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焦点:市場急落受け消えるFRBの追加利上げ予想

[ロンドン 15日 ロイター] - 金融市場は新年のスタートとしては最悪の状況となり、トレーダーやエコノミストたちは世界の金融政策見通しに関して再考を迫られている。こうした中で米連邦準備理事会(FRB)が昨年の歴史的利上げから急きょ方向転換するとの予想も出ている。

 1月15日、金融市場は新年のスタートとしては最悪の状況となり、トレーダーやエコノミストたちは世界の金融政策見通しに関して再考を迫られている。こうした中で米連邦準備理事会(FRB)が昨年の歴史的利上げから急きょ方向転換するとの予想も出ている。ワシントンのFRBビルで2014年10月撮影(2016年 ロイター/Gary Cameron)

FRBは昨年12月16日にほぼ10年ぶりとなる利上げに踏み切り、ようやく2007─09年の金融危機は過去のものとなったとの自信をのぞかせた。

ところが、中国の為替や株式市場をめぐる懸念から市場のボラティリティは猛烈に上昇し、世界の株式市場から数兆ドルもの価値が失われた。一方で中国の景気減速によって、米国景気の健全性に対する懸念も増幅している。

金利先物トレーダーたちは既にFRBの追加利上げ時期の予想を後ずれさせた。一方で複数の大手銀行は今週、英イングランド銀行(中央銀行、BOE)、欧州中央銀行(ECB)、カナダ銀行(中央銀行)の2016年の政策変更見通しをハト派方向に修正した。

スタンダード銀行のG10戦略部門のトップ、スティーブ・バロー氏は「市場の金利水準の方向性に関する見方の変化が非常に短期間に起き得る点を過小評価すべきではない。そういう状況になる可能性がある」と話す。

FRBは利上げを発表した際に、年内に25ベーシスポイント(bp)ずつ4度の利上げを概して予想していることを明らかにした。このことは最近のFRB幹部の講演でも繰り返し示された見方だ。

エコノミスト120人を対象にしたロイターの最新調査によると、現行0.25─0.50%のフェデラル・ファンド(FF)金利は今年年末に1.0─1.25%に到達し、2017年にさらに上昇すると予想されている。

しかし、米金利先物市場は今年に関してはなんとか2度の利上げを織り込んでいるだけだ。米10年国債US10YT=RRの利回りは、FRBが先月利上げした際の2.30%から2%を下回る水準まで低下した。

FRBの180度の方向転換のタイミングは市場の価格にまだ織り込まれておらず、中央銀行が利上げサイクルから政策転換を余儀なくされたスウェーデン、オーストラリア、ユーロ圏の例をみると、それが織り込まれるのは最後のぎりぎりの局面になってからであることが分かる。

これらの中銀は2008年の金融危機後に利上げに踏み切ったが、現在は史上最低の金利水準となっており、スウェーデンはマイナス金利だ。

英中銀の金融政策委員会(MPC)の委員を務め、現在は米ダートマス大教授(経済学)のデービッド・ブランチフラワー氏は「市場はFRBを信じていない。私は12月の利上げの時点でその判断は誤りであり、次のFRBのアクションは利下げになると指摘した」と話す。

同氏はその上で「利下げは9月の会合だろうが、市場の崩壊が続く場合は時期が早まるかもしれない」と予測する。

バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチによると、年初からの最初の9日間に世界の株式市場から失われた価値は5兆7000億ドルに上る。

<圧力受ける中銀>

ドイツ銀行(ニューヨーク)のジョー・ラボーニャ首席エコノミストによると、過去60年間に12回の引き締めサイクルがあり、その期間は平均24カ月、FF金利は平均531bp上昇した。

金融危機を受けてFRBは資産規模を4兆ドル拡大し、ほぼ7年間にわたりゼロ金利を維持したが、世界経済には未だにその傷跡が残っている。

米JPモルガンなど複数の銀行は今週、英国の最初の利上げ時期の予想を2016年末に先送りしたほか、ECBは来週追加緩和に踏み切り、カナダ銀行は利下げすると予想している。

米国の金利市場がいつ方向転換するのかを不安視している人々にとって、最近のスウェーデン、ユーロ圏、そしてオーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の政策転換前後の行動を注意深く見てみることは有益だ。

スウェーデン国立銀行(リクスバンク、中央銀行)による1年で0.25%から2%への政策金利引き上げ後の2011年7月、金融市場の利上げ期待の指標で無担保コール翌日物金利と固定金利を交換する期間3カ月のオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利SEKAMTNS3M=は2.25%まで上昇し、追加の金融引き締めを示唆していた。中銀は実際には金利予想が4年間低下したことを受けて2011年末に利下げを開始した。

RBAは2009年後半に3.0%から利上げを開始し、1年後に4.75%まで引き上げた。

豪金利先物YIBc1は当初、2011年8月の利下げを織り込む兆しを見せ、25bp高い95.50を見込んでいた。しかし、その後は急反落し、本格的に上昇が始まったのはRBAが利下げを開始した10月末になってからだった。

金利先物価格の上昇は、実際の政策金利の低下が予想されることを示唆する。

一方、ECBは2011年初めの政策金利1%から年後半にかけて1.5%に引き上げたが、ユーロ圏債務危機が拡大したことを受けて数カ月後に利下げを始めた。

欧州銀行間取引金利(EURIBOR)先物FEIc1は昨年7─9月の間に0.4%上昇しており、このことはトレーダーたちの見方が変化したことを示唆している。しかし、その後は急速に低下し、はっきりとした動きを始めたのは10月中旬にECBが利下げを開始した後だった。

アナリストは金利先物曲線が全体的な方向性ではなく微妙な何かを示すことは極端に難しいとみている。

FRBに追従する市場はリクスバンクやRBAに追従する市場よりも流動性が高い。しかもFRBは世界最大かつ最も重要な中央銀行としての責任を自覚しており、ここしばらくの間はサプライズの無い状態を保っている。

先物1132741NNETから現在示される米国の次の動きは、利上げの可能性が2014年末以降で最も高いことを示している。だが、世界の市場のボラティリティ上昇が続けば、FRBは手の内を明らかにせざるを得なくなる可能性がある。

FRBは昨年9月、中国がその前月に実施した小幅な通貨切り下げを理由に、幅広く予想されていた利上げ方針を撤回している。

(Jamie McGeever記者)

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