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仏大統領選のマクロン氏勝利:識者はこうみる
2017年5月7日 / 22:25 / 7ヶ月後

仏大統領選のマクロン氏勝利:識者はこうみる

[パリ 7日 ロイター] - フランスで7日に行われた大統領選の決選投票は、超党派の市民運動「前進」を率いる親欧州連合(EU)の中道系候補エマニュエル・マクロン前経済相(39)が、EU離脱や反移民を掲げる極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首を破り勝利した。

 5月7日、フランスで行われた大統領選の決選投票は、超党派の市民運動「前進」を率いる親欧州連合(EU)の中道系候補エマニュエル・マクロン前経済相(写真中央)が、EU離脱や反移民を掲げる極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首を破り勝利した(2017年 ロイター/Benoit Tessier)

市場関係者のコメントは以下の通り。

●世論調査通り、インパクトは限定的=みずほ証

<みずほ証・シニア債券ストラテジスト 丹治倫敦氏>

独立系候補のマクロン氏の勝利は事前の世論調査通りで、得票率も大差がついた。今後の議会選挙でのEU・ユーロ離脱(Frexit)派の躍進を連想させるような内容でなかった。この点で、市場はどちらかといえば、リスクオン要因と解釈されるだろう。

ただ、マクロン氏が強固な支持基盤を持っているわけではない。長い目でみれば、議会での支持基盤をどの程度確立できるかがポイントになる。第1回投票終了時点でルペン氏勝利・Frexitリスクの上昇というテールリスクがすでにはく落している。今回の選挙結果を受けて、マーケットインパクトは限定的だろう。

国内連休中の米金利がやや上昇している。きょうの円債市場は9日に10年債入札を控えているため、金利上昇を試すだろうが、上昇幅は限られるとみている。

●下値リスク後退、日経平均は2万円目指す展開=アムンディ

<アムンディ・ジャパン 市場経済調査部長 濱崎優氏>

中道系候補マクロン前経済相が勝利し、市場はとりあえず歓迎といったところだ。EU(欧州連合)の中心的存在であるフランスの政治リスクが払拭されたので、マーケットの安心感は高まる。日経平均は年初来高値更新となりそうだ。ただ、第1回投票でこの結果は既に織り込んでいるので、きょうは買い一巡後はもみ合う展開となるだろう。

6月には仏議会選挙が控えるが中道勢力が過半数を握ることは確実なので、リスクは小さい。欧州政治への不透明感は当面の間払拭され、市場の目は経済に戻ることになる。先進国の経済状況はどの国も比較的しっかりしており、企業業績も良い。下値リスクは後退している。

日経平均は今月中に2万円をつけてもおかしくはない。国内企業の決算発表がたけなわとなり、今期の業績の良さが改めて確認されると、多少は上値を狙うという感じになる。今年に入ってからは政治リスクでずっと上値を抑えられており、株価は上がりきっていない。「セル・イン・メイ」にならないパターンもあり得る。

●ユーロ上値限定的、仏選挙通過で金融政策格差に視線=三菱UFJMS

<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>

仏大統領選挙は、大方の予想通りマクロン氏の勝利でノーサプライズだった。オセアニア市場のイニシャルリアクションは、ユーロ/ドルは半年ぶり、ユーロ/円は1年ぶり高値と、総じてユーロ買いとなった。

出口調査の得票率は事前予想より大差となり、「隠れルペン支持者」がいなかったことが確認されて安ど感が広がっているようだ。選挙はふたを開けてみなければわからない面もあるので、結果を見て安心感も出ただろう。

欧州は、ひとまず政治的な不透明感から開放され、ユーロ/ドルは米欧の金融政策にらみになりそうだ。

欧州中央銀行(ECB)のテーパリングは2018年から始まりそうだが、月間600億ユーロの資産購入額を徐々に減らしていくにすぎず、バランスシートの膨張は来年夏ごろまでは続くとみている。その前の利上げは難しい。一方、米国は利上げを始めている上、バランスシート縮減についても議論を始めている。

バランスシート面でも金利面でも、欧米金融政策の方向感の違いは残っているため、どんどんユーロ/ドルの上値が軽くなるとは考えにくい。ユーロ圏は政治的に寄り合い所帯のため、次々に政治イベントが続く。ドイツの選挙は大きな波乱はなさそうだが、イタリアでも選挙が見込まれており、懸念は払しょくし切れず、リスクへの警戒感もくすぶる。

先週発表された米経済指標は強弱入り混じった結果だった。ただ、最も注目された雇用統計は悪くはなかった。6月利上げ観測の織り込みが進んでいる上、9月利上げ観測も高まってきている。

ドル/円は、米利上げ観測がじわじわ高まっているものの、政治的なノイズがあって下も上も試しにくい。仏選挙のもやもやは開放されたものの、オバマケア(医療保険制度改革)の行方が見えにくいほか、通商協議への警戒感もある。110円割れなどの大幅な下落リスクは遠のいたが、上値も軽くない。6月米連邦公開市場委員会(FOMC)にかけては、110─116円がコアレンジとなるだろう。

