[上海/台北 23日 ロイター] - 米アップルのサプライヤーである台湾・鴻海精密工業の中国河南省鄭州工場で、労働者による激しい抗議活動が起こった。
抗議活動は23日未明から始まった。きっかけはボーナス支給を延期する計画とみられる。労働者が棒を振り回して監視カメラや窓を破壊する様子が23日、動画共有アプリ「快手」でライブ配信された。
鴻海は声明で、支払い契約を履行したと表明。敷地内で新型コロナウイルスに感染した従業員と新入社員が一緒に生活しているとの報道は「事実でない」と否定した。
「いかなる暴力行為に関しても、当社は従業員や政府と連絡を取り合い、再発防止に努める」とした。
鄭州工場の状況に詳しい関係者は、同工場の生産は抗議の影響を受けておらず、生産は「通常通り」と述べた。
鴻海は、鄭州工場を今月中にフル生産体制することを目指していたとされる。
今回の騒動は、その目標に「不確実性」をもたらすが、関係者は鴻海が今もフル生産復帰に取り組んでいると述べた。
ただ、別の関係者は、騒動が、新たに採用された従業員に影響を及ぼしていると指摘。
「当初、11月末までに新入社員をラインに立たせることができるか見極めていた。今回の騒動で月末までに通常の生産を再開できないことは確実だ」と述べた。
<厳しい行動制限、逃げ出す従業員も>
iPhoneの主要生産拠点である同工場では、厳しい新型コロナウイルス対策を巡って一部従業員が逃げ出すなど混乱が数週間続いている。
多くの元労働者は厳格な隔離ルールや食事の不足などを指摘し、会社側は従業員のつなぎとめや勧誘のためボーナスなどインセンティブを提供せざるを得ない状況となった。
ライブ動画では複数の人が、ボーナス支給が当初の約束より遅れると今週通知されたことを受けて抗議していると説明。ある労働者は「鴻海は人を人として扱わない」などと述べた。
中国のゼロコロナ政策の一環で隔離エリアに設置された障害物を解体したり、防護服を着た要員と口論したりする人も見られた。
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