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仏大統領選、ルペン・マクロン氏が決選投票へ:識者はこうみる
2017年4月23日 / 22:03 / 7ヶ月前

仏大統領選、ルペン・マクロン氏が決選投票へ:識者はこうみる

[23日 ロイター] - フランス大統領選の第1回投票が23日行われ、出口調査によると、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相と極右政党・国民戦線(FN)のマリーヌ・ルペン党首が5月7日の決選投票に進む見通しとなった。

●欧州利回り格差縮小へ、リスク志向にもプラス

<ラボバンク(ロンドン)の金利戦略責任者、リチャード・マグワイヤ氏>

一見したところ、結果はリスクポジティブだ。

今後、中道系の支持者がマクロン前経済相の下に結集してルペン国民戦線(FN)党首の大統領選出を阻止するとの想定が成り立つため、親体制、親欧州の結果と言え、24日朝にはリスク志向にプラスに働くだろう。

欧州のソブリンスプレッドは著しくタイト化する公算が大きく、ユーロと株にとってもポジティブだ。

ただ、ブレグジットや米大統領選のことを考えると、出口調査の結果についてはある程度の注意が必要だ。

●決選投票でマクロン候補勝利の見込み

<インサイト・インベストメント・マネジメントのファンドマネジャー、ポール・ランバート氏>

結果からみて決選投票ではルペン候補が一段と躍進するのは非常に難しく、マクロン候補は大幅に票を上乗せするだろう。市場はマクロン候補が大統領に選出されるとの見通しに安堵している。

ユーロ圏の分裂リスクが低下したことで通貨ユーロは恩恵を受けるはずだ。

マクロン候補が決選投票に進出することは見込まれていたため、明日もユーロが大幅に上昇するかどうかは分からない。

ユーロは今後数日でやや強含み、フランス国債と独連邦債のスプレッドは縮小、「リスクオン」通貨が比較的強くなるだろう。周縁国国債の利回りは低下、欧州株はおそらく上値を追うことになる。

●ポピュリズムの流れ転換か

<ブルーベイ・アセット・マネジメントのエコノミスト(ロンドン)、ティモシー・アッシュ氏>

ポピュリズムの台頭が騒がれてきたが、6割の有権者が主流派の候補者に流れた。有権者による抗議票はトランプ氏で転換点を迎えたようだ。

不透明な世の中では有権者は既知のものを選択し、リスクを避けることを好む。オランダ総選挙で見られたように、2017年はそのような傾向のほうが強まる可能性がある。

ドイツはそうした結果になる可能性が非常に高く、もしかしたら英国もそうかもしれない。

●米債利回りに上昇圧力

<経済調査会社コーナーストーン・マクロのワシントン駐在パートナー(元米連邦準備理事会=FRB=上級スタッフ)、ロベルト・ペルリ氏>

先月見られた安全志向のフローが一部巻き戻されるだろう。

最悪の結果が起こらなかった、あるいは起こりそうにないという点を考えると、ある程度の安心感が生じると予想され、米国債市場では利回りとタームプレミアムに上昇圧力がかかると予想する。

ただ、まだ第2回投票が残っており、何が起こるかは分からないため、先月の下げがすべて帳消しになるとは思わない。

これまでのところ、ユーロが上昇するなど、ほぼ予想通りの展開だ。

世論調査が正しかったことが最大の出来事で、市場にとってはかなりのリスク軽減を意味する。

第2回投票の世論調査結果は、誤差の範囲というほど接近しておらず、ルペン国民戦線(FN)党首にとってハードルは高い。

●日経1万9000円台目指す、マクロン優勢で

 4月23日、フランス大統領選挙の第1回投票が行われ、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン前経済相と極右政党・国民戦線のマリーヌ・ルペン党首が決選投票に進む見通しとなった。マクロン氏の支持者ら、パリで撮影(2017年 ロイター/Philippe Wojazer)

<SMBCフレンド証券のチーフストラテジスト、松野利彦氏>

23日に実施されたフランス大統領選の結果に関しては、日本株にポジティブな影響が出るだろう。日経平均は1万9000円台を目指す動きとなるとみられる。だが、きょうのところは、1万9000円程度まで上昇すればいいところだ。

5月7日の決選投票までの間、中道系独立候補マクロン氏と極右政党・国民戦線のルペン党首との支持率の差が縮まってくると、投資家の慎重姿勢が広がる可能性がある。支持率はマクロン氏が大きくリードしており、逆転することは見込みにくい。

ルペン氏が大統領になったとしても、議会を掌握してEU(欧州連合)離脱になる可能性はかなり薄いとみているが、昨年の米大統領選の経験があるだけに、警戒する投資家がいてもおかしくはない。

北朝鮮を巡る地政学リスクへの意識も残っている。北朝鮮が核実験に踏み切れば、マーケットの反応はかなりネガティブなものになる。トランプ米大統領の税制改革を巡っては、発表後は材料出尽くしとなる可能性もある。

