場を押し上げた。フィリピンでは今週、中銀の政策決定会合が予定されている。
インドネシア中銀が先週4日に利上げを発表して以来、投資家は中銀がルピア安での輸出保護よりもルピア高でのインフレ抑制に向かうことへの確信を強めている。
米ドルが幅広く下落していることもアジア通貨の上昇につながっている。
ディーラーによると、韓国とフィリピンの外為当局によるドル買い介入があったもよう。ただ、介入は自国通貨上昇のスピードを減速させているにすぎないとみられている。
ドル/韓国ウォンKRW=KRW=KFTCは、一時1102.5ウォンまで下落し、2008年9月以来の安値をつけた。ヘッジファンド筋によるドル売りと輸出業者による決済目的のドル売りが続いている。
ディーラーによると、午後に外為当局によるドル買い介入があった。
ソウルの外銀ディーラーは、「オフショアの売り圧力はかなり強かったが、介入のうわさがドル/ウォンの強力な支援要因となった」と述べた。
ドル/台湾ドルTWD=TWD=TPは、旧正月休み明けの台湾市場の取引で初めて1米ドル=29台湾ドルの水準を割り込んだ。
ディーラーによると、29台湾ドルの水準には輸出企業による売り注文も控えていた。
ただ、台湾中銀がしばしば取引の終盤で介入に踏み切っていることから、トレーダーは中銀の介入があるかどうかを注視する見通し。
ドル/インドネシアルピアIDR=IDは前日終値の8950ルピアから下落し、一時は昨年11月12日以来の安値となる8910ルピアをつけた。
ドル/ルピアは直近の3取引日で1.2%下落している。
ディーラーによると、インドネシア中銀によるドル買い介入は行われていないもよう。
ドル/フィリピンペソPHP=PHP=PHは、一時43.42ペソまで気配値の水準を切り下げた。
ディーラーは、中銀がドル/ペソの下落に歯止めを掛けるため介入を実施していると話している。
43.50ペソを明確に割り込むようであれば、43.42ペソ近辺である程度下支えされるものの、次の目標は恐らくフィボナッチ・リトレースメントで11月初旬から1月までの上昇の61.8%戻しの水準に当たる43.25ペソとみられる。
*0630GMT(日本時間午後3時半)のアジア各国通貨の対米ドル相場は以下の通り。
シンガポールドル 1.2727
台湾ドル 28.906
韓国ウォン 1104.50
タイバーツ 30.68
フィリピンペソ 43.46
インドネシアルピア 8915.00
インドルピー 45.39
マレーシアリンギ 3.0320
人民元 6.5938