[ブエノスアイレス 29日 ロイター] - 20カ国・地域(G20)首脳会議の開幕を30日に控え、共同声明策定に向けた協議は、貿易や移民、気候変動などの問題で合意にこぎ着けることができず、難航しているもようだ。
南米初となるG20首脳会議は、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで30日から2日間開催される。
ドイツの政府高官はロイターに対し、「今年は多国間協調主義にとっては芳しくない年だ」とし、G20が採択する共同声明を巡る協議は「非常に困難だ」と語った。
同高官は、協議の争点については明確にしなかったもの、米中貿易摩擦に端を発する世界の貿易を巡る対立が、今回のG20首脳会議の焦点となることが見込まれている。
声明草案の策定に関与する高官の一人は「2日半程度の話し合いによって、声明の約3分の2程度の内容はまとまった」と述べた。ただ、「争点は貿易、気候、移民・難民、多国間協調主義、鉄鋼に絡む問題で、いまだ合意は得られていない」と明らかにした。
<注目は米中首脳会談>
今回のG20では、トランプ米大統領と習近平・中国国家主席が1日に予定する貿易問題を巡る会談が注目されている。
トランプ大統領はこの日、中国との通商交渉で合意することに前向きとしつつも、自分が実際にそれを望んでいるかは定かでないと発言。「通商面で中国と何かを行える状況に近づいているが、私がそれを望んでいるかどうかは分からない」と述べた。
中国商務省の報道官は29日、今週末予定される米中首脳会談で、貿易摩擦解消に向けた「前向きな結果」を期待しているとの認識を示した。
同報道官は、トランプ米政権による追加対中関税の回避を目指しているかとの質問に対し、米中首脳が前月の電話会議で得た「コンセンサス」の履行に向け、両国の経済チームが緊密に連絡を取り合っているとし、「首脳会談で前向きな結果を出すことができるよう両国が歩み寄り、尽力することを望む」と述べた。
その上で「中国側は、米中の経済・貿易協力が相互利益であるということを重ねて強調している」と述べた。
<首脳らが現地入り>
一方、ブエノスアイレスでは29日、現地入りした首脳らにアルパカのスカーフや銀の腕輪、メンドーサワイン、パタゴニア産の茶など、アルゼンチンの名産品が贈られた。
女性の出席者には記念デザインを施した腕輪が、男性には北部山岳地帯のカタマルカ州で手織りされたスカーフが贈られた。マクリ大統領府によると、これらはフリアナ・アワダ大統領夫人が個人的に選んだ。
このほか、練乳を加熱してキャラメル化した「ドゥルセ・デ・レチェ」入りチョコレート、特製の茶やろうそく、メンドーサ産マルベックワインが贈られるという。
一方、ドイツのメルケル首相を乗せた政府専用機(エアバスA340)がアルゼンチンに向けてベルリンを出発後、技術トラブルが発生したため、ケルン・ボン空港着陸を余儀なくされた。
同行筋によると、搭乗していたメルケル首相とショルツ財務相は別の政府専用機に乗ってスペインのマドリードまで行き、民間機に乗り換えてアルゼンチンに向かう見通し。両氏はG20開幕までにアルゼンチンに到着できないとみられる。
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