[ベルリン 28日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が28日に発表した1月の消費者物価指数(CPI)速報値は、欧州連合(EU)基準(HICP)で前年比1.6%上昇と、市場予想の0.5%上昇を大幅に上回った。11カ月ぶりの大幅な伸びだった。付加価値税率(VAT)と最低賃金の引き上げが押し上げ要因となった。
2020年12月は0.7%下落していた。
連邦統計庁は声明で「VATの変更に加え、21年1月からの二酸化炭素(CO2)排出枠価格や法定最低賃金引き上げが影響した可能性がある」と述べた。
欧州中央銀行(ECB)は物価目標を「2%をやや下回る水準」としている。ユーロ圏の20年12月物価は前年比0.3%下落した。
INGのエコノミスト、カールステン・ブルゼスキ氏は、CPIが1月に上昇した主な要因として、昨年に引き下げられたVATが戻ったこと、エネルギー価格の上昇、二酸化炭素の新たな税制度に言及。「ドイツのインフレショック」と題する顧客向けのメモで、「総合インフレ率が今より大幅に上昇する時期が来る。この日の数値はこうした時期の始まりにすぎない。経済活動が再開した際に一部の部門が価格を引き上げることを踏まえると、ドイツのインフレ率は夏の後に2%を超える可能性がある」と述べた。
ECB理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁は前日、21年の欧州経済の回復について「慎重ながらも楽観的」と発言。新型コロナウイルスワクチンの接種が進むにつれて下半期に成長する余地が出てくるとの見通しを示した。また、生産が低迷する中で物価圧力が抑制されるとし、ユーロ圏の金利は当面低水準にとどまると述べた。
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