独データ保護当局、政府機関にフェイスブックのサイト閉鎖を提言

［ベルリン　２９日　ロイター］ - ドイツの連邦データ保護・情報自由監察官のウルリッヒ・ケルバー長官は、米フェイスブックがドイツと欧州のプライバシー規制を順守するための取り組みを怠ったと判断し、政府機関に対して年末までにフェイスブック上のアカウントを閉鎖するよう提言した。

ケルバー氏は今月初めに各省庁に宛てた書簡で、フェイスブックは、政府機関のサイトをＥＵ規定に準拠した形で運営する方法を提供していないと指摘した。

音声ＳＮＳ（交流サイト）の「Clubhouse（クラブハウス）」や動画アプリ「TikTok（ティックトック）」、フェイスブックの画像共有アプリ「インスタグラム」についても同様の問題があるとし、調査が終了するまで政府機関にこれらのアプリを使用しないよう提言した。

フェイスブックの政府公式サイトには１００万人以上のフォロワーがいる。主要メディアの影響力が低下する中、政府が市民にメッセージを送るための重要な手段となっている。

ケルバー氏は、フォロワーの個人情報が米国に送信されないような形でサイトを運営することは不可能だと指摘している。ＥＵ法は、個人データの域外移転について、ＥＵと同じような厳格なデータ保護規制が敷かれている地域にのみ移転できるとしているが、米国はそうした地域とみなされていない。

ケルバー氏は政府機関への書簡で「個人情報保護違反が続いていることを踏まえると、時間を無駄にはできない」とし、「政府サイトがあるなら、年末までに閉鎖することを強く推奨する」と述べた。