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焦点:議会選圧勝のマクロン新党、改革実行へ労組懐柔できるか
2017年6月19日 / 06:12 / 5ヶ月後

焦点:議会選圧勝のマクロン新党、改革実行へ労組懐柔できるか

[パリ 18日 ロイター] - フランスの労働組合は、18日に行われた国民議会(下院)の決選投票の結果、議会における伝統的な盟友の多くを失った。だが、マクロン大統領が成功裏に改革路線を押し進めたければ、労組を踏み倒して行く訳にはいかない。

 6月18日、フランスの労働組合は国民議会(下院)の決選投票の結果、議会における伝統的な盟友の多くを失った。だが、マクロン大統領(写真)が成功裏に改革路線を押し進めたければ、労組を踏み倒して行く訳にはいかない。パリで16日撮影(2017年 ロイター/Christian Hartmann)

マクロン大統領と結成1年を迎える彼の新党「共和国前進」は、公式発表によれば過半数を大きく上回る議席獲得が確実で、調査会社の予測では、定数577議席のうち350議席以上を獲得する見通しとなっている。これにより、マクロン大統領は、議会の協力を得て、冗長な議会交渉を経ることなく改革を進めることが可能となる。

マクロン氏は、左派を叩きのめした。とはいえ、フランスの強力な労組は慎重に扱わなければならない。

焦点は、公約通りに労働市場に柔軟性をもたらせるかどうかだけではない。大統領がどう労働改革を進めるかによって、失業保険や年金など、今後に控えるさらなる改革の方向性が決まる。

労組の多くは、マクロン大統領の改革政策を不安視し、性急な改革の実行を恐れているが、一方で、マクロン政権がこれまでのところ、労組側と緊密に協議し、今後数週間で詳細な改革案を策定すると約束したことには安堵している。

問題は、マクロン大統領が今後の改革の過程でも、労組側の意見を取り入れ続けるかどうかだと、フランスで3番目に大きい労組「労働者の力」(FO)のジャンクロード・マイー書記長は指摘する。

「彼(マクロン氏)は、『同意しないなら、力で改革を押し進める』と言うだろうか」と、マイー氏はロイターのインタビューで語った。「もしそうなら、彼の政権は労組関係で良くない滑り出しをすることは確実だし、緊張関係が生まれる」

フランス最大の民間企業労組で、改革に最も理解を示すフランス民主労働連盟(CFDT)でさえ、同連盟が提出する対案が無視されれば、抗議デモを行う可能性を排除していない。

「われわれは、他のすべての人たちと同様に、民主的な方法で意見を表明する可能性を残しておく。もし抗議活動を行う必要があるなら、そうする。もし企業内で動員をかけなければならないなら、そうする」。CFDTのローラン・ベルジェ氏はロイターにそう語った。

<厳選された担当相>

政府にとって有利なのは、労組側が、新任のミュリエル・ペニコー労働相を良く知り、尊敬していることだ。ペニコー氏は、食品大手ダノンの人事部門のトップを務め、公共・民間部門の双方で様々なポストを経験している。

これは、前任のミリアム・エルコムリ氏とは大きな違いだ。エルコムリ氏は、オランド前大統領の指示で同政権の労働改革案の策定を行ったが、数週間にわたるストライキやデモが起きるなど、経験不足を露呈した。

ペニコー氏自身がこの分野に明るいだけでなく、彼女のチームも、フランスの労働問題の機微に通じている。スタッフのトップには、フランス最大の雇用主協会出身者が起用され、次席にはFOの元交渉担当責任者が据えられた。

しかし、6月初旬にリークされた労働省の書類で、改革がそれまで考えられていたよりも急進的である可能性が示された。政府は、これが検討材料でしかなく、公式な立場でないと労組側に説明するなど、火消しに追われた。

 ミュリエル・ペニコー労働相。パリで5月18日撮影(2017年 ロイター/Benoit Tessier)

今、労組は、詳細な改革案の公表を不安な気持ちで待っている。そして、これまでに示されたいくつかの案について、一部またはすべて反対する姿勢を隠していない。

「議論の入り口で必要不可欠なのは、誠実な対話の時間だ。今後数週間で、誠実かどうかわかる」と、CEDTのベルジェ氏は言う。

FOのマイー氏は、雇用主が、職場で労働問題に関する社員投票を実施することを可能にする改案革について、全労組が反対していると指摘する。同氏は、これは「労組外し」にほかならないと話す。

労組は、部門レベルではなく企業レベルにより労働条件についての裁量権を持たせる改革案についても懸念している。これも労組を弱体化させるからだ。

ほかに、労働裁判所が雇用主に支払を命じることができる解雇補償金に上限を設ける案も、強い反対を呼びそうだ。

<労組の団結には疑問符>

フランスは、先進国の中で最も労組加入率が低い国の1つだが、労働者のほとんどをカバーする集団合意の合意形成などで、労組は大きな影響力を維持してきた。

しかし近年では、ストライキの頻度が落ちて影響が小さくなり、成功を収める割合も減ったことから、労組は退潮傾向にある。

労組間の対立は、昨年オランド政権がより限定的な労働改革を進めることを容易にした。CFDTが改革案を支持した一方、共産系のCGTは数週間もデモ活動を行って阻止しようとしたが不首尾に終わった。

他の労組が協調に動くなか、CGTとCFDTの組合員の間の不和は続いている。CFDTは今年、CGTを抜いてフランス最大の民間部門労組となった。

「もしCGTが孤立の恐れを自覚するなら、他の労組に接近しなくてはならない。だがその準備はまだないように見える」と、労働問題のシンクタンクを主宰し、かつてCGTの組合員だったジャンドミニク・シモンポリ氏は指摘する。

マクロン氏が圧倒的勝利を収めたことで、一部の強硬派が、影響力が残っていることを示すために、闘争に固執する可能性もある。

ジャンリュク・メランション氏の急進左派政党は、フランス国民の多くが大事にしている労働者の権利をマクロン氏がないがしろにすれば、「社会闘争」を行うと宣言している党の一つだ。

メランション氏は、今回の選挙で南部マルセイユの議席を獲得し、こう気炎を上げた。「私は、新政権に対し宣告する。労働法制を巡る闘争で、一歩も譲ることはない」

(Leigh Thomas記者、Caroline Pailliez記者、翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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