北朝鮮をめぐる地政学リスクは、市場にとって喉に刺さった骨だが、合理的な予想ができない。気にはなるが、織り込めない。関連報道があれば、その都度、相場が振らされる恐れが残っている。

●次の注目は議会選と首相の人選=ナティクシス

<ナティクシス・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、フィリップ・ヴェシュテール氏>

マーケットにとってのリスクは、投資家が「噂で買って事実で売る」ことだ。マクロン氏の勝利は過去数日に、既に織り込まれている。

次の注目は議会選挙。現時点ではマクロン派が過半数議席を握ることが予想されており、そうなれば同氏にとってやりやすくなるだろう。

また、マクロン氏が誰を首相に選ぶのかも注目される。これが目先、最も重要なことだ。マクロン氏は今のところ、首相の人選についてはまったく触れていないが、改革の成否を左右する重要な人事となる。

選挙結果からは、投票率があまり高くなく、フランス社会が分断されていることが分かる。マクロン氏の当面の責務は国民の融和だろう。

●市場は前向きに受け止め、欧州に改革促す=ユーリゾン

<ユーリゾンSLJキャピタルのステファン・ジェン最高経営責任者(CEO)氏>

市場は前向きに受け止めるだろう。今年は、市場の最大のけん引役となっていた世界的なリフレの動きがトランプ米政権への失望により幾分弱まり、フランス大統領選に対する懸念が広がる、という状況になっていた。

仏大統領選の結果は、欧州のプロジェクトに参画し続けようとする国がまだあることを示した。しかし、その欧州のプロジェクトは現在、貿易保護主義などいくつかの世界的趨勢に阻まれている。欧州はこの機会を利用し、国レベルの改革に加え欧州/ブリュッセルレベルの改革も行わなくてはならない。

●企業寄りの政策が決め手、議会選に注目=ジュピター・アセット

<ジュピター・アセット・マネジメントのファンドマネジャー、ステファン・ミッチェル氏>

有権者は、長年抑制されていた投資を拡大し、国内経済に刺激を与える、マクロン氏の企業寄りの政策を評価した。

6月の議会選に向けて、主要産業の自由化が主な争点となる。

欧州全体にとってフランス大統領選の結果と、7日行われたドイツの州議会選挙でのメルケル首相率いるキリスト教民主同盟(CDU)の勝利は、欧州の中核同士が一段と近づいたことを意味する。マクロン氏には保護貿易主義の傾向がないわけではないが、同氏はドイツとの関係改善を望んでいる。

市場ではフランス大統領選の結果は織り込み済みだったが、今後、フランスとイタリアの国債利回りの対ドイツ連邦債スプレッドは一段と縮小するだろう。株式市場は小幅ながらも選挙結果に肯定的な反応を示すだろう。今後の注目点は、マクロン氏が6月の議会選を経て、理念を共有できる首相と議会を得られるかどうかだ。

●リスクすでに後退、市場の反応は限定的に=インサイト

<インサイトのファンドマネジャー、ポール・ランバート氏>

第1回投票結果を受けてリスクプレミアムがかなり低下していたので、はたして市場が大きく反応するか、わからない。

とはいえ、市場にとっては安心材料で、特にイタリアの選挙などをにらみ神経質になっていた欧州市場を落ち着かせる効果はあるだろう。これで、心配されていたオランダ、オーストリア、フランスの選挙を乗り越え、結果も、懸念されていたほど欧州がユーロに懐疑的でないことが示された。

ユーロが上昇し仏国債スプレッドの縮小が見込まれるが、大きな動きにはならないだろう。

●親欧州派勝利で英離脱交渉に影響も=ラッセル

<ラッセル・インベストメンツのシニアポートフォリオマネジャー、デビッド・ビッカーズ氏>

5日時点で年末のユーロ相場の予想は、平均1.06ドルだったが、政治面のリスクが払拭され、欧州中央銀行(ECB)が経済指標の改善を受けて量的緩和の出口戦略を立てやすくなるとみられるため、予想は切り上がるだろう。

欧州市場は、仏大統領選挙の第1回投票を受けたテールリスク後退で出遅れを取り戻し、相対的にかなり好パフォーマンスをみせている。

あす(8日の債券市場)は、スプレッドが若干タイト化すると予想する。デュレーション面でどのようなトレードがみられるか注目だ。仏国債の対独連邦債スプレッドはすでにタイト化しているので、さらなるタイト化は限定的で、利回りが再び上昇するリスクもある。

マクロン氏に求められるのは国の融和だ。反エスタブリッシュメントのムードが完全に翻ったとは思えない。マクロン氏は親欧州派で、英国の離脱交渉にも影を落とす可能性がある。

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