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仏大統領選、ルペン氏勝利確率と市場影響:識者はこうみる

[ロンドン 19日 ロイター] - 第1回投票を23日に控えたフランス大統領選は極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首、中道系独立候補のマクロン前経済相、右派候補のフィヨン氏、急進左派のメランション氏による激しい争いとなっている。

先頭を走るルペン氏とマクロン氏の支持率にやや陰りが見られるが、フランス政治研究センター(CEVIPOF)の世論調査によると5月7日に両氏の間で決選投票が行われ、マクロン氏が勝利するとのシナリオに変化はない。

銀行や資産運用会社のエコノミストやストラテジストによる選挙の見通しと金融市場への影響を以下にまとめた。

<キャンドリアム・インベスターズ・グループ>

ルペン氏勝利の確率:10%

ルペン氏勝利の場合:「強烈な資本流出」が起きる。仏当局は資本制限を打ち出す公算が大きい。

ユーロ圏株式は20%以上下落し、投資家の不安心理の度合いを示すボラティリティー・インデックス(VIX指数)は急上昇する。仏国債とドイツ連邦債のスプレッドは300ベーシスポイント(bp)以上拡大し、ユーロは10%以上下落する。欧州の景気が腰折れするリスクがある。

<シティ>

ルペン氏勝利の確率:25%(10日時点の20%から引き上げ)

10日に中心シナリオをフィヨン氏の勝利からマクロン氏の勝利に変更。マクロン氏当選の確率は35%、フィヨン氏は30%、メランション氏は10%。

ルペン氏勝利の場合:ユーロがまず急落する可能性が高い。通貨切り下げの思惑から債券が売られ、仏10年物国債のスプレッドは200bp付近に拡大する。仏株式は6月末までに5─10%下落する。

マクロン氏勝利の場合:10年債スプレッドは35─40bpへ回復し、ユーロは上昇する。

<ドイツ銀行>

ルペン氏勝利の確率:25%

ルペン氏勝利の場合:欧州の株式は15%程度下落。

 4月19日、第1回投票を23日に控えたフランス大統領選は極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首(写真)、中道系独立候補のマクロン前経済相、右派候補のフィヨン氏、急進左派のメランション氏による激しい争いとなっている。写真はマルセイユで撮影(2017年 ロイター/Robert Pratta)

マクロン氏勝利の場合:株価は既に割高のため上昇は限定的に。

<JPモルガン>

ルペン氏勝利の確率:25%

ルペン氏勝利の場合:仏株式は2桁の下落。国債のスプレッドは200─300bp拡大。ユーロは0.98ドルへ下落。

マクロン氏勝利の場合:大規模な海外資金が、ユーロ圏株式に戻ってくる。現在運用している資産の少なくとも10%に相当する海外資金が流入する可能性。

<ラフランセーズ・アセット・マネジメント>

ユーロ懐疑派候補勝利の確率:25%(12日時点の20%から引き上げ)

ユーロ懐疑派候補勝利の場合:仏株式市場のCAC40指数は最大20%下落し、金利は3%上昇、ユーロが10%下落する。仏国債と独連邦債のスプレッドは200bpへ拡大。

ユーロ圏株式は15%、イタリア市場のFTSE・MIB指数は20%落ち込む可能性。

<ミラボー・アセット・マネジメント>

ルペン氏勝利の確率:20─25%

ルペン氏勝利の場合:ユーロは10%、ユーロ圏のEurostoxx50とCAC40指数は10%それぞれ下落する。仏国債と独連邦債のスプレッドは100bp、仏社債のスプレッドは50bp拡大する。

<モルガン・スタンレー>

ルペン氏勝利の確率:15%

ルペン氏勝利の場合:ユーロ圏と欧州の株式は2桁の下落。仏国債のスプレッドは120bp程度に。イタリア国債にも影響がおよびスプレッドが300bp拡大する。

マクロン氏勝利の場合の影響:BNPパリバやソシエテ・ジェネラルなど仏銀行株が15─20%上昇へ。

<ナティクシス・アセット。マネジメント>

ルペン氏勝利の確率:試算なし

ルペン氏勝利・フランスのユーロ圏離脱決定の場合:仏株式が15─20%下落。ユーロは「少なくとも」ドルと等価になる。仏国債と独連邦債のスプレッドは300bpに。個人は預金を国外に移す。

主席エコノミストのフィリップ・ベシュテル氏は「こうした事態は、第2回投票の前か当日に起きる可能性がある」と指摘。

マクロン氏かフィヨン氏勝利の場合:仏国債のスプレッドは30bpへ縮小。現在0.9%の10年債利回りは0.6─0.7%へ低下する。株式市場は「引き続き緩やかに上昇」。(スペイン、ポルトガル、イタリアなどの)周辺国の株式は大幅上昇へ。

<野村>

ルペン氏勝利の確率:試算なし。ストラテジストが7日付のリポートで「為替市場では13─15%の確率を織り込んでいる」と分析。

為替市場で第1回投票に向けてボラティリティーが高まり、ユーロを圧迫する公算。ルペン氏の得票率が高ければユーロの重しに。

ルペン氏勝利の場合:ユーロは6%下落、仏10年債が売られ利回りが30bp上昇。仏国債からユーロ圏外の安全資産に資金を移す動きが強まる公算。仏国債格付けは「リスクに直面するが、ただちに引き下げられる可能性は低い」

マクロン氏勝利の場合:ユーロは1%上昇。仏10年債利回りは15bp低下。

<UBS>

ルペン氏勝利の確率:40%

ルペン氏勝利の場合:ユーロ圏株式は最大35%下落。ユーロの実行為替レートは10%下落へ。米10年債利回りは100bp低下し、欧州の高利回り債の価格は17%下落する。

マクロン氏勝利の場合:ユーロ圏の資産は安堵感から「大幅」上昇へ。ユーロは2%上昇。

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