November 20, 2015 / 6:22 AM / 3 years ago

勧誘の中心だったパリ主犯格が死亡、13歳弟もIS戦闘員に

[パリ 19日 ロイター] - パリ検察当局は19日、13日に発生したパリ同時多発攻撃の主犯格とされるアブデルハミド・アバウド容疑者(28)が、警察当局によるパリ郊外での制圧作戦で死亡したことを明らかにした。

容疑者の遺体と指紋が一致、死亡を確認した。全身に銃弾を受けた状態で遺体が発見されたとしたが、自爆したかどうかは不明としている。

ベルギーのコーエン・ギーンス法相は、首謀者の死亡により事件は「突破口」を迎えたと語った。

アバウド容疑者はモロッコ系ベルギー人のイスラム系過激派組織「イスラム国」メンバーで、前週末に起きたパリ同時多発攻撃を首謀した人物とされる。今回の制圧作戦では、容疑者のいとこと見られる女も自爆し死亡した。

フランスのバルス首相は議会に容疑者の死亡確認を報告、議員からは拍手が起こった。

<勧誘の中心人物>

パリ同時攻撃の発生以前でも、アバウド容疑者は欧州のイスラム国戦闘員の勧誘担当としてよく知られており、同組織のオンライン英字機関誌「ダービク」でも大きく紹介されていた。アバウド容疑者は同誌において、襲撃のために欧州国境を越えたことを自慢気に語っていた。

イラクとシリアに支配地域を持つイスラム国は、何千人もの欧州の若者を戦闘員に引き入れてきた。アバウド容疑者は、特に出身国ベルギーを中心として、こうした勧誘の中心人物とされていた。

同容疑者の主張によれば、2013年にベルギーで警察当局による一斉手入れが行われ、イスラム国戦闘員2人が死亡した後、大陸全域で行われた国際的な捜査網から逃れてきた。彼は13歳の弟を兵士に勧誘したことで家族から見放された。この弟は後に、シリアにおける最年少の外国出身イスラム国戦闘員としてネット上で喧伝されている。

欧州各国政府は事件発生前、アバウド容疑者の所在について、シリアに滞在しているとみていた。だが実際には、容疑者が当局の監視の目を逃れパリに潜伏していたことが確認されたことになり、欧州の国境警備体制の難しさを浮き彫りにした。

欧州各国政府はパリ攻撃発生以前、アバウド容疑者の所在について、シリアに滞在しているとみていた。「これは大きな不手際だ」と、国際テロリズム監視機関のローランド・ジャカード氏は指摘する。

フランス政府は、欧州連合(EU)の26カ国の域内で国境検査なしで自由に往来できる「シェンゲン協定」の改訂を求めてきた。ここ数カ月で、何十万人もの人々がシリア難民として欧州に入った。こうして難民申請を行った少なくとも1人のパスポートが、パリ同時攻撃の現場で発見されている。

フランス議会は、事件直後に発令された国家非常事態宣言を3カ月間延長する法案を551対6票で可決。これにより、治安部隊は令状なしの家宅捜査や、容疑者の拘束を行う広範囲な権限を得る。

<「野蛮な行為」>

バルス仏首相は「これは野蛮な行為に直面した民主主義の迅速な対応だ。混沌としたイデオロギーに対して、効率的な法的対応が行われた」と議会で演説した。

実行犯の一部が拠点としていたことが発覚した隣国ベルギー政府は、取り締まり強化に4億ユーロ(約530億円)を投じると発表。

同国のミシェル首相は、シリア帰りのイスラム国兵士の投獄や、未登録のモスクの閉鎖、危険人物の国外追放、匿名での携帯電話カードの購入禁止などを盛り込んだ新たな法律の導入計画を発表した。

重装備のフランス警察が18日未明、パリ同時攻撃犯のアバウド容疑者が潜伏先していたパリ北部サンドニ地区のアパートを急襲し、8人の身柄を拘束した。その際、自爆した女1人を含む2人が死亡した。

警察関係者によると、このグループはパリのビジネス街ラ・デファンスへの攻撃を計画していた。

今回フランスで発生した戦後最悪の攻撃では、17カ国に上る人々が犠牲になった。その多くがバーやレストラン、コンサートホール、サッカースタジアムで金曜の夜を満喫していた若者だった。イスラム国は同時多発攻撃について、フランスによる空爆への報復として実施したとの犯行声明を出している。

フランスは、イスラム国打倒に向けて国際社会の連携を呼び掛け、事件以降、同組織の事実上の首都であるシリア北部ラッカに対する空爆を展開。ロシアもまた、先月乗員乗客224人全員の命を奪ったロシア旅客機墜落事件への報復として、ラッカへの空爆を行っている。

<ロシアの役割>

ロシアがクリミア併合をめぐり米国と欧州連合(EU)から経済制裁を受けて1年以上が経過しているが、イスラム国によるこれらの攻撃は、西側諸国とロシアに共通の利害をもたらすかもしれない。

ロシアと西側諸国はシリアをめぐって対立している。シリアのアサド大統領を支援するロシアに対し、西側は4年にわたる内戦を終結させるためには同大統領が退陣すべきと主張している。

ロシアは9月末にシリアへの空爆を開始した。イスラム国が標的としていたものの、爆撃地点の大半はアサド大統領と敵対するその他グループが支配する地域だった。

ただ、パリ攻撃とロシア旅客機墜落を受けて、共通の脅威に対する認識がロシアと西側諸国の協力関係を促進するかもしれない兆候はある。

EUのユンケル欧州委員長は今週、プーチン大統領に宛てた書簡で、EU加盟28カ国とロシア経済圏とのより緊密な通商関係の構築を提案。このことがウクライナ停戦合意の履行プロセスの進展に結びつくとした。

 11月19日、パリ検察当局はパリ同時攻撃の主犯格とされるアブデルハミド・アバウド容疑者の死亡を確認した。「イスラム国」機関誌に掲載された容疑者とみられる写真。(2015年 ロイター)

ロイターが確認したこの書簡において、ユンケル委員長はEUとロシアとの友好関係の重要性を強調し、「残念なことに、それは今まで進展しなかった」と述べている。同委員長は、ロシアが主導するユーラシア経済連合とEUとの関係強化に向けた選択肢を模索するよう、EC委員らに求めたとしている。

フランスのオランド仏大統領は今月26日にモスクワを訪問し、プーチン大統領と両国の軍事作戦の連携強化について協議する予定となっている。

*見出しを修正しました。

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