October 19, 2019 / 11:51 PM / 24 days ago

焦点:マイナス金利の独国債、スイスや中国が購入する理由

[ロンドン 17日 ロイター] - 利回りがマイナス圏に沈んでいるドイツ国債に対して、外国人投資家の買い越しが続いている。買い手はスイスや中国の外貨準備運用当局ではないかとの観測がもっぱらだ。

 10月17日、利回りがマイナス圏に沈んでいるドイツ国債に対して、外国人投資家の買い越しが続いている。写真はドイツのフランクフルト証券取引所(2019年 ロイター/Ralph Orlowski)

ドイツの残存10年ゾーンの国債は3月以降、大半の銘柄がマイナス利回りとなり現在はマイナス0.4%前後と、1年前から1%ポイントも低い。8月上旬からは、全てのドイツ国債の利回りがマイナスで推移している。

ほとんどの投資家にとっては、たとえ長期保有を志向する向きであっても、こうした状況は投資先として魅力がない。満期まで持っていれば損失が発生するからで、資産運用会社や保険会社などはドイツ国債の保有を減らしている。

ただドイツ連銀によると、外国人のドイツ国債購入は増加しており、4月には2015年初め以来初めて買い越しを記録。最新データとなる今年7月時点では、資金流入額が前年比3.6%増と15年3月以降で最大の伸びになった。

コメルツ銀行が社内の取引に基づいて集計した別のデータでも、今年第1・四半期の外国人によるドイツ国債買いが4年余りぶりに増加したことが示された。

4─7月だけでドイツ国債利回りが40ベーシスポイント(bp)下がったことと併せて考えると、マイナス利回りを気にしない特定の投資家の存在が浮かび上がってくる。

コメルツ銀行の金利戦略責任者ミヒャエル・レスター氏は「謎が完全に解けたわけではないが、さまざまなデータから外国人による相当な規模のドイツ国債購入があったとかなり安心して結論付けられる」と述べ、該当する公算が大きいのは機関投資家ではなく、特に最近数カ月で言えば中央銀行だろうと付け加えた。

<中銀が買う理屈>

中銀など外貨準備の運用担当部門は秘密主義で、通常は戦略転換があっても公にせず、ドイツ政府も具体的にどんな外国人が国債を買ったのかは明らかにしない。それでも各種伝聞情報から、複数の中銀が買いに動いた様子がうかがえる。

根拠の1つとなるのは、主な資産運用会社と異なり、中銀は利回りの絶対水準にそれほど敏感にならず、金融政策ないし外貨準備保有のために国債を買うことが挙げられる。

実際、国際通貨基金(IMF)の最近のデータでは、第2・四半期の世界の外貨準備構成におけるユーロの比率は前期の20.23%から20.35%に高まった。もっともこの間にユーロが約1.6%上昇しており、そうした値上がりがシェア上昇に反映された面もある。

ユニオン・インベストメントのチーフエコノミスト、Jörg Zeuner氏は「ほとんどの外国中銀の外貨準備におけるドイツ国債の比率は大きく、外貨準備が増える限り、ドイツ国債の需要は継続するだろう」と予想した。

特にドイツ国債を積極的に買っているのは、スイス中銀だ。スイスフラン高を抑える為替介入を実施するたびに、いつもドイツ国債を購入している、と専門家は話す。

同中銀は各銀行の口座に新たに創造したスイスフランを入金し、それと引き換えに外貨、通常はユーロを購入する。この口座の6月末時点の残高は4710億フランと、11年7月の560億フランを大きく上回っている。

最近数カ月は、スイスフランの対ユーロ相場が堅調に推移するのと軌を一にして、口座残高が急増した。

米外交評議会で国際的な資金フローと中銀の準備政策を長年研究しているブラッド・セッツァー氏は「スイスが外貨準備を拡充する場合、資金がドイツ国債に向かうと予想できる」と強調した。

中国とドイツ国債の直接的な結び付きはより乏しいとはいえ、同国は8月、対米貿易摩擦激化の中で米国債保有を過去2年余りで最低の水準に引き下げた。債券アナリストは本当に中国が米国債保有をそこまで削減したとデータで確実に裏付けられたと主張することはためらいながらも、中国政府が一部の資金をユーロ圏に移したという事態は十分にあり得ると指摘する。

セッツァー氏は「最新データは中国が8月に米国債をかなり売却したことを示唆しており、資産構成多様化の一環としてユーロ圏の資産を買った可能性はある」と述べた。

一方、普段ならトリプルA格のドイツ国債は安全志向の年金基金や保険会社を引き付けるはずだが、現状彼らは新規購入に後ろ向きのように見える。

足元で実施されたドイツ30年国債入札は低調で、ドイツメディアは同国保険協会のチーフエコノミストの発言として、現在国債を買っているドイツの保険会社はほとんど存在しないと伝えた。

日本勢は米国債に資金を振り向けており、マイナス利回りの債券は敬遠。ネットベースで7月に226億円相当、8月も3744億円相当のドイツ国債を売却した。「今の利回り水準ならドイツとフランスの国債には投資できない」(大樹生命幹部)との声が聞かれた。

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