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〔ファンドビュー〕資産別から投資期間別運用に変更、日本株区分は廃止=岡山県機械金属年金・木口氏

 大林 優香記者

 [東京 16日 ロイター] 岡山県機械金属工業厚生年金基金は、従来の「資産別」の運用から、年金給付の支払時期を見据えた「投資期間別」運用に切り替えた。また従来の「日本株」区分を廃止し、日本株はグローバル株やアジア株の一部として投資するスタイルに変更した。

 運用執行理事の木口愛友氏によると「年金運用は給付確保が第一の目的で、従来と焦点を変え、給付の支払い時期別の管理に力点を置いた」。日本株については「リスクやリターンで海外株と違う特性がない今、国内株を分けて持つ意味がない」と指摘した。14日のロイターとのインタビューで語った。

 <投資期間別ポートフォリオを構築>

 木口氏は、資産運用コンサルタントなどを経て、昨年現職に就任し、同基金の資産430億円を運用・管理している。同氏は昨年、従来の資産別基本ポートフォリオを見直し、給付と掛金の将来予測をベースに支払い時期別に資産を4分類し、それぞれの金額と、それぞれの目標利回りに見合った投資商品を選択した。

 新規ポートフォリオは、支払い時期が5年以内の「安全投資」90億円、5─10年先の「低リスク投資」100億円、10─20年先の「長期投資」220億円、20年以上先の「超長期投資」20億円で構成され、安全部分は元本確保と流動性を優先し、生保の一般勘定や短期債などに投資先を限定した。低リスク部分は利回りのブレを抑えるため債券や低リスク運用商品を採用し、長期部分は値上がりと分散効果を狙い、株式、商品投資顧問業者(CTA)、プライベートエクイティに投資。超長期は世界市場の超長期的構造変化に着目し、新興国、環境、インフラ投資を選択した。

 年金基金の多くは資産全体で1つの利回り目標を定め、資産別配分に沿った運用を行っており、投資期間別戦略はユニークだ。木口氏は「運用の考え方を整理し、関係者に分かりやすい仕組みにしたかった。その上で投資理論通りに積み上げたら、この形になった。極めて普通の運用」とと語った。

 同基金の運用実績は09年度がプラス18.76%。格付投資情報センター(R&I)が集計した約130の企業年金の運用利回りであるプラス13.81%を上回った。今年4─8月までの5カ月はマイナス5%程度で、木口氏は相場環境が厳しい中で他の基金などに比べ「よくしのいでいる」との認識を示した。

 <日本株区分の廃止>

 投資対象に株式が含まれるのは長期・超長期部分だが、その内訳はMSCIワールド・インデックスを指標とする「グローバル株」が90億円、「アジア株」が30億円、PEなどの「その他株」が60億円となっている。従来は「世界株」と「日本株」の区分があったが、昨年から日本株区分を廃止し、グローバル株とアジア株の一部として日本株に投資する形に切り替えた。

 木口氏によると、同基金の理事会メンバーは、機械・金属業の中小メーカーの経営者が多く、生き残りをかけて中国や東南アジアに製造拠点を移すなど海外経験が多いため、「世界やアジアの中で日本の地位が相対的に低下していることを実感しており、(国内株区分の廃止は)あっさり受け入れられた」。

 同基金は他の基金と同様、ボラティリティー回避のため、8年程前から株式比率を落としており、ピーク時の55%から現状の40%弱まで低下した。「今後もさらに落とす」方針で、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の株式比率である20%を「視野に入れている」という。

 <ヘッジなし外貨建て資産の上限は80億円>

 今年度に入り円高が急速に進んだが、同基金は為替についてもユニークな管理法を導入している。外貨建て資産の上限は設けていないが、ヘッジなしで運用する外貨資産は80億円を上限としている。上限を超えた分はヘッジし、「良い商品があればどの外貨資産でも投資する」スタンスだ。とはいえ、運用商品はドル建てやユーロ建てのものが多く、木口氏は「今年は為替が運用成績の足を引っ張っている。さらなる円高局面では少しヘッジを外すことを考える」と語った。

 (ロイター日本語ニュース)

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