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インタビュー:増税での借金返済不要、大型補正を=藤井内閣参与
September 22, 2017 / 8:54 AM / 3 months ago

インタビュー:増税での借金返済不要、大型補正を=藤井内閣参与

[東京 22日 ロイター] - 安倍晋三首相が検討する消費増税分の使途変更。借金返済に充てるはずだった割合を減らし、教育などの分野を念頭に歳出を拡充させる方向だが、一方で2020年度の財政健全化目標の未達は決定的となる。増税で得られる財源配分はどうあるべきか。京大大学院教授で内閣官房参与の藤井聡氏に話を聞いた。

 9月22日、安倍晋三首相が検討する消費増税分の使途変更。写真は京大大学院教授で内閣官房参与の藤井聡氏、昨年8月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

藤井氏は、増税によって得られた税収を借金返済に充てることに否定的な立場。税収増分に加え、15兆円規模の大型補正予算を活用し、ワイズスペンディング(賢い支出)につなげるべきと説く。また、基礎的財政収支(PB)黒字化目標は、経済の縮小を招きかねないとし、真の財政目標である債務残高対GDP比の安定的な引き下げに注力するよう主張する。

主なやり取りは以下の通り。

──消費増税分の使途変更案が浮上している。

「まず、消費増税そのものは、日本経済をけん引する最大のエンジンである個人消費にブレーキをかけるものだということを指摘したい。経済成長が損なわれるリスクがあるのは確定的だ」

「その上で、従来通り、増税分の一部を借金返済に充てるということであれば、成長に巨大なブレーキがかかる。教育や社会保障だけにとどまらず、増税分はワイズスペンディング(賢い支出)につなげなければならない」

──国の財政状況を考えれば、借金返済も重視すべきとの意見もある。

「デフレ下では、借金返済には1円たりとも回すべきではない。さらに言えば消費増税を実施するなら、増収分全額に加えて数年は15兆円程度の大型補正予算を編成した上で歳出の拡充を図らねば、デフレ脱却は不可能だ」

──具体的にどのような分野に支出すべきか。

「研究開発に財政的な措置を行えば、長期的に生産性が上向く効果が見込まれる。例えば、超大型加速器『国際リニアコライダー』(ILC)はその一例だ。科学技術力の向上や人材育成に加え、地域の経済効果が見込める。新幹線等のインフラ整備も、国民の期待を上向かせるという点で有望だ」

──歳出拡大を続けることによる財政破綻のリスクはないか。

「財政健全化の定義は、基礎的財政収支(PB)の改善ではなく債務残高対GDP比の安定的な引き下げだ。これは国際社会でも確認された常識だ。PB黒字化を目指すあまり、借金返済に注力して経済が縮小すれば、債務対GDP比は悪化する」

「支出を増やせばもちろんPBは一時的には悪化する。しかし、経済の拡大を通じて債務対GDP比が改善すると同時に、税収も増えてPBも改善する」

──金利と成長率の関係にもよるが、債務比率の引き下げにはPB黒字化が必要ではないか。

「それは違う。PBの黒字化はGDPにブレーキをかけ、結果として比率の改善につながらない。断片的な視点ではなく、経済はもっとダイナミックに捉える必要がある」

──政府が財政目標の先送りを検討していることについての見解は。

「これが事実であれば、一定程度、評価したい。消費増税とPB黒字化目標の堅持が既定路線だったことと比べると、十分ではないが一歩前進だ。ただし本来は、デフレ完全脱却までPB目標を凍結すべきだ」

ロイター日本語ニュース

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