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巨大金融機関の損失吸収力規制、3メガに野村HDも追加=金融庁

 4月13日、金融庁は、国際的な大手金融機関に課す新たな健全性基準「総損失吸収力(TLAC)」について、3メガバンクグループに加え、野村ホールディングスも規制対象にすると発表した。写真は都内で2016年11月撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 13日 ロイター] - 金融庁は13日、国際的な大手金融機関に課す新たな健全性基準「総損失吸収力(TLAC)」について、3メガバンクグループに加え、野村ホールディングス8604.Tも規制対象にすると発表した。国際合意に従い、3メガバンクは2019年3月31日から適用が開始されるが、野村HDは2年遅く、21年3月31日から適用する。

同庁はTLACに関する枠組み整備の方針を2年ぶりに改訂した。

TLACは、リーマン・ショックで課題となった巨大銀行の「大き過ぎてつぶせない」という問題に対処するため、巨大行が経営難に陥った際に税金で救済しなくてすむように、社債権者にも損失を負担させ、全体として十分な資本バッファーを確保させる狙いがある。

自己資本規制への対応資本を含め、損失を吸収できる社債などをリスク資産比で2019年に16%、22年に18%保有することを義務づけることで、2015年に国際合意が成立した。

国際合意による規制対象は「グルーバルなシステム上重要な銀行」(G―SIBs)で、日本では三菱UFJフィナンシャル・グループ8306.Tなど3メガバンクグループだが、金融庁は、海外の事業規模が大きいことに加え、破綻時に日本の金融システムに与える影響が大きいことから、野村HDもTLAC規制の対象に加えることにした。

一方、金融庁は改訂した方針の中で、国際統一基準行、国内基準行のTLAC債の保有規制を示した。国際基準行については、国際合意に従い、一定額以上のTLAC債を保有した場合は超過分を自己資本から控除する。国内行については、コア資本対比で5%を超えて保有する場合、超過分につき150%のリスクウエートを課すことにした。

金融庁はまた、個人投資家によるTLAC債の保有について、国際動向をにらんで保有規制を検討する方針を明らかにした。TLAC債は金融グループの持ち株会社が発行するが、信用格付けが低く、相対的に金利が高い特徴がある。TLAC債は破たん時に損失吸収に使われ、元本き損のリスクがあるが、日本には預金保険制度があるため、相対的に高い利回りが投資家の間で人気を呼んでいた。

金融庁は、国際合意を踏まえ、海外のG―SIBsが破綻するケースに備えて、海外のG―SIBsが日本に構える子会社のうち、内部でTLACを備えておくべき金融機関を指定する方針も併せて示した。

*内容を追加しました。

和田崇彦

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