January 11, 2019 / 2:35 AM / 2 months ago

コラム:「忍耐」強調のFRB議長、ガイダンスは有効か

[ワシントン 10日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 金融政策の方向性を前もって示すフォワードガイダンスは結局のところ、米連邦準備理事会(FRB)と市場の双方の意思が通じ合わなければ全く機能しないことが明白になっている。

1月10日、金融政策の方向性を前もって示すフォワードガイダンスは結局のところ、米連邦準備理事会(FRB)と市場の双方の意思が通じ合わなければ全く機能しないことが明白になっている。写真はワシントンのエコノミック・クラブで発言するパウエルFRB議長(2019年 ロイター/Jim Young - RC15B923B5C0)

パウエル議長は10日、FRBが利上げについて忍耐強くなれると述べたが、以前のタカ派的なコメントは投資家を動揺させ、昨年12月の株価急落をもたらした。FRBと市場はなお、お互いを理解するための学習を続けている。

FRBの忍耐強さや政策の柔軟性を前面に打ち出すパウエル氏のメッセージは、利上げの妥当性を説明するために米経済の強さを強調した12月の内容とは対照的だった。12月の発言は株価急落や米長期金利の急低下を招いた。懸念材料はほかにも多い。今週は世界銀行が今年と2020年の世界経済見通しを引き下げ、貿易摩擦はくすぶり、米政府機関の一部閉鎖は20日目に突入した。

もっとも10日のパウエル氏のハト派的な発言にも、多少の「とげ」はある。2017年10月以降着実に縮小してきたFRBのバランスシートに関して「今後相当規模が小さくなるだろう」と述べたからだ。バランスシートを巡っては12月に「自動運転」で縮小すると語った後、先週には縮小ペースの面でFRBは柔軟になれると説明していた。

市場はこれまでのパウエル氏の発言に過剰反応してきたのかもしれない。とはいえ、同氏の言葉選びにも多少のずさんさがあった。

昨年10月には政策金利が中立金利から「程遠い」と口にして株価を大きく押し下げると、11月には政策金利は中立金利を「わずかに下回る」水準だと軌道修正し、一時的に株が持ち直した。

今後FRBがフォワードガイダンスを撤廃し、指標動向によって政策を決めることに軸足を置いたメッセージを発する方式に移行すれば、情報発信がより厄介になる恐れが出てくる。12月の連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、実際にそうした移行が検討されている。フォワードガイダンスは政策金利がゼロ付近にあった局面で長期金利を低く抑える上で有効だった。政策金利が2.25─2.5%になった今は、枠組みを変えるには理想的だ。

ただし特に経済が転換期にある場合、指標の動きは一貫しない。さらにパウエル氏が今年から毎回のFOMC後に会見することで、市場との対話に失敗する可能性をもたらす機会も増える。FRBと市場の相互理解が難しくならないことを願うばかりだ。

●背景となるニュース

*パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は10日、今年の景気動向把握に際してFRBは忍耐強くなれると述べた。物価が安定している点を踏まえ、世界経済の減速と米経済の基調の力強さのどちらの影響が勝るかを見極めてから、政策金利に関する新たな判断ができるとしている。

*リッチモンド地区連銀のバーキン総裁は10日、米経済の力強い成長がいつまで続くかと懸念する声が周辺で聞かれると述べ、「トレンド」成長率は1.9%程度まで鈍化すると予想した。ボストン地区連銀のローゼンスタイン総裁らほかにも何人かの地区連銀総裁が9日から10日に経済に対して慎重な見方を示した。

*9日公表された連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨によると、フォワードガイダンスを撤廃し、指標次第の政策に軸足を置いたコメントにする方式などいくつかの新たな選択肢が検討されていることが分かった。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

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