August 22, 2014 / 7:58 AM / 5 years ago

焦点:天候不順が消費回復に冷水、消費増税議論に影響も

[東京 22日 ロイター] - 台風や集中豪雨など今夏の天候不順が、回復の遅れている消費への新たな重しになっている。4月の消費税引き上げ後、消費の回復は思わしくなく、7─9月に天候不順による打撃が大きくなれば、来年10月の消費増税をめぐる議論にも影響が出そうだ。

 8月22日、天候不順が消費回復に冷水、消費増税議論に影響しかねない。写真は8月10日に都内を歩く男性(2014年 ロイター/Toru Hanai)

「台風による消費への影響が心配」──政府高官は8月上旬の台風が夏季休暇中の消費に水を差した可能性を懸念する。安倍晋三首相が来年の消費増税の是非を判断する材料となる7─9月の国内総生産(GDP)は、4─6月と比べ大幅に改善する見込みだが、GDPの約6割を占める消費の回復が弱ければ、増税判断への影響は避けられそうにない。

<エアコン不振で8月3週の家電マイナス24.6%>

7月は全国百貨店売上高(既存店ベース)が前年同月比2.5%減で、コンビニエンスストア売上高は同0.7%減、全国スーパー売上高も同2.1%減といずれも4カ月連続の前年割れだった。7月前半の天候不順で客足が遠のいた影響を吸収しきれなかった。

ビール系飲料の販売実績も7月はアサヒビール(2502.T)が前年同月比4%減、キリンビール(2503.T)が同5%減と苦戦しており、ビール業界は「8月も天候不順で非常に厳しい」(サントリー・ビール事業部長 水谷徹氏)という。

8月も上旬の天候不順が消費に悪影響を与えつつある。内閣府が消費増税の影響を調べるために毎週公表している個人消費動向調査によると、8月第3週の家電販売額とスーパー・百貨店売上高はいずれも前年比マイナス。特に家電はエアコンや冷蔵庫の不振で前年比24.6%減、2年前と比べても13.3%減と落ち込みが大きい。

今月4─18日の調査をもとに21日に公表されたロイター短観によると、8月の小売り業の景況感はマイナス10。6月のプラス25、7月のマイナス8から目に見えて悪化した。企業からは「回復基調ではあるが、客数はまだ前年割れ」、「天候不順による入店客数の伸び悩みや夏物の売れ行きへの影響がみられる」などの声が聞かれた。

クレディ・スイス証券チーフ・エコノミスト 白川浩道氏は、「8月上旬の消費は台風で相当の影響を受けた。お盆休み明けに消費の大きな回復は期待が難しく、7─9月の消費は厳しい」とみる。

大和総研の橋本政彦エコノミストは、期待されたボーナス増の影響はみられず、消費の回復は「7月に足踏みとなり、弱めの動きが出てきたのが懸念される。8月の台風もネガティブ要因」とみる。

<7-9月公共工事は急増も人手不足で実体不明>

増税判断をするうえで、経済実態を把握する指標として、消費動向に注目が集まっているのは、公共事業の先行きに不透明感があるからだ。

増税判断のベースとなる7-9月のGDPについては、民間エコノミストの平均で同4.1%(日本経済研究センターESPフォーキャスト調査)の上昇が見込まれている。4─6月のGDPが前期比の年率で6.8%と大幅に低下、その反動が見込まれている。

特に、7-9月は公共事業の前倒し執行の効果もあり、数字上は大幅な改善となる公算が大きい。第一生命経済研究所の試算によると、公共投資は4─6月の前期比0.5%減から7─9月は同5.0%増、年率ベースで21.6%増へと急増する見通しだ。

しかし、人手不足が深刻化している中で、公共投資が実際にどの程度進捗するかは未知数。昨年12月に公表された2012年度のGDP確報値では、人手不足により公共投資が14.9%増から1.3%に大幅に下方修正された。速報では06年の調査をもとに工事の受注額から実際の支出を計算しているため、人手不足で工事の進捗が遅れている現状を考えると、見積もりが過大になっている可能性も指摘されている。

<スーパーは特売で数量確保か>

4月に消費増税が実施されて以降、消費の回復ペースはかんばしくない。小売店ではセール商品の拡大で販売確保を図る動きもある。

一橋大学が調査会社大手のインテージ(4326.T)などと組み、現在試験的に公表している全国4000店舗のスーパー・コンビニ、ドラッグストアの消費動向調査によると、スーパーとドラッグストアは販売価格が4月以降下落基調にある一方、定価販売が原則のコンビニの販売価格は増税後ほぼ横ばいとなっており、スーパーとドラッグストアは特売などの値下げで販売数量を取り戻している形が推察される。

これに加えて、折からの天候不順で消費の下振れが大きくなると、「増税に慎重な意見が出てくる」と政府高官は見る。クレディ・スイスの白川氏は「財政再建のためにも増税は必要だが、消費が弱いと7-9月のGDP以外の何らかの理由が必要」とみる。

0 : 0
  • narrow-browser-and-phone
  • medium-browser-and-portrait-tablet
  • landscape-tablet
  • medium-wide-browser
  • wide-browser-and-larger
  • medium-browser-and-landscape-tablet
  • medium-wide-browser-and-larger
  • above-phone
  • portrait-tablet-and-above
  • above-portrait-tablet
  • landscape-tablet-and-above
  • landscape-tablet-and-medium-wide-browser
  • portrait-tablet-and-below
  • landscape-tablet-and-below