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日銀YCC、地銀経営の厳しさ続く 再編不可避=大庫金融庁参与
2017年9月11日 / 03:54 / 2ヶ月後

日銀YCC、地銀経営の厳しさ続く 再編不可避=大庫金融庁参与

[東京 11日 ロイター] - ルートエフ代表取締役(金融庁参与)の大庫直樹氏はロイターのインタビューで、2016年1月の日銀によるマイナス金利政策の導入が、金融機関の収益減少ペースを速めたことは間違いないと語った。

 9月11日、ルートエフ代表取締役(金融庁参与)の大庫直樹氏はロイターのインタビューで、2016年1月の日銀によるマイナス金利政策の導入が、金融機関の収益減少ペースを速めたことは間違いないと語った。写真は都内にある金融庁。6月撮影(2017年 ロイター/Issei Kato)

日銀は金融仲介機能への影響にも配慮して、同年9月にイールドカーブ・コントロール(YCC)政策を導入したが、長期金利はゼロ%程度の低水準にあり、地域金融機関のメリットは大きくないとの認識を示した。

人口減少と低金利の継続という厳しい経営環境の中で、地銀の再編は不可避と指摘。合併による規模拡大と効率化、専門性を高めることが現実的な生き残り策になり得るとの見方を示した。

インタビューは8日に実施し、大庫氏は個人的な見解として語った。詳細は以下の通り。

──マイナス金利など日銀の緩和策に対する金融機関の批判は根強い。

「企業が成熟し、生産年齢人口が減少して老齢化が進んでいる中で、今後も預貸金のバランスは預金超過が一段と拡大していく可能性が大きい。預金者への確実な払い戻しを確保するには、有価証券運用の中心は国債にならざるを得ない。その国債金利がマイナスなど非常に低い現状は、金融機関経営にとって問題が多い」

──金融仲介機能にも配慮して、日銀はYCC政策を導入した。

「多少はプラスかも知れないが、長期金利までゼロ%程度という低さの中で、金融機関にとってメリットがある水準ではない。超長期金利はプラスの水準にあるが、そもそも預金のデュレーションを考えれば、銀行は大量の超長期国債を保有するべきではない」

──金融緩和の効果と金融面の副作用とのバランスをどう考えるか。

「インフレ率が多少のプラスになってきたことは評価できるが、目標の2%には遠く及ばない。この間、マイナス金利政策の導入が、金融機関の収益減少ペースを速めたことは間違いない」

──金利が上昇すれば、金融機関の収益は改善するのか。

「日銀が金融政策を正常化しても、構造的な金余りの中で、昔のような高い金利水準に戻ることはない。国債利回りも貸出金利も低い状況が続く。それに対応できる事業モデルを、地銀各行が作っているのか疑問だ」

「事業性評価など金利競争から脱却できる付加価値を持っていれば、金利上昇が収益増につながる。だが、そうではない銀行が多い。金利が上がっても、貸出競争の中で思うような収益を確保できない可能性が大きい」  

──今後も地域の人口減少、低金利の継続は避けられない。

「現在のような厳しい経営環境になれば、普通の業界では経営統合が進む。いくつか前向きな動きが見られるものの、地銀全体として、あまり目立った動きは見られていない。もっと経営統合が活発化してもいいし、個人的には不可避だと思う」

──経営統合のメリットは。

「統合するだけなら、人口減少は今後も続くので、さらなる統合という話になる。ただ、合併のメリットはコスト削減だけではない。規模が大きくなれば、専門スタッフを抱えることができ、事業性評価の強化などマーケットの深掘りが可能だ。一定の規模がないと高いスキルの人材を作り上げることはできない」

「ニッチな業務を見つけるのも、ビジネスモデルを転換するのも容易ではないが、統合によって現在の業務を専門化し、さらに強化することは十分にあり得る。統合して現行業務の専門性を高めていくことが経営判断の主流になるだろう」

──再編は、持ち株会社方式よりも合併が望ましいのか。

「合併によって組織自体を一緒にする方が効果的だ」

──再編が進展しない場合はどうなるのか。

「財務的な赤字が見えてくれば、厳しい状況になる。政府も資本注入などのテコ入れが必要なり、その一環で経営統合に追い込まれることになるのではないか」

「テコ入れが必要になる前に、経営者は判断する必要がある。そこまで行かなくても、財務の赤字が続けば資本が細り、貸出を抑制せざるを得なくなる。銀行は健全な状態を維持し、地元の成長に貢献できる態勢を常に整えておくことが重要だ」

──人口減少が続く中で、地域内の競争はどうあるべきか。

「地域市場をどのように考えていくかが、大きな課題だ。すべての地域市場で常に競争が成り立つわけがない。地域市場の売上規模はほぼ人口に比例的と考えていいが、事業には必ず固定費が発生する。人口が減ってくれば、どこかの時点で市場規模が事業費よりも小さくなる可能性があり、常に競争が成り立つとの前提で議論することが、そもそもおかしい」

「独占であっても厳しい状況があり得るわけだし、儲かる市場でなければ新規参入は起きない。競争が成り立たない地域で独占的な状況が発生した場合、それをマネージできるフェアな取り引きが行われる仕組みを議論し、法律をつくるべきだ」

*見出しの表現を修正しました。

伊藤純夫 木原麗花 編集:田巻一彦

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