[パリ 3日 ロイター] - 仏首相府経済分析会議(CAE)は3日、全面的な通商戦争が勃発すれば、世界経済は2008─09年の景気後退(リセッション)に並ぶ打撃を受ける恐れがあると警告した。
CAEは、モノに対し60%の関税が導入され、主要貿易相手国間のサービスに対する制限がかけられた状態を全般的な通商戦争と定義。こうした事態になった場合、米国と中国では国内総生産(GDP)の3%、欧州連合(EU)では4%が恒常的に失われる可能性があると分析した。EUが被る損失は人口1人当たり1250ユーロ(1451ドル)に上るとしている。
さらに、規模が比較的小さく、開放的な経済を持つ国はより深刻な影響を受けると指摘。カナダ、アイルランド、メキシコ、韓国、スイスではGDPの10%以上が損なわれるとの予想を示した。
フィリップ・マルタンCAE議長は、関税率がこの水準まで引き上げられれば、1930年代に見られた状況に酷似すると警告している。
CAEは関税率がこの水準まで引き上げられなかったとしても、世界経済は大きな影響を受けると指摘。米国と中国が相互に25%の関税を導入した場合、両国間の貿易は約60%減少するとした。
こうした中、CAEは仏政府に対し、日本やカナダなどと連携し、米国の関税措置への対抗策を調整するよう助言。世界貿易機関(WTO)の改革を押し進めると同時に、欧州は全面的な通商戦争の影響の歯止めに効果があると考えられる二国間貿易協定を一種の「保険」として維持する必要があるとの立場を示した。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」