December 16, 2015 / 6:12 AM / 2 years ago

アングル:ドル建て債務抱える新興国企業、米利上げで財務悪化も

[ニューヨーク 15日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が利上げサイクルに入るとの見方が強まる中、ドル建て債務を抱えながらも収入は自国通貨建ての新興国企業は苦戦を余儀なくされそうだ。

新興国通貨の下落と米国の金利上昇、ドル高の組み合わせは、2016年に新興国企業が資産を売却したり、債務不履行(デフォルト)に陥る動きに結び付く「最悪の」条件を形成する可能性がある。

ダブルライン・キャピタルのリード・ポートフォリオ・マネジャー、ボニー・バハ氏は11月にニューヨークで開かれた「ロイター・グローバル・インベストメント・アウトルック・サミット」で「過去10年間にわたって巨額の新興国市場債がドル建てで発行されてきたが、発行体の企業は収入をドルで稼ぎ出していない」と述べた。

資産運用担当者の話では、多額のドル建て債務と、売上高に占めるドル建て販売の低い比率という「通貨のミスマッチ(不一致)」は、企業が債務を履行できなくなる確率を高めるものだ。このようにドル建て債務を返済できない状況が生じれば、次の新興国市場危機を引き起こす口火となる恐れもあるとの声も聞かれる。

国際金融協会(IIF)によると、新興国市場の社債とソブリン債の年初来の発行高は7920億ドル。MSCI新興国市場株価指数.MSCIEFは年初来で19%下落している。

デルテック・インターナショナル・グループのアテュル・レレ最高投資責任者(CIO)は「米国における流動性の伸びが減速し続ける中、これらの新興国市場で資金調達をドル資金の流入に依存しながらも必要な構造改革に着手していない国家や企業は、金融危機後に積み上げてきた、かなりのドル建て債務の返済に行き詰まり、自力で資金調達を続けることができなくなるだろう」と話した。

ロイターの取材に応じた資産運用担当者は、ブラジル、ロシア、トルコ、南アフリカの各国でコモディティとエネルギーの動向に左右される度合いが大きな企業への資産配分を縮小している。

フィデリティ・インベストメンツで新興国市場ファンドを運用するサミー・シムネガー氏は「こうした展開は過去にも見られた。昨年、西側がロシアに対して制裁を科した際、ロシア企業は米国と欧州の市場を利用できなくなり、ルーブル相場が下落する局面下で向こう1年以内に期限を迎える債務を返済しなければならなかった」と述べた。

ただシムネガー氏を含む多数の資産運用担当者はFRBの利上げについて、ここ数カ月間にわたって予想されていた上、市場に織り込まれているため、新興国市場に及ぼす影響は最低限にとどまると予想している。市場の焦点は、その後の追加利上げを受けて新興国の企業がどう対応するかに移行しているという。

ウィズダムツリー・インベストメンツのチーフ投資ストラテジスト、ルチアーノ・シラクサーノ氏は「これらの(新興)国にとって最も重要なのは、ドルの上昇ペースだ。ドル高は金利に影響を及ぼし、金利はドルで支払われなければならないためだ」と語った。

資産運用担当者の間では、ドル建て債務を抱える多数の新興国企業が、FRBの利上げ観測が理由で債務不履行に陥ったり、債務不履行に近い状態になったりする事態は予想していないという意見も聞かれた。

バンガードのシニアエコノミスト、ロジャー・アリアガディアス氏は「(FRBの)イエレン議長の発言では、FRBは利上げが及ぼす影響を認識しているため、ゆっくりとしたペースで利上げを進める意向であり、2016年に(合計の)利上げ幅が1%ポイントを超える事態にはならないだろう」と述べた。

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