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コラム

コラム:FRBの保有資産圧縮が与える衝撃度

[ニューヨーク 14日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 投資家は米連邦準備理事会(FRB)の利上げに違和感を持っていない。実際14日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利が25ベーシスポイント(bp)引き上げられたことへの反応からも、それが見て取れる。

 6月14日、イエレンFRB議長が打ち出している保有資産圧縮計画は、投資家にとってなじみが薄い。FRB本部で5月26日撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)

しかしイエレンFRB議長が打ち出している保有資産圧縮計画は、投資家にとってなじみが薄い。

今回のFOMCでは資産圧縮の基本的な道筋が提示された。第1段階は年内に始まる見込みで、満期償還を迎えた保有債券の再投資を見送る。この取り組みは段階的に進められる。

計画に基づくとFRBは最初の3カ月で米国債180億ドルとモーゲージ担保証券(MBS)120億ドル、合計で300億ドルの債券保有を減らすことができる。再投資見送り額は次の3カ月で600億ドルに増加し、3カ月当たりで最大1500億ドルに上る。

つまり資産圧縮に着手してから1年でバランスシートは最大3000億ドル、次の1年では6000億ドルそれぞれ縮小する。

再投資見送り額が最大限の規模を維持し、単純化するために来年初めから資産圧縮に乗り出すとした場合、バランスシートが2013年に史上初めて突破した3兆ドルまで戻るには3年かかる。3兆ドルを下回るのは21年になるだろう。

また長期的な経路がどうなるにしても、バランスシートを金融危機前の水準である1兆ドル未満にまで縮めるのは不可能に見える。今も負債サイドには1兆6000億ドル前後の流通通貨が存在し、これは10年間でほぼ2倍になった。FRBの役割の変化も加味すると、実現可能な最低限の資産規模は2兆ドル近辺となりそうだ。

14日の米国債利回りは低下したが、FRBによる債券購入停止はいずれ利回りを押し上げる可能性がある。いわゆる量的緩和は、借り入れをより容易にかつ低コストでできるようにすることが目的だった。だからその巻き戻しは、反対の影響をもたらすはずだ。

米証券業金融市場協会(SIFMA)によると、米国債とMBSの昨年の合計発行規模は4兆ドル強だった。こうした発行規模の15%近くを引き受けてきた超大口の買い手は、19年には姿を消すかもしれない。FRBのバランスシートに強い関心を持つ市場関係者をどきどきさせるだけの措置であるのは、間違いない。

●背景となるニュース

*FRBは14日までのFOMCで、大方の予想通りに政策金利の誘導目標を25bp引き上げて1.00─1.25%とした。

*FRBは4兆5000億ドルに膨れ上がっている保有資産の圧縮を年内に開始すると表明。米国債やMBSなどの再投資見送りにより、段階的に進める。

*米国債の再投資見送り額は当初1カ月当たり60億ドルに設定し、月額300億ドルに達するまで1年かけて3カ月ごとに60億ドル増やす方針。エージェンシー債とMBSは最初の再投資見送り額は40億ドルで、月額200億ドルに達するまで1年かけて3カ月ごとに40億ドル増やしていく。

*2008年の金融危機前のFRBの保有資産規模は1兆ドル未満だった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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