November 15, 2018 / 7:14 AM / a month ago

コラム:米FRBの健全性審査見直し、銀行へのムチ失う恐れ

[ワシントン 9日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米連邦準備理事会(FRB)で金融規制問題を指揮するクオールズ副議長(金融規制担当)は、銀行に対して年1回実施するストレステスト(健全性審査)を見直す意向だ。

 11月9日、米連邦準備理事会(FRB)で金融規制問題を指揮するクオールズ副議長(金融規制担当、写真)は、銀行に対して年1回実施するストレステスト(健全性審査)を見直す意向だ。ニューヨークで10月撮影(2018年 ロイター/Brendan McDermid)

見直しには、銀行が審査結果を手にしてから資本計画を決めることができるようにするといった、まっとうな提案が含まれている。しかしFRBが銀行にダメ出しする権限を廃止するとの提案も俎上に上っており、米銀の裁量余地が大きくなり過ぎるリスクがある。

計画の目玉は、将来の経済ショックに備えて銀行に保有を義務付ける「ストレス資本バッファー(SCB)」の変更だ。SCBの見直しはクオールズ氏の前任のタルーロFRB理事が最初に言及し、今年4月に提案を行った。実現すれば、大手行は2.5%の資本保全バッファーを設ける仕組みから、健全性審査の結果に基づき資本バッファーを保全する体制へと移行する。

このほか、資本バッファーの変動を取り除き、銀行が計画を立案しやすくなる修正も予定されている。例えば、クオールズ氏は、銀行が審査結果を入手する前に配当や自社株買いの計画を提出するよう義務付けている現行の制度を改め、審査結果を事前に銀行に提供する方式に言及した。これは実に道理にかなっている。

クオールズ氏はトレーディング勘定の審査に適用する経済ショックを従来の1つから複数とすることや、ローンその他について想定される損失率を開示し、FRBの目の付け所が分かるようにすることも検討している。

ただ、FRBが営業慣行に基づいて銀行を公に不合格とし、追加配当の支払いを禁止する権限は、シティグループなど銀行大手が徹底した事業の見直しを進める一因となった。

こうした制度が廃止されれば、FRBは銀行に対する有用な「ムチ」を失ってしまう。クオールズ氏は、テストの手続きは監督作業を通じて検証可能と主張するが、企業は公然と恥をかかなければ、事業の見直しを突き詰めない恐れがある。

クオールズ氏は、リスク資本を補強する手段でしかないとして、ストレス後ベースでのレバレッジ要件も廃止する考えだ。しかしこうした要件はまさに補完的であるが故に、銀行に十分かつ多様な備えを確保させる上で有用だ。

米国の金融セクターは2008年の世界金融危機以前よりも耐性が高まっている。大手銀の普通株自己資本比率は09年には平均5%だったが、今年は12%強と2倍以上に高まった。FRBが銀行に一歩譲るのは理にかなってはいるが、銀行の動きが一歩にとどまらないのではないかと気がかりだ。

●背景となるニュース

・クオールズFRB副議長(金融規制担当)は9日の講演で、将来の経済ショックに備えて銀行に確保を義務付ける「ストレス資本バッファー(SCB)」の見直しを行う考えを明らかにした。

・見直しには、銀行が配当や自社株買いなどの計画を策定する前に審査結果を把握できるようにする、といった案が含まれる。現行制度では、銀行は審査結果を入手する前にFRBに資本計画を提出するよう義務付けられている。FRBはレバレッジ比率に関する要件の撤回も検討している。

・クオールズ氏は、業務リスクを伴う不適切な慣行が認定された銀行を公に不合格とし、追加配当の支払いを禁じる仕組みについても、廃止すべきときを迎えていると述べた。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。

*このドキュメントにおけるニュース、取引価格、データ及びその他の情報などのコンテンツはあくまでも利用者の個人使用のみのためにロイターのコラムニストによって提供されているものであって、商用目的のために提供されているものではありません。このドキュメントの当コンテンツは、投資活動を勧誘又は誘引するものではなく、また当コンテンツを取引又は売買を行う際の意思決定の目的で使用することは適切ではありません。当コンテンツは投資助言となる投資、税金、法律等のいかなる助言も提供せず、また、特定の金融の個別銘柄、金融投資あるいは金融商品に関するいかなる勧告もしません。このドキュメントの使用は、資格のある投資専門家の投資助言に取って代わるものではありません。ロイターはコンテンツの信頼性を確保するよう合理的な努力をしていますが、コラムニストによって提供されたいかなる見解又は意見は当該コラムニスト自身の見解や分析であって、ロイターの見解、分析ではありません。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below