[2日 ロイター] - 米オレゴン健康科学大学と韓国などの研究所が共同で行った研究で、受精卵のゲノムを編集することによって、心臓疾患につながる遺伝子の突然変異を修復し、疾患が子孫に遺伝しないようにすることに成功した。科学誌ネイチャーに結果が掲載された。
これは、「分子レベルのはさみ」として機能し、ゲノムから望ましくない部分を削除して一連の新たなDNAに差し替える「CRISPR-Cas9」と呼ばれる技術。中国で研究例があるが、安定した結果は得られていない。
今回の研究に共同参加したソーク研究所のホアン・カルロス・イスピスア・ベルモンテ教授は「われわれは、受精卵の段階で、安全に、かつ一定の成功率で突然変異を修復できる可能性を示した」と述べた。
研究では、編集後突然変異部分の代わりに健全なゲノムが選ばれるほか、ゲノムの他の部分に突然変異が見られないことが分かったという。
実験では、突然変異修復の確率が、自然界で起き得る50%から74%に上がったが、100%には至っていない。また、今回は実験室で受精卵を数日間育てることのみが認められた。
実験対象となったのは、若いスポーツ選手の突然死を引き起こすことで知られ、500人に1人程度の割合で発症する肥大型心筋症の原因となる遺伝子変異。
ベルモンテ教授は「特に倫理上の懸念に最も注意を払いつつ、最大限慎重に進めていく必要がある」と述べた。
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