October 9, 2015 / 7:48 AM / 5 years ago

世界的な「内弁慶経済」、弱い外需の波及懸念

[東京 9日 ロイター] - 輸出や生産が減速しているものの、消費や雇用は堅調──。世界各国で強い内需と弱い外需が混在する経済状況が共通してみられている。内外のマクロウオッチャーが注視するのは、軟調な外需が今後、内需に悪影響をもたらすのかどうか。

 10月9日、輸出や生産が減速しているものの、消費や雇用は堅調──。世界各国で強い内需と弱い外需が混在する経済状況が共通してみられている。都内で2009年11月撮影(2015年 ロイター/Yuriko Nakao)

これまで高いパフォーマンスを示してきた日本の内需株も、強まる先行き不透明感に足元でやや調整気な値動きとなっている。

<スロートレード問題>

世界の貿易量の伸びが落ちている。これまで世界の国内総生産(GDP)が1単位増えると、世界の貿易量は2単位増えてきた。しかし、ここ最近、その関係性に変化が見られる。GDPの伸び1に対し、世界の貿易量が1しか増えなくなっている。

国際通貨基金(IMF)のデータでみると、1990年代、世界の実質GDPが平均3.1%伸びたのに対し、貿易量は6.6%増加した。2000年から11年まではGDP4.0%に対し、貿易量は5.8%の伸び。12年から15年(予測)ではGDP3.3%に対し、貿易量は3.2%とわずかながら下回っている。

「スロートレード問題」と呼ばれるこの現象が、世界経済の構造変化を表しているのか、それとも世界経済の減速を表しているのか、今後を占う上で極めて重要なポイントとなっている。

貿易量低迷の理由の1つとして考えられているのは、やはり中国経済の減速だ。11年まで10%台の高成長を続けてきたが、ここ3年で7%前後まで大きく減速。「中国発の景気減速が新興国経済に波及し、世界的に貿易量が伸びにくくなっている可能性がある」と、三菱東京UFJ銀行・シニアマーケットエコノミストの鈴木敏之氏はみる。そうであれば、貿易量低迷は世界経済の減速を示している可能性が高い。

一方、オンシェアリングと呼ばれる内製化が進んでいることが、貿易量低迷の背景との見方もある。消費地生産の進展や金融危機、洪水など天災によるサプライチェーン障害を経て、部品調達などを国内で行う動きが高まった。

また、米国ではシェールオイル普及によって、国内での採算性が向上したことも輸入量の減少につながっている。

<旺盛な消費>

外需が減速しているにもかかわらず、消費や雇用など内需が堅調な国が多いのは、こうした内製化の拡大が一因かもしれない。また、世界的な所得向上の効果も大きいだろう。購買力平価で換算した1人当たりGDPをみると、この10年で先進国は1.8倍、発展途上国は2.3倍に増えた。

米国の小売売上高は8月まで2カ月連続で前月比プラス。9月の米雇用統計は良くなかったが、完全雇用に近づけば新規の雇用者数も増えにくくなるため、「中身」は悪くないとの見方も多い。新規失業保険申請者数は42年ぶりの低水準に迫っている。

中国も内需は比較的堅調だ。中国国家統計局が発表した9月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)は49.8で、景況拡大と悪化の分かれ目となる50を2カ月連続で下回ったが、非製造業PMIは53.4と50を上回り続けている。

中国の旺盛な消費意欲は、日本も恩恵を受けている。8月の訪日外国人数は前年比133%増の59万人となり、単月で過去最高を更新した。日本人の消費も8月家計調査で、全世帯消費支出が実質前年比2.9%増となるなど悪くない。

また、低金利効果で住宅市場が各国で堅調なのも、今の内需を支えている。カナダの9月住宅着工は3年1カ月ぶり高水準だった。

<内需に陰りも>

ただ、その内需に、じわりと外需の弱さが及び始めた兆候もある。

ケンタッキー・フライド・チキンなどを傘下に持つ米ヤム・ブランズ(YUM.N)は6日、通年の利益見通しを引き下げた。同社は14年7月に発覚した使用期限切れ食肉問題でダメージを受けていたが、中国での問題が、食肉問題から景気鈍化にシフトしている可能性があるとみられている。

日本でも、9月景気ウォッチャー調査で景気の現状判断DIが2カ月連続の50割れとなった。回答企業からは「9月に入り来客数が大きく減少。さらに中国の爆買い特需の減少が重なり、インターネット販売においても前年割れを起こしている」(南関東・家電量販店)との声も出始めている。

日本では小売株.IRETL.Tなど内需株が最近、調整局面入りとみられる動きを見せている。これまで相対的に高株価を維持してきたことから、外需株のリバランスの見方もあるが、「内需の先行き不透明感を警戒している面もある」(岡三証券・シニアストラテジスト、大場敬史氏)との声もある。

内需がしっかりしていれば、いずれ貿易量も増えるとの楽観的な見方もできる。ただ、その内需も史上空前の金融緩和に支えられている面も大きい。米利上げの行方はいまだ見えないが、JPモルガン・アセット・マネジメントの主席エコノミスト、榊原可人氏は「緩和マネーの収縮による短期的な影響には気を付けるべきだ」と指摘している。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below