直近の米経済指標は弱いものが多く注視が必要。米国の経済政策・経済指標と、地政学リスク、仏大統領選の決選投票の行方などを引き続き見極める形となっていく。

●ドル/円の下値リスクいったん後退、テールリスクも

<JPモルガン・チェース銀行の為替調査部長、棚瀬順哉氏>

仏大統領選第1回投票結果を受けて、第2回投票ではマクロン氏が大統領に選出される可能性が高まったことで、今朝の外為市場では、ユーロ買い、北欧通貨買い、ドル買い、円売りが進んだ。

ドル/円相場に関しては、中長期的には105円の下値を見込んでいるが、短期的には、ドル/円は反発局面となり、リスクオンの円安の流れがしばらく続く余地がある。

とはいえ、ドル/円の反発シナリオには、いくつかのテールリスクが潜んでいる。

まずは、緊張が続く北朝鮮問題がある。25日は朝鮮人民軍創建記念日であり、緊張感が高まる中、円を売りにくい状況となるだろう。

2つ目は、27日の日銀金融政策決定会合だ。日銀の長期国債買い入れペースは徐々に減額され、今ではおおむね60兆円ペース程度となってしまっている。実質的に意味が乏しくなった80兆円の扱いをどうするのか。うまく取り扱わないと、実質的なテーパリングとなっていることに市場が過剰反応する可能性も否定できない。

3つめは今週から本格化する日本の3月期企業決算発表だ。決算時に示される新年度会社計画が弱い数字となるリスクが高まっている。

日経平均株価が下落する際に、ヘッジ付きで日本株に投資している外国人投資家がヘッジを外すために円を買い戻すことで、円高が進行することも想定しうる。

●世論調査に近い結果、政治不安定続く

<SMBC日興証券 金融財政アナリスト 末澤豪謙氏>

フランス大統領選挙の第1回投票は、事前の世論調査に近い結果となった。テロの影響で懸念された投票率がほぼ前回並みを維持したことで、浮動票を取り込んだ独立系のマクロン前経済相が優勢となったのだろう。決戦投票にマクロン氏と極右政党・国民戦線(FN)のルペン党首が進むことになったが、おそらくマクロン氏の優位は変わらないだろう。

しかし、マクロン氏が決選投票で勝利しても、フランス政治の不安定が続く可能性が高い。マクロン氏は新党「前進」を立ち上げたが、6月の国民議会選挙で過半数を獲得することは困難なためだ。

週明け早朝の為替市場で、いったん円安が進んだ。第1回投票が想定通りの結果となり、市場が警戒していた欧州連合(EU)離脱派の極右候補と急進左派候補の組み合わせがなくなったことで、リスクオフの巻き戻しが入ったのだろう。円金利は日銀のイールドカーブ・コントロール政策を受けて、金利上昇は限られるとみている。 今週の海外の材料をみると、北朝鮮軍創設85周年、米税制改革案の公表、米暫定予算の期限などイベントが目白押し。北朝鮮問題の行方やトランプ米大統領の政策実行性を見極めることになる。市場では、次のリスクをチェックすることになるのだろう。

●無難通過だがドル/円上昇は続かず

<みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト 唐鎌大輔氏>

仏大統領選の初回投票の結果、中道系のマクロン氏と極右のルペン氏が決選投票に進む見込みとなった。メインシナリオ通りで「無難中の無難」という印象だ。決選投票ではマクロン氏の当選が見込まれており、市場にひとまず安心感が広がっている。

仏大統領選を無難に乗り切れそうなのは良かったが、長期的に重要な視点は、EUではこれから何年、何十年と同様の政治混乱が繰り返される可能性が高いということだろう。今のところ無事に政治的混乱を回避したオランダやフランスは比較的、通貨ユーロへの信認が高い国だったことを忘れてはならない。目先は、来年の春までに実施される予定のイタリア、ハンガリーの総選挙が焦点になりそうだ。   

マクロン氏が大統領になった場合、親EUという意味では現状維持であり、投資環境としては望ましい。ただ、ドイツ経済一強状態に対して欧州中央銀行(ECB)の金融政策をどのように運営すべきかという非常に難しい問題は解決されるわけではない。最近の欧州は政治リスクに目が向かいがちだが、経済・金融情勢も盤石ではないことを留意したい。

ドル/円は仏大統領選の無難通過と、トランプ米政権の減税プランの話題で上昇しているものの、北朝鮮が軍創設記念日を前にして、人質報道など米国への対決姿勢を強めている。地政学リスクがくすぶっている以上、手放しで円売りできない。また、米国の金融政策の正常化が続かないのではないかという根本的な問題もあって、ドル買いを続けるのはやはり勇気がいる。仏大統領選や減税プランの話題で瞬間的に上がっているが、再び弱含む展開が予想される。

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